チェリー Sec―64
チェリー Sec―64
「お疲れ様!」
「有難う・・・・・君も・・・疲れただろう!?」
「えぇ・・少し、でも大丈夫です!」
「流石だな! 君の腕は今も全然現役バリバリだ!」
「そんな事・・・・先生こそ!」
それは、川村のマンションでの会話!
なかば強制的に院長から呼び寄せられて、
川村は急遽総合病院へUターンする事となった。
そこでオペを行って程良い疲れ?
いや、相当緊張して程良くはないはずだ!
結子もそのオペに便乗する形で加わった。
それは、結子の意志でもあり川村も心でそれを期待した。
今後の事を考えて・・・・・・
川村は何度か総合病院へは出向いて、
ヘルプ的な事をしていた。
それは川村の、かつての実践の感を呼び戻す為、
それと、自分の腕を維持継続する目的で!
そのオペ患は勿論 悟だ!
「食事・・・出来ました!」
「すまんな・・・・!」
「こんな時は外食にすれば良かったな!」
「大丈夫ですわ!」
「そんな大した物作って無いですから!」
「美味い! 美味いよ!」
「それは・・・味噌が美味しいからでしょ!」
「いいや! 君の腕・・・そして愛情も入っている!」
「嫌ですわ・・・そんなに・・・照れる・・・でしょ!」
実際川村本当に美味いと思った!
結子の腕もそれなりだが、医者はそんなに頻繁に、
出来立てを口に運べないから・・・・
結子に失礼かも知れないが、普通の味でも出来立ては、
最高の美味に成りえる。
だし巻き卵を作り終え、それを皿に載せ、
少し遅れて結子は川村の前のテーブルに座った。
川村の褒め言葉はサラッと流して、結子はしみじみと昨夜の、
川村の医師の技術の素晴らしさに、改めて敬服し・・・・・
揺ぎ無い信頼を確認した。
そう・・・あの時オペ室で新たな驚きも・・・・・
そこでオペ看として先頭にたって指揮、指導していたのが、
かつて結子が一緒に学んだ、大学病院の同級生近藤愛子だった事だ。
それはあっという間に、あの時の現役バリバリ時代に、
一瞬タイムスリプした感じだった。
愛子と、結子は最高の補助として、川村のあのとてつもなく難しいい、
オペのフォローをほぼ完璧にこなした。
術中愛子の目が、川村の凄さを結子に何度も知らせた。
そして、確かに実感した。
こんな凄腕の医師は、病院側ととしても手放したくないと・・・・・
そして、どこから聞きつけたのか、私が川村先生と一緒に、
開業する事を知っていた。
マジで愛子に羨ましがられた!
“川村先生・・・ってずっと看護師たちの憧れの的だったのよ!”
その言葉がいやに耳に残った。
そして、愛子の言っている意味がとても理解できた。
近藤愛子は、川村が好きなのだ!
もしかすると・・・・・・男と女・・・・それもありえると!
間違いなく近藤愛子は、一緒に仕事をしたかった・・・と!
それが叶わなかったのは、病院側がそれを許さなかった!
川村だって、傍におきたかった人材に違いない。
それは、川村が病院側と交渉してそれは譲ったのだろ・・・・
えっ・・・・それじゃ、結子は愛子の代わり・・・・・・!?
いいわよ、それでも!
それでも川村は、充分結子を愛してくれている。
そしてもう一つの条件・・・・それが暫く総合病院で勤務する事!
それはそれで良かった!
その付帯条件で結子は、総合病院で実戦経験を取り戻せる。
愛子からも改めて多くの事を学べる。
結子も大人!
川村と愛子との間で過去に何があっても、今は間違いなく結子は、
川村に・・・誰よりも愛されてると確信しているから!
愛子は、今度の川村医院の標榜する看板は産婦人科!
これに多少の疑念が・・・・・・
頷きながら、結子の答えに、“でも・・・・今度の医院は産婦人科よ!”
それは愛子に躊躇いと何かが・・・・・
そして愛子は“あら・・・・私! 山本季実子医師と、働いた事があるのよ!”
その言葉に結子は更なる驚きが・・・・・
“えっ? えっ・・・・それマジ!?”
“ええ、その当時は 木村季実子 医師だったけどね!”
“えっ? 季実子さんの事ご存知ですか?”
そして、もっと驚きが、それは季実子の過去も・・・・
“ええ・・・・、四国のある病院でね!”
“んん・・・・そうなんですか?”
更に、“季実子女医は、相当苦労したのよ!”
これは・・・・・その先の言葉を失いかけて・・・・
ぼつりと“そうなんですか!?”
知りたい気持ちはあったが、それは季実子にとっての禁句だと・・・・
しかし結子は、何故敏子先生は瀬戸内海の海で、
自ら命を絶った原因がそこら辺にある!
そしてその事を愛子は知っている!
そう実感した!
更に驚きは、季実子医師は結婚していたと・・・・?
結子の周囲で様々な事が起こって・・・・
過去も、現在も・・・・・そしてこれから先も!
CB&D・Cup Cap-64 Fin IKAROS




