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第68話 魔法のいろは(3)

***



「だからあんたは複数属性の魔法が同時に使えるのね」


 納得したようにそう呟く委員長。

 ううむ。わからぬ。


 未だ納得できておらず、眉間に皺を寄せる俺。

 見かねてシエルが口を開く。



「――マルヌスは体内で魔力を練って属性を付与するんじゃなくて、空気中にある『既に属性付与された魔力』を取り込むことで、自分の魔力に属性を付与しているってことだよね?


 元々、複数属性の魔法を同時に発動するのが難しい理由は、『体内で複数属性の魔力を同時に練るのが難しいから』なんだけど。


 マルヌスはそもそも、体内で魔力を練っていない。

 その代わり、既に()()()()()()()を取り込んでいる。

 だから難なく、複数属性の魔法を同時に発動できるってこと……だよね?」


「そういうこと」



 言葉尻で若干自信を無くしたシエル。

 それを後押しするように、委員長が頷いた。


 なるほど。シエルのくせにわかりやすい。

 そういえば昨日もそうやって納得させられたことがあったような。

 ……あれ、ひょっとして、シエルの方が俺より頭いいんじゃ――。



「……でもって」


 さらに何かあるのか!?


 シエルがさらに続けようとしている。

 一方で、委員長はそんなシエルの様子に驚きの表情を浮かべた。



「――マルヌスが中級魔法を使えないのも、空気中にある『既に属性付与された魔力』しか使えないから。


 だってそんなの、かき集めてもかなり微量なはずだよ?

 だから大きい魔法を使いたい時は、それが足りなくて形を保てずに、すぐに崩れちゃう……んだと思うんだけど。

 違うかな? たはは」



 今度はすぐに周りから賛同を得られずに、困惑した表情を浮かべるシエル。

 対して委員長は「ふむ」と感心したように唸った。



 ――それは確かに、シエルの考察が委員長を上回った瞬間であった。


 ――同時に俺の中で、シエルが俺よりも頭がいいことが確定した瞬間でもあった……。




「あなた! 中級魔法が使えないんですか!?」


 シエルの言葉を聞くなり、レタリーさんは驚嘆の声をあげて俺に詰め寄る。

 決して身長が高くない俺と比べても、かなり小柄なレタリーさん。


 これが上目遣いというやつか。

 普段見上げられるような事がないため初めての経験ではあるが。

 ……悪くない。

 なんてくだらないことを考える俺。



 そんな俺を見上げつつ、内心では見下すように、レタリーさんは嫌らしい笑みを浮かべた。


「じゃああなた、そういう意味では私の()()()()ということになりますね。

 ……プププッ!」



 確かに、彼女が昨日発現させた()()()は紛れもなく初級魔法の域を超えていた。


 複数属性魔法を同時に使えてかつ、『中級以上の魔法が使える』――彼女の言う『そういう意味では』とはおそらく、このことを指しているのだと思う。


 一方で彼女は、自身の杖である本と羽ペンがないと一切の魔法が使えないらしい。

 杖を使わないと全く魔法が使えない人もいると、昨日委員長が言っていた。



 杖の有無によって魔法使いの優劣は決まらない。

 一般的にはそう言われているらしいが、昨日の試合では俺が彼女の本を奪うことで勝利する事ができた。


 そういう意味では、杖無しで魔法が使える俺の方がレタリーさんよりも一つ()()()()()()と言えるのかもしれない。



 下位互換と言われムッとした俺は、そのことを主張しようとしたが、やめておいた。

 昨日の話を聞くに、レタリーさんの杖の事は、あまり軽々しく触れていいものではない気がする。


 何より、また昨日みたいに泣かれても困るしぃ?

 ふふ、これこそが大人の余裕ってやつだ……って彼女の方が年上か。



「そんな軟弱なあなたに、アルテアは渡しませんからね!」


 そう言い放ち、去っていくレタリーさん。


 別にアルテアさんをどうこうしようとかも思ってないし、()()って。

 俺一応昨日、あなたに勝ったのですが。



「あ! レタリー先輩待ってください!

 もうちょっとお話を……」


 俺の魔法に対する知的好奇心が薄れたのか、はたまた尊敬するレタリーさんが現れたからか。

 いや、おそらくそのどちらもなのだろうが。

 委員長はレタリーさんの背中を追って駆けていった。




 なんだか、放課後になってからの方が濃い一日だったような気がする。

 ふう、と一息ついていると、いつの間にか俺とシエルの側に来ていたレビィがゆっくりと口を開いた。


「……終わった?」


「ああ、たぶん」



 するとレビィは、羽織っているオーバーサイズのローブのポケットをごそごそと漁り、二枚の紙を取り出した。


「これなんだけど――」

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