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花邑杏子は頭脳明晰だけど怖くてちょっとドジで馴れ馴れしいがマジ傾国の美女【第40話】

いつまでたっても、若いもんのひとたちはやってこなかった。

「まあ、あれだ。私もあまり若いもんに頼るのはよくないと、思い至ったわけでーー」

「そうかいーー」

義範は、パソコンの電源をつけた。

「俺も最低一週間はかまってられないぞ。今回の研修は、俺じゃあ力不足だからな」

「えっと、じゃあ一週間は世田谷なんだ!?」

「そういうことだ」

「やった!着替え持ってきてよかったぁ」

「遊びじゃないんだぞーーって、まさか!」

「今回は、通い妻になる」

「『妻』は止めいーーあのなあ、遊びじゃないと言っておろうが」

「女とキスしてたくせにか?」

「あ、あれはーー秘書の仕業というか」

「女心を弄んで、そんなに楽しいか!?」

「こ、これは、ちょっとボケてみたというかーーあ痛た!」

義範は、拳骨をくらった。

「決まり!もう金輪際、浮気は禁止!もし破ったらーー分かってるな」

「はい、もう南波澄香ちゃん以外の女の子とは付き合いませんーー分かったら出てってくれるかな」

「貴様・・・」

これほどまでに激しい怒りのオーラを、見たことがあったか。

「若いもん、呼ぶぞ。こら」

義範は机に向かっていた。

「若いもんに頼らないんじゃなかったっけ?」

こちらを見ようともしない義範に、彼女はキレた。

「こら、やめろ。仕事にならないーー」

花邑杏子が義範の耳をカプッと噛んだ。

「どうだ、参ったか」

「あ、あ~、何だか変な気分にーーなるわけないだろが!離せ。離さないと・・・嫌いになるぞ」

「ご、ごめんなさい」

花邑杏子は義範から離れた。

「分かったなら、今週は部屋に来るな。仕事の邪魔だからな」

「え~ん、ひどいよ~」

彼女は泣きながら、部屋をあとにした。

一時間後ーー

呼び鈴が鳴った。

「・・・誰だろ」

ドアを開けると、紋付き袴を着た精悍な男が、いつもお世話になっている若いもんのひとたちを従えて、玄関前に佇んでいた。

「杏子を泣かせたのは、そなたじゃな」

「あ、えーと、あの・・・」

「我が娘を泣かせたのは貴様かと聞いとんじゃ!ワレェ!」

左手には・・・日本刀!?間違いない。杏子の親父さんだ。

「あの子は元来、朗らかな子でな。この刀で多重債務者を斬ったり、イカの刺身を切ったりするのを見るのが、大層、好きな子じゃった」

花邑杏子のお父さんは続けた。

「大人になっても、スレることなく素直に育ってくれた。この言葉に嘘はない」

さらに続ける。

「その娘がいま、どうしているか分かるか?ベッドのなかで、啜り泣きしてるんじゃ・・・誰のせいか。おまえしかいないんじゃー!貴様!どうしてくれようか!」

義範は、怯えながら言った。

「そんなこと言われたって、困りますよ」

花邑杏子の父親は刀をちらつかせながら言った。

「聞けば貴様、杏子と恋文を交わした仲というがーー」

「違います!恋文なんか、交わしてません!」

「じゃあ・・・」

「もっと、交わしてません!」

「いいだろう」

一行は去っていった。

「マジでポン刀を持ってきやがった!返答如何では、俺を斬るつもりだったんだ!」

足をガクガク震わせながら、缶コーヒーを飲む義範。

「あいつとの腐れ縁、止めようかなーー」

キーボードを打ちながら、考える。

「でも、ヤクザとの縁なんて、どうやって切ればいいんだ?向こうから『はい、さよなら』と言わない限り、緊張が続く・・・要は、杏子が俺に愛想をつかせばいいんだよな。なら、南波澄香ちゃんとの仲をこれでもかと深めてーーダメか。南波家のひとたちが、ただじゃすまない」

義範の仕事の手は完全に止まった。彼はゲームチェアに身を委ね、考える。考えても上手くいくはずもないのだが。そのうち彼は考えることを止め、深い眠りについた。


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