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未定  作者: 悠木サキ
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第49話 応戦

──ダダダッ!ダラララッ!!

 セーグネル以下第二分隊は、襲来した敵の艦上攻撃隊に応戦する。

 敵の攻撃隊一個小隊は五つの戦闘班に分かれ、横並びになって『アマネ』右舷全体に分布するように展開した。

 そのうち、セーグネルたち第二分隊の正面に位置を取った戦闘班、そしてセーグネルたちよりやや後方の、右舷中心部で展開した戦闘班の二つを、セーグネルら第二分隊の隊員たちはそれぞれ分かれて攻撃する。

 艦首寄りの戦闘班は艦首を守備する第一分隊が、艦尾側は第三分隊や第六分隊がそれぞれ守備している。

 

(堅い──)

 自らも射撃を仕掛けながら、セーグネルが苦い表情で奥歯を噛み締める。

 敵の攻撃隊は『律動』によって創り出した鋼鉄の盾でこちらの射撃を防いでいた。

 遠くからでもかなり堅牢に見える敵の盾の防御に対し、こちらの射撃は、敵の足止めこそしてはいるものの、敵を死傷させ撃退するほどの有効打には到底なり得ていないのをセーグネルは感じていた。

(『鼓動』を使っていてもダメージを与えられない……)

 小銃を撃つ隊員たちは皆、銃弾に『心』を込めて発射しているのだが、ことごとく敵の掲げる盾に弾かれている。

 それもそのはずで、『律動』によって創造された物体は、能力の使用者の『心』から創り出されている。

 つまり、その物体そのものが能力者の『心』の塊のようなもので、その『存在』はもともとかなり優位なものとなっているのである。

 そのため、セーグネルらが銃弾に『心』を込めて発射したとしても、『存在』の優劣において敵の盾に優ることは厳しく──さらに相手は、『鼓動』や『律動』において高い能力を持つ艦上攻撃隊である──、仮に対等であったとしても、あとは盾の装甲厚の前に銃弾が弾かれてしまっていた。


 カンッ!カンッ!

 敵の防御に苦戦するなか、セーグネルたちの周囲で、敵から放たれた銃弾が掩体や甲板に当たり火花がはぜる。

「くっ」

 ひゅん、と空を切って飛来した銃弾がセーグネルの体を掠めた。

 敵の射撃の精度は高い。

 敵もこちらもお互いに移動をしながらの射撃であるのに、今にも命中しそうな敵の攻撃にセーグネルはひしひしと危険を感じていた。

「ひるむなぁっ!」

──とにかく、敵を接近させてはならない。

 なるべく体を縮めて掩体に身を隠しながら、セーグネルは隊員たちに向けて声を張り上げて彼らを奮わせる。

 現在、第二分隊で戦闘中の人員はセーグネル含めて計六名しかいない。それも、苦戦を強いられている大きな要因だ。

「きゃーっ!」

 すさまじい銃撃音に覆われるなか、女性兵士のアビィは独り叫び声をあげていた。

 戦闘開始を目前にして錯乱してしまった少女を、セーグネルたちは結局立ち直らせることができず、そのまま放置されたアビィは掩体の陰で身を丸めていた。


 ドドドドドッ!!

 ノベルの機銃が弾帯を吸い込みながら凄まじい発射速度で機銃弾を発射する。

 ノベルは機銃弾に『心』は込めていない。

 機銃弾は小銃弾よりはるかに大型でそれ自体で破格の威力を持つ。加えて、高い発射速度を持つ機銃の機銃弾すべてに『心』を込めていたら、すぐにノベルの体力──『心』を消耗してしまうからだ。

 しかし、『心』の注入を欠いていても、機銃による攻撃は分隊のなかでは大きな火力である。ノベルは分隊の攻撃を牽引する気持ちで、果敢に機銃を正面の敵に撃ちかけていた。

「くっ……」

 だが、機銃の火力を以てしても、空を漂う敵の攻撃隊の防御は破れない。

 ヒュン!カンッ!

 銃座のまわりで火花が散る。

 敵の攻撃を間近にしながらも、機銃を握り続けるノベル。

「──援護頼む!」

 間もなくして、機銃に備え付けられている箱形弾薬の残りが少なくなり、ノベルは周りの分隊員に援護を頼んだ。

「了解っ!」

 心得た分隊員がノベルをフォローする形で敵への攻撃を引き受け、その間に弾薬を撃ち尽くしたノベルは、次の箱形弾倉を機銃に取り付け、再び攻撃を再開しようとした。

 その時だった──

 ダァンッ!

「!!」

 敵の一射がノベルに命中した。

 ノベルがもんどりうって、仰向けに甲板上に倒れる。 

「ノベルッ!!」

 セーグネルが叫びに近い声を上げる。

「大丈夫か!?──」

 射撃をやめ、彼のもとに駆け寄ろうとしたセーグネルであったが、

「──この野郎ぉっ!!」

 セーグネルがノベルのもとにたどり着くより先に、ノベルはガバッっと身を起こして、すぐにまた機銃に取りついて敵に向けて発砲し始めた。

「ノベルっ、怪我は──」

 ダメージはないのか、彼を気づかい声をかけようとするセーグネルであったが、

「ぉおおおおっ!!」

 興奮しているのか、ノベルはセーグネルの呼び掛けも耳に入っていないようすで、かじりつくように機銃の銃把を握っている。

「しねえええっっ!!」

 凄まじい形相でノベルが叫ぶ。

「──っ!?」

 興奮か、あるいは怒りのためか──普段温厚な彼からは想像できない荒々しい口調で汚い言葉を吐くノベルに、セーグネルは気圧された。


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