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職安に行ってみよう

 今日は職業安定所、通称、職安に向かってます。


 薬品会社からお金をたんまりといただきましたし、毎月振り込んで貰える分もあるので生活は出来ますが、これからの長い人生、もとい、魔物生を考えると仕事は必要なんです。


 魔物省での反省を活かして、今回は前もって魔導遠距離通信具(通称、魔通)で予約済み。予習もバッチリです。



 建物自体は5階建ての普通のビルです。一般の会社やショールームなども入っているこのビルの2階に職業安定所があります。


 階段で2階に上がり、ガラス張りのドアを開くとすぐに受付です。


「今日は当ハッピーワーキングエブリィにどういったご相談ですか?」


 ハッピー・・・。そういえば何年か前にイメージアップの為にそんな名前に変わってたな。


「あの、魔通で予約した者なんですけど」


「担当のハッピーワーキングエブリィメンバーの名前はわかりますか?」


「・・・担当者で良くないですか、それ」


「いえ、当ハッピーワーキングエブリィの担当は、ハッピーワーキングエブリィガールかハッピーワーキングエブリィメンのどちらかしかいませんよ。担当のハッピーワーキングエブリィメンバーの名前を教えてください」


 ハッピーハッピーうるさい!


 私はウサちゃんリュックに挟んだメモを見た。


「クンネチュプさんです」


「ハッピーワーキングエブリィガールのクンネチュプさんですね。少々お待ちください」


 だから、ハッピー言うな。


「ご用意出来ました。6番のハッピーワーキングエブリィスペースにお座りください」


「いちいちハッピー言うな!」


 あ、声に出してツッコンじゃった。

 なんか周りが見てるけど、しょうがないよね。


 私は6番の席に移動して座る。



 私の前にスケルトンの女性が現れた。


 骨だけなのに、一目で女性だとわかった。骨格がとても女性らしいのだ。

 骨だけなのに目が大きくて可愛らしい女性の顔に見える。

 身長は150センチくらいの小柄な女性だ。


 確かに可愛らしい人だと感じるけどね。髪の毛ないのにカチューシャはいらないだろ! カチューシャは!


「あまりジロジロ見ないでくださいな。私、着太りするタイプなんで恥ずかしいです」


「あ、すいません。今日はよろしくお願いします」


 カチューシャは置いておいて、骨だけなのに余りにも可愛いく見えてしまって見過ぎてしまった。


 だけど、着太りって。充分細いですけど、骨だけだし。


「私がアンデット担当のハッピーワーキングエブリィガールのクンネチュプです」


「お前もハッピーか!」


 またやっちゃった。周りがまた見てる。


「いやあ、面倒くさいですよね。このハッピーって」


 クンネチュプさんは、顔を近づけて小声で言った。


 良かった。この人はまともそうだ。


「ここからは職安でよくないですか?」


「あのですね、後で怒られるんですよ。ハッピーワーキングエブリィマスターに。まあハッピーワークならギリでいけますけど」


「じゃあ、それでお願いします。クンネチュプさん」


「わかりました。後、私のこともチュプでいいですよ」


 良かった。少しは短くなったし、チュプさんも気さくそうな人だ。


「本日は、当ハッピーワークに仕事をお探しに来たという事でいいんですよね」


「はい、なにぶんウィルオウィスプになったばかりのもので、何の仕事に向いているかわからないんですよ」


 チュプさんは机に資料の束を重ねた。

 事前に用意してくれたみたいだな。予約しておいて良かった。


 あ、この人、手首にシュシュつけてる。

 いや、あのさ、お洒落としては良いのかも知れないけどさ、それで髪を纏める機会はないでしょ。


「普通にブレスレットで良くない?」


 あ、また声に出してツッコンじゃったよ。


「はい?」


「あ、いや、何でもないです」


「?」


 そんなにキョトンとした顔しないで。

 その顔も何か可愛いし、わけわからん。


「魔通でご予約を頂いたので、私の方でも色々と調べてみたのですが、超希少種のウィルオウィスプの固有求人は見つけられなかったんですよ」


 やっぱりか、でもここまでは予想通りかな。


「それで、似たタイプという事で、ゴーストを中心に資料を集めてみました」


「私もすぐにみつかるとは思ってなかったので、一緒に探して貰えると助かります」


「ちょっと時間は掛かるかも知れませんが、可能性を探っていきましょう」


「よろしくお願いします」


 思った通り、チュプさんは良い人だ。嫌な顔ひとつせずに、親身になって仕事探しを手伝ってくれる。


「う〜ん、物質に触れないというと、これはダメ、これもダメかな、でもマヒナさんは魔法が使えるという事だから、これは可能性があるのか・・・」



 仕事探しは思っていた以上に難航した。

 ウィルオウィスプの性質に、仕事をする上で問題となるものが多いのだ。


 先ず問題となるのは物質に触れないという事。これがまあ一番の大問題であり致命的なのだ。


 ペンが持てないので事務仕事は全滅。役所でサインを書かされた時に使った[霊体感応素材]で作られたペンは是非とも手に入れたいアイテムである。

 私の場合は魔法が使えるので、風魔法で物を浮かせる事は出来るが、当然、細かいコントロールが難しい。これも練習する必要がありそうだね。


 次に問題となるのが、ウィルオウィスプは聖属性の魔法に極端に弱いのだ。下手したらローヒールで消滅する事もあるらしいので、大抵の場合、治癒魔法部隊が伴う軍事関係の仕事も全滅なのだ。


 ウィルオウィスプの性質の利点として、ほぼ無敵というのがある。物理攻撃を完全に無効化出来るし、魔法攻撃も聖属性以外の属性魔法は全て無効化出来る。


 ウィルオウィスプは全く攻撃に向かない種族なのだが、私は元が人間の魔法使いだったので、無敵な上に攻撃魔法で一方的に攻撃出来るのだ。


 なので、本来なら軍事関係の仕事は向いている筈なのだが、先程の聖属性に異常に弱いという性質のせいで、全てを台無しにしてしまう。


 要するに、バランスの悪い存在なのである。



「う〜ん、とりあえずはこのへんのお仕事をいくつかやってみましょうか。先方には私から話を通しておきますので」


「そうしてもらえると助かります。私もやってみないと何とも言えない状況なんで」


「いつ頃から、お仕事を始めますか?」


「来週からでお願いします。私の方でも今迄とは違う魔法の使い方の練習をしておきたいので」


「それでは、その様に手配しておきますね。詳しい日時は決まったらご連絡差し上げますので」


「ありがとうございます。いやぁ、本当にチュプさんが担当で良かったですよ」


「そう言っていただけると私も嬉しいです。当ハッピーワーキングエブリィのまたのご利用をお待ちしています」


「最後にまた、それを言うんかい!」


ーーーーー[次回予告]ーーーーー


 死んじゃったけど魔物に転生して蘇った私。

 幽霊じゃないですよ、ウィルオウィスプなんです!


 生前、冒険者だった私は冒険者ギルドに登録していた。魔物となってしまったので、その登録も変更しなきゃいけないみたいです。


 次回[冒険者ギルドで登録の変更をしよう]


 いつまでも笑ってんじゃないわよ、クソ親父、全く!




 誕生日投稿スペシャル、5時台の投稿です。

 この作品としては本日3回目の投稿となります。

 まだまだ投稿しますんでよろしくお願いします。



 【作者からのお願いです】


 読者様からの反応を何よりの励みとしています。

 ポイント評価、ブクマ登録、感想、レビュー、誤字報告を頂けますと、創作意欲のより一層の向上に繋がります。

 お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。

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