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花邑杏子は頭脳明晰だけど怖くてちょっとドジで馴れ馴れしいがマジ傾国の美女【第44話】

そこには瀧川美春が立っていた。

「まあだ、この部屋に住んでんの?お給料入ってるなら、もっとマシな部屋に引っ越しなさいな」

イヤなことを言う人だと、義範は思った。

「結婚するまでは、この部屋にいるのかなとーー」

「ここの部屋だと、恥ずかしいのよ。いろいろと」

訳が分からない、と彼は思った。

「例えば?」

聞いてみた。回答は・・・

「女の子にそれ、言わす気なの!?」

ますます、訳が分からない。

外で言い合いもなんなので、瀧川美春を部屋に入れたーー

「で、今夜は何故、ここにーー」

「手伝うために決まってんでしょう!翻訳の!」

「そんなにキレなくてもーーって、大丈夫だよ。わざわざ来てもらってなんだけど」

「うるさい!さっさと始めるわよ!全く・・・」

こういう有無を言わさないところが、彼女のイヤなところだ。そのせいで大喧嘩し、最悪の形で別れたことなど、彼女はすっかり忘れたのだろうかーー

「問題は、専門用語なのよ。私も最初は分からなくて苦労したわーー」

彼女の指導は的確だった。過去に同じところで行き詰まっていたのもあるが、やはり、彼女は優秀なのである。おかげで翻訳が捗ることーー

5時間後、ほぼ全ての会議とパンフレットの翻訳を終えることができた。一重にこれも、彼女のおかげ。

「ごめん、すっかり遅くなって。これ、タクシー代」

封筒に入れたお金を、彼女に渡した。

「ええっ!こんなにーー」

もちろん、今回のギャラを含んだ金額を包んだ。

「有りがたく・・・いらな~い!」

封筒は突っ返された。

「いい?これは貸しよ。いつか、返してもらうんだから」

「それが嫌だからーーなあ、受け取っておくれよ」

「やだ」

「じゃあ、どうすればいいのさ?」

瀧川美春は・・・悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「さてね。どうしましょ」

「言っとくけれど、男女の仲にはならないぞーー俺、彼女いるからな」

明らかに、瀧川美春は狼狽えていた。

「別に、そんなことを期待したわけではないわよ?って!彼女いるの?」

「ああ、いるよ」

「何やってる娘?」

「教えない」

「それって、彼女がいるって妄想じゃん」

「妄想なんかじゃないさ。本当にいるって」

「うううーー」

瀧川美春はいきなり服を脱ぎ出した。

「御託はいいから抱いて」

「いやだよ~」

「決めてたんだから。今夜のギャラは、あなたに抱かれることだって」

「だって俺、彼女いるしーー」

「このまま外に出て、悲鳴上げてもいいのよ!」

前にもあったな。そんなこと。

「どうぞ」

「なんて冷酷!あなたは人間じゃないわ」

「何とでも言って」

「うわーん!嫌いよ!」

瀧川美春は服を着ると、義範が持っていた封筒を引ったくって、また中身を数える。

「お金が足らないけれど、これで勘弁してあげるわよ!」

彼女は泣きながら帰っていったーー

「ふうーー」

一時はどうなるかと思ったが、これで済んでよかった。と義範。

さて、明日は研修最終日。予定は午前に社長のスピーチ。午後には新宿本社に帰って、いままでの翻訳をHPに載せて、義範の仕事は完了する。長かった。いろんなことがあった。でもそれも終わる。来週からは、またぐうたらな広報での生活が待っている。

またこのような研修をしたいかと聞かれたらーー二度と御免。と答えるだろうなあ。しかし、実り多き、密度のある時間だった。

そろそろ義範も眠くなってきた。とその前にーー食事がまだ済んでいないことを思い出した。カップ麺を買いにいくため、彼は部屋を出た。ふと見るとーー玄関先に瀧川美春が座り込んでいた。

彼女は義範を見ると、立ち上がり部屋のなかへ無理やり入り込んでいったーー


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