はじまり
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「ーー遂に辿り着いてしまった」
リリーは生唾を飲み込み、片手にぐしゃぐしゃになった手紙を持ちながら、目的地を覚悟の決めた目で見つめた
「⋯失礼しまーす」
リリーの見つめる先には、1つの家があったツタや雑草、見たことも無い花がふんだんに絡み付いたその家に、リリーは少しの好奇心を持ちながら、今にも外れそうな扉を開けた
「あのー、誰かいますかー」
リリーは真っ暗な家の中を、恐る恐る歩きながら、少し大きな声で呼びかけた
「⋯誰もいな⋯?」
リリーがそう呟いた、その時
リリーの足元に、柔らかい何かが当たった
不審に思ったリリーはゆっくりと、その柔らかいものに触れようとした、その時
リリーの身体中に強烈な電撃が落ちた
(こ、これはもしや!?展開的に人⋯!?
暗闇、柔らかい、床にある
この条件に当てはまるのは、ただ1つ
絶対人だ、これ⋯!)
何故だか勝手に人だと決めつけたリリーは少し後退りながらも、勢いよく柔らかなものに触った
「⋯これ、マネキン⋯?」
「人だと思った?」
「ヒャアアアアアアアアアアアアアアアア」
突然、後ろから聞こえた声に叫びに近い悲鳴をあげながら、リリーは床に倒れ込み、マネキンを盾にした
「あっはっはっは!まさか、こんなことで腰が抜けるガキが、うちに来るとはね!」
明かりのついた部屋の中心で、盛大な笑い声をあげながら、リリーは声のする方へ、マネキン越しに見つめると、そこには
「初めまして、リリー
我がキスメット魔術事務所へ」
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