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Final Rust Pantasy Story  作者: 龍尾翼
7/7

Turn07:Ash

最後のヴァンパイアロードが、塵となって消えた。

魔神コミュスタンにその魂が囚われていなければ、不死の王として堂々とやり合えたのだろうが、先を急ぐ俺達にとって障壁の一つでしかなかった。

ここで塵となった9人の王は、魔神コミュスタンによって死後の世界から召喚させられて、無理やりに魂をこのダンジョンに縛り付けられていた。

このダンジョンは、10階層の次元を超えた中にいくつか有るダンジョンの一つであるガルスの城の中だ。

「やっと。ここまで来たな・・・」

俺の肩に手をおいた義兄のラルクールがそうつぶやいた。

俺は軽くうなずくと深呼吸して部屋をぐるりと見渡した。

今この場には、俺と聖騎士のラルクールとドワーフで侍のマイセン、スカウトのマウスキッド、神官のファメイリン、エルフで魔道士のタウラスの6人だ。

3メートル立方のクリーム色の巨石は、どのようにして削り出されて組み上げたのかわからないが、縦横高さきっちりと12個並んでいる。その四方のいずれかの壁の中央に床の面に合わせた扉があって、これまで通過した部屋も例外なくそのルールに習っていた。方位を把握していなければ永遠にさまよい続ける可能性がある。後にマッピングをしていたマウスキッドとタウラスの話では、20×20のマスの中に各ダンジョンが収まるということだった。

この部屋が唯一違うのは、東側にドラゴンの頭をレリーフされた巨大な両開きの扉が有ることだ。

これは各階層守護者の部屋であることを物語っていた。

「他の部屋もそうじゃが、なんとも虚しいものじゃの、自分の意志も奪われて無理やり使役させられているというのも・・・、そもそもヴァンパイアロードといえば誇り高き種族で・・・」

マイセンは軽い舌打ちをしてそう吐き捨てる様に喋りだしていたが。

「そう嘆くものでも有りませんよ。彼らの多くはこの全ダンジョンの魂を持たない守護者なのですからね。各階層守護者を倒してしまえば、各階層毎とはいえ彼らも開放されるわけですから。」

呪文書を開いて、次の戦闘に備えていたタウラスが声をマイセンの長くなりそうな話を遮った。

「この先にいるダンジョン守護者をたおせれば、この世界に巻き込まれた人達も開放されるのですね・・・」

ファメイリンは、大きな扉を見つめてそう言った。

「そうだな、この奥にこの城の主『ガルス』が居る。そして、やつこそがこのダンジョンの主だ。」

ラルクールは、一歩前に踏み出し振り返った。

「扉の開閉は、マウスキッドとマイセンに任せる。扉が開いたら私とアッシュで前衛に立つ。」

「いつもどおりのそれで良いんじゃないか。向こうも初手はブレス攻撃だろうし、おたくらのバトルスーツとラージシールドⅥがそれを防げなかったらどのみち全滅だからな。」

マウスキッドは、俺のバトルスーツの装甲をノックするように叩きながら行った。

バトルスーツとラージシールドⅥは、俺達がこの世界に来て手に入れた装備だ。

ありとあらゆる攻撃に耐え抜いた分この装備の防御力は上がっていった。

それを二対発見しただけでも奇跡だった。

「後は、奴が想定通り竜種であることを祈るだけだ。」

そう言って俺は腰に下げていた剣を抜いた。

その剣はドラゴンスレイヤーⅡ、唯一の邪竜王ガルスにトドメを刺せる剣だ。

「それじゃぁ。チャッチャと解錠しますか。」

マウスキッドは、跳ねるように扉の前に向かった。

「キッドさん。いくらなんでも油断しすぎですよ。」

後ろ向きのまま、片手をひらひらとさせて扉に取り付いたマウスキッドだった。

「・・・マイセンの旦那、あれを持ってきてくれ・・・」

「あれとは何じゃ・・・あぁこれか・・・」

そう言ってマイセンは、4つのクラウンを取り出した。

「じゃ、旦那はそっちで。オイラはこっちで・・・アッシュ準備しなっ。」

俺とラルクールは素早く扉の前に行き盾を構える。

マイセンが扉の片側に2つのクラウンをセットし終えたのを確認するとマウスキッドは、盾を構える二人に目配せして自分のクラウンを少し遅れてセットした。

扉が音を立てて少しづつ開いて行く。

マウスキッドは扉の向こうに気配がないのを確認すると二人に合図を送った。

人が通れるほど開くと俺とラルクールはマウスキッド達と入れ替わるように前に出た。

盾を構えたまま俺たちは扉の奥へと進み出た。

少し遅れてマイセンとマウスキッドが、更に少し遅れてファメイリンとタウラスが続いた。

同時に二人の術士は全員に攻撃力アップ・防御力アップ・素早さアップのバフ効果の呪文を唱える。

マウスキッドは素早く闇に消え、マイセンがタウラスとファメイリンを正面から守る位置に陣取る。


その扉の奥は、呆れるほど巨大な空間だった。まるで王の謁見の間のようなイメージを思わせる。左右の壁に並ぶ杖を持って鎮座する巨大な像は奥まで並び続き、座った膝の高さは、人間の身長の倍は有った。

そして奥の王座の位置鎮座していたのは、邪竜王ガルスだった。

ガルスは、咆哮を上げると巨大な翼をはためかせ一気のこちらに詰めてきた。そして射程に入った瞬間ブレスを放った。

生半可な鉄塊なら溶けてなくなるだろうその紅蓮の炎に俺とラルクールは耐えた。いや耐えられた。

ラルクールは、バトルスーツの力を借りて跳躍すると炎を抜けボーパルウエポンの初撃を与えガルスを叩き落とした。ガルスの鱗を突き破れなかったものの片翼をへし折るには十分だった。

「まるで太い鉄柱を殴りつけたようだ。」後にラルクールはそう語っていた。

俺は叩き落されたガルスにバトルスーツのブースターダッシュで押し迫り切り伏せた。

だがガルスは、素早くその攻撃をかわし鱗数枚切り落とすだけだった。

それでも、ガルスにはドラゴンスレイヤーⅡのダメジーは通り、悲鳴のような雄叫びを上げて俺にブレスを再び浴びせ続けた。

左右に別れた俺とラルクールを懸命に追いかけるガルスに対し攻撃の導線が開けた3人は、それぞれ雷撃・防風・氷結の攻撃魔法をガルスに叩きつけていた。

ラルクールのボーパルウエポンによる攻撃は、初手の不意打ちダメージ以後半減されてしまっている様だった。魔法攻撃も同様にダメージが半減しているようだ。

ガルスの防御特性なのか、ドラゴンスレイヤーⅡ以外の攻撃は、魔法を含めて半減し続けていた。

「このままでは埒が明かんぞぉ。」

「皆さん頑張って下さい。ダメージは確実に与えてはいます・・・。」

「一体どれほどの体力を・・・」

ラルクールの動きも攻撃というより、防戦のようになってきていた。

唯一のドラゴンスレイヤーⅡもダメージが通っている感触は有るのだが、決め手にならない・・・

なにが・・・後、なにが足らないんだ・・・

焦る俺の前でガルスの死角に潜んだマウスキッドの放った矢がガルスの鼻頭に有る角をかすめる。

一瞬ガルスが退いた。だが、間髪入れずにマウスキッドの居た死角にブレスを放つ。

マウスキッドは影移動でその場から脱出していた。

『アッシュ!見たか?角だっ!』

風魔法によるマウスキッドの声が聞こえた。

俺は返事の代わりに跳躍しガルスの顔めがけて薙ぎ払った。


アッシュ/AGE 29/人間/ロード/Lv 41

/STR17/INT18/PIE18/VIT13/AGI18/LUK17/AC-19/HP308

ラルクール/AGE 32/人間/ロード/Lv 37

/STR18/INT18/PIE18/VIT16/AGI18/LUK18/AC-15/HP431

マイセン/AGE100/ドワーフ/サムライ/Lv 28

/STR16/INT18/PIE18/VIT17/AGI18/LUK18/AC -9/HP302

マウスキッド/AGE 33/人間/スカウト/Lv 17

/STR16/INT14/PIE 7/VIT12/AGI16/LUK16/AC -6/HP263

ファメイリン/AGE 28/人間/プリースト/Lv 27

/STR18/INT18/PIE18/VIT16/AGI18/LUK16/AC -4/HP261

タウラス/AGE176/エルフ/ウィザード/Lv 47

/STR18/INT19/PIE18/VIT14/AGI18/LUK18/AC -3/HP136


注)作者メモの為、変更する事があります。

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