表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EVIL  作者: 頻波幾瀬
3/12

3 凡才になろう

 ある晩のことである。

 消灯された李人の病室に白い光が切れ込んだ。逆光に車椅子がゆっくり近づいてくる。

 そこへバタバタと靴音がして、一人の看護師が現れた。李人は既に覚醒していた。

「この、ジジイ!」

 看護師は車椅子を蹴り、患者の足も何度も蹴った。

「ここは、お前の病室じゃねえ!」


 虐待の現場だ。李人は咄嗟にナースコールを押した。

 看護師がはっと気づき、李人のベッドへ走ってくると、首を勢いよくつかんだ。


「この、ガキ、頭よすぎんだよ! 認めない、あんたが、院長先生の息子なんて」

 李人は一気に苦しくなる。しかし外から靴音が急いできて、看護師は舌打ちする。何事もなかったように車椅子のそばに戻った。


 ナースコールで来た看護師が部屋の電気をつけた。

「どうしたんですいったい」

 先ほどまで凶行に及んでいた看護師はにっこり笑い、「患者さんが、勝手に入って転んだんです。骨いってるかもなあ」


 あとから来た看護師はベッドの李人を覗き込んで言った。

「私が寝かしつけますから、電気は切っても。常夜灯で十分ですから」

 そんなことがあった。


 翌朝、青虫の絵本を眺めながら李人は脳内会議した。

「リカ、子供を作ろう」

「なにそれ」

「ほら、遠退きかけてるけど、神様は僕たちをこしらえなすっただろう」


 李人が目を閉じると、リカと一緒に真っ暗な泥の沼にいた。しゃがんで泥をこねる。

「泥で僕らの子供をこさえよう。僕らは頭がよすぎる。それがかえってハンデになった」

「あんまりバカすぎるのも嫌よ」

「いざとなれば僕らが内側からサポートすればいい。とにかく」

 彼はリカを見やる。

「出る杭は叩かれる」

「そうね」

 とリカも。

 出生から一年半ほど遅れを取った人格を作り上げ、外界に対応させることにした。


「僕ら自身、何らかの病だったか知れないが。これで本格的に病人だな」

 李人はこね上げた人形をじっと見た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ