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100万ボルトの挨拶で
まさに雷に打たれた瞬間だった。
辺りが真っ白になり、激しい痛みが全身を駆け巡る。
"雷に打たれる確率は、宝くじの一等と同じ確率なんだって!"
昔誰かが言っていた事を今更ながら思い出す。
「そんな事なら宝くじ買っとけば、今頃億万長者だったろうな…」
なんて自分自身に皮肉を垂れながら、人生の終焉を感じ取った。
真っ白で、痛くて、とてつもなく煩い雷の中で、死んでいく恐怖を感じ取る。
しかし、走馬灯は流れない。ただ一人。
人生最大の修羅場を迎えているこの状況で、思い浮かんだのは彼女の綺麗な黒髪だった。
「ら・・・い・・・・き・・・り・・・さ・・・ん・・・・・・」
助けを乞う言葉でも、辞世の句でもなく、出てきた言葉はダブルミーニングにも取れる彼女の名だ。
そろそろ意識が途切れるその瞬間に、名前を呼んだその瞬間に、彼女の声が聞こえた。
「・・・・・よ・・・ぜ・・ら・・・く・・ん」
そこで僕の人生は終了した。