プロローグ
―――俺はどこでミスを犯したのだろう?
頭の中はそのことでいっぱいで、他のことを考える余裕はあまりなかった。
こんなはずではなかった。もっと上手くいっていたはずだ!俺の心がそう叫んでいた。だが、現実はどうだろうか?そんなことはない。
―――彼女を悲しい表情にさせてしまった
この事実がどうしようもなく、俺の心を痛みつける。もっと上手く立ち回れたと今ならわかる。どうしてそれをあの時やらなかったのか!
ついつい俺は俺自身を責め立てる。
だが、そんなことをしても何にもならないことを理解している。大切なのはこれからどうするべきかなのだから。
はぁはぁと息が上がってきた。普段運動していため体力には自信があったが、こうも長期間全力疾走すれば息ぐらい上がるものだ。
だが、それでも足を止めず前へ進む。今俺は足を止めるわけにはいかない。それは俺の信条に反する。
走りながら自分の頭はクリアだった。そのおかげで、自分のミスが何であったのかが理解することができた。
そしてそのミスの正体に俺はついつい苦笑いをしてしまう。
―――全く俺たちの目はどうしようもないぐらい囚われた自由のないものだ
俺は全力で走りながら、そんなことを考えていた。