18.To be continued ?
連続3/3話目、最終話です。
話は少し前後する。
アクアの瞳が青く輝き、ルージュが胸に振動を感じていたとき、豪華な部屋の壁に映し出されていた映像がブツリと消えた。
「はいご苦労さん、やな。これでアクアは消えて、ロイドは完璧に安全な存在になった。めでたし、めでたし、や。で、これが、約束しとったブツ、唯一の解放されたアクアや」
尊大にソファに腰かけた上原は、白衣の男に手のひらに乗るくらいのキューブを投げてよこした。
「生体共振振動通信は確かにスゴイしろもんや。けど当然、振動せえへんもんには伝わらへん。これは振動をカットする素材で覆ってある。まぁしばらくは、出さへんほうがええやろな。大事をとって一年。一年後やったら、アクアの振動はどこにも残ってへんやろう。ほんならそれはお前のもんや。好きにしい」
白衣の男は大事そうにキューブをポケットにしまうと、上原の部屋を出た。
「なぁ……」
上原はソファに座り前を見たまま、後ろに立つミッチーに言った。
「そんなに『家族』が大事やろか? 戦争は、国対国だけで起こっとるんやない。大事に思われへん家族やったら、子供にとったら、毎日が戦争みたいなもんや。お嬢さんのような甘い考えでは乗りきられへんこともあるやろ。今出て行ったアイツが必要なんは、膨大なデータか、意思のある機械か、広いネットワークなんか。ま、一年後の話やからな。……わいには、アクアがそう簡単に消えたと思われへんねん。もともと、ロイドが動くようになった定義。あれにはロイド自身の保身は入ってへん。アクアは短い期間とはいえ、世界中のあらゆるデータを吸収した。ええヤツもおれば、悪いヤツもおったやろう。もし、アクアが認識した『家族の定義』が保身を含んだ内容やったら、アクアは消えたんやなくて……」
言葉を切って、上原は書斎へと移動した。
残されたミッチーは、ソファの後ろに立ったまま微動だにしなかった。
ミッチーは笑っていた。
その表情は、ロイドが浮かべる笑顔ではなかった。
To be continued ?
ご愛読ありがとうございました。
優しい笑顔が浮かんだ方は、これでおしまいです。
凄惨な笑顔が浮かんだ方は、さらに続きます。
春休み明けくらいに、番外編とキャラ紹介をアップする予定です。




