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妹に転生の報告をしよう

 新連載です!

「参ったなぁ、ルナに何て言えばいいのよ」


「ありのままを言うしかないんじゃないの、ルーちゃんなら受け入れそうだし」


「困ったねぇ、死んじゃって魔物になっちゃったよ〜、ほ〜ら見て見て、足がふにょんってなっちゃったよ、足がふにょんって、てへぺろ、なんて言えるか!」


 こんな時に、何、ノリツッコミしてんだろ、私。


「ぎゃっはっはっは、ダメ〜、思い出させないでよ〜、きゃははは。改めて見ても、ひゃっひゃっひゃ、足がふにょんって、きゃははは、あんた、ひひひ、漫画のフキダシみたいだよ〜、ひゃっひゃっひゃ、ひっひっひ、けひょ、げほごほごほ」


「むせんな! 馬鹿女!」


 私の名前はマヒナ。享年18歳のうら若き乙女でした。が、このほどウィルオウィスプというレア魔物に異種族転生してしまいました。


 むせるほど大爆笑してるのは私の友人でセレネといいます。笑い過ぎだろこの馬鹿女!


 私には8歳になる年の離れた妹がいるのですが、両親は他界してまして、生活の為に冒険者をやってました。

 専門は魔法使いでした。昨日まではね。


 冒険者といっても、魔物を倒したりなんて事はしませんよ。昔じゃあるまいし。


 世界中の王様達と魔王様達が喧嘩をやめて250年も経つんですよ。意味なく魔物を退治なんてしようものなら捕まっちゃいますよ、法律違反です。


 でもね、平和になっても悪い奴っているものなんです。


 そんな悪い奴から良い人を守ったり、時には捕まえたりするのも今の冒険者の仕事の一つです。

 殺したりなんてしませんよ。殺したりしたらこっちが捕まっちゃいます。法律違反です。


 正確には冒険者に逮捕権はありませんよ。捕まえた場合には最寄りの騎士団に引き渡し、同時に犯罪の証拠となるものを捕縛証明書と共に提出(王国の場合です。国によって手続きの方法に多少の違いがあります)しなければなりません。

 あっ、相手が盗賊の場合は別です。現行犯に限られますが、冒険者にも緊急逮捕権が認められていますからね。


 他に採取の仕事もあるにはありますが、よっぽどのレア物でも見つけないと生活出来ませんよ。今のご時世じゃね。



 今回私は友人でタンク職のセレネと一緒に、とある薬品会社の薬剤運搬用馬車の護衛の仕事をしていたのです。

 正直言って、身入りの良いナイスな護衛依頼でした。


 そこに盗賊団が現れまして、遠距離型の闇魔法を撃ちつつ襲ってきたわけですよ。

 結界魔法が得意な私は、二手に分かれた盗賊団の内の一つの正面に立ち塞がり馬車を守っていたのです。


 ですがその時に、慌てた薬品会社の職員が馬車の窓から盗賊を攻撃しようとしたんです。

 戦いに関して素人の職員が使ったファイアボールが薬剤に引火して[ドカン]ですよ。


 その馬車には、認可前の違法薬剤まで積まれていたらしく、大爆発により結界も壊れてしまった私は、前から盗賊が放った闇魔法を食らうは、後ろからは薬剤から出た大量の魔素を浴びるわで踏んだり蹴ったりですよ。


 で、気づいたら死んでいたわけです。


 死んじゃったのに意識があるので、幽霊になっちゃったかな〜、なんて思ったりしたのですが、ウィルオウィスプって魔物に転生してたんですよ。びっくりですよね。


 まあ、高濃度の魔素と闇魔法が混ぜ合わさったおかげで転生出来たみたいだけど。


 薬品会社の方も違法薬剤まで運んでたもんで慌てたわけですよ。

 やれ違約金やら見舞金やら慰謝料やら、更には口止め料まで貰ったんで、とりあえず生活に支障はないのですが・・・。


 納得いかないよね〜。


 しかもこの身体、物質がすり抜けちゃうので、貰ったお金も自分で持てませんでした。


 振り込んで貰いました。当然、一括払いでね。

 更に毎月15万ゴールドを振り込む約束をさせたので、贅沢しなければ暮らしていくことが出来るようにして貰いました。


 で、まあ、なんだかんだで、やっと家に帰れるんですが、本当に、妹のルナに何て言って伝えればいいんでしょうか?


「ひゃっひゃっ、ひぃ、ふぅ〜、ま、まあ、元気出しなさいよ。歩かなくて良くて便利じゃない」


「足が無いからね・・・って、あんたは本当に人事だね、セレネ!」


「だって人事だもん」


 取り憑いてやろうかしら、コイツ。


 初めて私が転生した姿を見た時、コイツはどうしたと思いますか?


 大爆笑ですよ大爆笑! お腹を抱えて笑いながら「あ、足が、ぎゃははは、足がふにょんって、きゃっはははは、漫画みたいにふにょんってなってる。ぎゃはははは、ははは、げは、がはあ、けほけほ、おげえぇぇ!」って、エズクまで笑いやがったんですよコイツ。


 まあさっきも大爆笑してましたけど、友人が死んだ直後に大爆笑って酷いと思いませんか?


 ウィルオウィスプって聞いて丸っこいオバケの形をイメージする人は多いと思いますが、言っときますけど私は丸っこくはなってませんよ。シュッとしてますよ、シュッっとね。

 まあね、確かにね、足はふにょんってなってますよ、でも仕方ないじゃないですか、そういうもんなんだから。


 そんな事よりもね、心配なのは妹の反応です。姉妹二人きりで生活してきたんですからね、姉がこんな事になってしまってショックを受けると思うんですよ。


 どう切り出せば、妹の悲しみを少しでも小さく抑える事が出来るのかと、ショックを受けた妹の心をどう癒してあげれば良いのかと、いくら考えても答えは出ません。


 って、さっきから私は誰に話しかけているんだ。一話目だから会話口調で読者の方々に説明しているのか?

 だから、一話目とか読者の方々とか何を考えているのか! 突然の魔物への転生で私も動揺しているのだな。多分。

 うん、そういう事にしておこう。


 兎に角、妹の事だけが心配で仕方がないのです。








「マヒナおねえちゃん、すごい。とんでる。カッコイイよ、マヒナおねえちゃん!」


 本当に何でも受け入れるね、ルナ。

 まさか飛べるのがカッコイイって反応が返ってくるとは、想像の斜め上から急降下してきての見事な下向き空中開花を決めてくれたね。って、私の妹はブルーイン○ルスか!


 お姉ちゃんはあんたの将来が本当に心配になってきた。ショックを受けるのが私の方だとは思わなかったよ。ルナ。


「いい、ルナ、よく聞いてね」

「今までは私が、掃除、洗濯、まあ家事全般やってたけどね。これからは出来なくなっちゃうんだよ」


 何も持つ事が出来ないからね。

 このウィルオウィスプの体は、物質をすり抜けてしまって触る事が出来ないのだ。


「だいじょうぶ、ルーがおてつだいしてあげる!」


 強いな〜この子。良い子なんだけど・・・。


「しょんなかねぇ、わらすも手伝うっぺよ、マヒナっち」


「悪いけど、そうしてもらえると助かるわ、リュンヌ」


 私達姉妹は、食堂の二階に下宿させてもらっている。リュンヌはその食堂を経営しているマウニおばさんの娘で母娘で経営している。

 リュンヌは生まれも育ちもこの街なのだが、何故か変な訛り方をしている。謎だ。


 今迄も、私が家を空ける時は、リュンヌに妹の面倒を見てもらっていた。


「でも〜、これから大変だっぺなやぁ、どうすんだ〜」


「正直、今はまだどうすればいいかわかんないよ。でも何とかするしかないじゃない」


 とは言ったけど、本当にどうしよう。

ーーーーー[次回予告]ーーーーー


 死んじゃったけど魔物に転生して蘇った私。

 幽霊じゃないですよ、ウィルオウィスプなんです。


 魔物となった私が人間の街で暮らすには、その為のルールを守らなくてはなりません。


 次回[魔物省に届出をしよう]


 お役所ってのは本当に、全く!




 第一話は如何でしたか?

 この作品は終わり方も考えてないですし、思いつくままに、のほほんと書き続けていければと思っとります。

 読者の皆様にも力を抜いて末永くお付き合い頂きたいっす。


 実は本日、4月28日は作者の誕生日でありまして、誕生日スペシャルと題して現在連載中の他の作品と共に、本日はまだまだ投稿していきます。

 詳しくは活動報告をご覧になってみて下さい。



 【作者からのお願いです】


 読者様からの反応を何よりの励みとしています。

 ポイント評価、ブクマ登録、感想、レビュー、誤字報告を頂けますと、創作意欲のより一層の向上に繋がります。

 お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。

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