表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未定  作者: 悠木サキ
37/66

第37話 炸裂

「ぶっ!!」

 対装甲狙撃銃の発した凄まじい衝撃に、カウルは首を縮めて怯む。

 その直後──

 バーン!!

 カウルたちの前方五十メートルほどの上空で、大爆発が起きた。

 一瞬走った閃光の後、ぼわっと膨らむ爆煙。

「わっ!!」

 それに驚いたカウルが、とっさに身を翻し腕で頭部を覆う。 到達した衝撃波とともに、カン、カンとあたりで物音が立った。爆発により飛散した砲弾の小さな破片が飛んできたのだ。


──す、すごい……

 カウルは驚愕の表情でシーナを見上げた。

 爆発を目の前にしながらも、シーナは対装甲狙撃銃を構えたまま微動だにしない。その鋭い眼は前方の空中を見据え続けていた。

 ドッ!ドオッ!

「!」

 すると今度は海面にいくつもの水柱が立ち上がった。

 他の敵艦が放った砲弾が海面に着弾したのである。

 しかし、そのどれもが『アマネ』から離れた位置に着弾しており、『アマネ』への命中弾はなかった。

(これが、こいつの力……)

 カウルには空中を高速で飛来してきた砲弾の姿を見つけることすらできなかった。

 それなのにシーナは、砲弾を瞬間的に捉え、さらに狙撃銃の放った弾丸を命中させるという離れ業をやってのけている。

 普段の言動に、さんざんストレスを受けっぱなしだったカウルは、はじめてこの少年をすごいと思った。




──使い物になりゃしねえ。

 対装甲狙撃銃を構えながらシーナは、たかだかこの程度の爆発で驚いているカウルに対して内心毒づく。

 命中の危険があった砲弾を撃ち落とした後、『アマネ』の周囲に他の砲弾による水柱が上がるも、シーナは冷静であった。

 そのどれもが『アマネ』に命中しないと見切っていたからだ。

(!)

 見ると敵艦隊の艦影が、さっきまでは小さな粒のように見えていたのが、次第に横に伸びていく。

 それまで、梯形陣で船首をこちらに向けていた敵艦隊が全艦舵を切り、陣形を変えて横一列に並び出したのだった。

(単縦陣……同航戦か……)

 シーナは敵艦隊の動向を見てとった。

 同航戦とは、自軍の艦ないし艦隊が、敵艦隊と同じ方向に進みながら行われる戦闘である。

 このとき、仮にお互いの速度が同じ場合、相手の相対速度はゼロとなる。つまり、お互いに『相手が目の前に居続ける』という状況になり、相手の未来位置の予測──すなわち砲雷撃の照準が容易くなるため、激しい戦闘になりやすい。

 また、相手に対して艦の側面を向けるため、稼働できる砲門の数も増える──相手を艦の正面で捉えているときは、艦の前部の砲しか敵に指向できないが、側面を向けているときは、艦の前後の砲で敵を狙うことができる。

 そのため、より火力を発揮できる同航戦は、苛烈な撃ち合いの様相を呈することになる。

「チッ」

 これからさらに多くの砲弾が飛び交うだろうと予想したシーナがひとり舌打ちをする。

──この足手まとい、ついてこれるのか?


 いや無理だろうな、とすぐに思ったシーナは、フンと小さく鼻を鳴らした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ