チェリー Sec―62
チェリー Sec―62
穂香は悟った!
非常に危険な状況である事を・・・・・
あの時アラームが鳴ってモニターは、いつもと違う波形だった。
そして、それは悟の危険を知らせるサインである事を!
1分もしないうちに医師が大急ぎで駆けつけて来た。
心配でしょうがない穂香に退室を促したのは・・・・・、
それは・・・・穂香が見てはいけない診療行為、
そんな診療行為が必死で迫っていた事を物語る。
入室を許されると、悟の体中に多くあるチューブが増えた、
そして、点滴の数も色も少し前と変わっていた。
あの時より脈の乱れが落ち着き、警報ランプが青に変わった。
どうやら、危機は脱したらしい。
医者の説明では、穂香の存在を悟が感じて、悟の体、
特にある神経が過剰に反応したらしい。
穂香の気持ちに報いるように、悟がそれに異常に反応した。
それが今の悟には危険らしい。
穂香は一瞬の喜びと、多くの不安を感じてしまった。
それは・・・・、私が悟の・・・・・悟を励ますのも、
今は生命を危険に晒す頃になるらし・・・・と!
あの時、ICUルームを出て穂香は目に多くの涙を貯めて、
“悟!ごめん!”
“私って・・・・・穂香って、いつも、いつも悟を困らせる!”
“ゴメンなさい! 悟!”
失意に落ち込む穂香の前に・・・・、
スーツと、いつの間にか結子の姿があった。
そして結子が、穂香の肩を抱くように、抱えるように励ましてくれた。
「大丈夫! ねぇ穂香さん!」
「大丈夫!悟さんは必死でね・・・・・」
優しい天使の微笑みで、諭すように・・・・
「いい! 穂香さん!」
「悟くんが必死で穂香に答えようとしただけ!」
「結子さん!」
その言葉は穂香にとって死ぬほど嬉しかった。
少し我に帰り、ふと思った。
穂香は結子がこの場にどうして存在しているのかを・・・・
その事の驚きは、穂香の心にはズレて感じた。
嬉しかった!
結子の温かい抱擁が穂香の心を癒してくれた。
それは本当に暖かかった・・・・・、
穂香の冷え切った心が救われた!
「穂香さん、いいわね・・・彼はね、頑張ってる!」
「そう・・・・きっと、頑張れるわよ!」
「はい! きっと!」
「さぁ・・・・・、涙を拭いて!」
穂香は、結子から渡されたハンカチで大きな瞳と、
頬をつたう涙を拭いた。
そんな動作で、結子の存在が急に不思議に思えた。
そして、咄嗟に出た言葉が・・・・
「えっ、どうして・・・・結子さんが!?」
「あら・・・・私も看護師よ!」
「・・・・・・・?」
「変かしら・・・・・私がここにいる事!?」
「・・・・えぇ ・・・!?」
そして次の言葉で納得した。
そんな話を過去に・・・・・
「今はね・・・私は看護師として働いているの!」
そう、その話は以前聞いた事はある。
結子さんが看護師をしていた事は!
しかし、何故今ここにいるの? どうして・・・・
そんな穂香の疑問を打ち消してくれたのは、
見覚えのある、あの指導的な看護師、
近藤愛子が近づいて来て、事情を説明してくれた。
「あら・・・結子さんはね!」
「以前私と一緒に働いたことがあるのよ!」
「えっ、そうなんですか!」
「そうよ、その当時は凄かったのよ! オペ室でね!」
「あっ! ごめんなさい、その当時だけじゃなく、今もね!」
その時は、悟を忘れて・・・・
ううん、悟の生きる希望に全力投球してくれた二人。
穂香にとって神のような存在の結子と愛子!
その二人が、その褒め言葉に反応するように二人の会話が・・・
「いいわよ、そんな付けた様なお世辞!」
「いいえ! 昨夜も凄かったわよ!」
「えっ! えっ! 昨夜?」
「あら・・・・昨夜結子さんも手伝ったのよ!」
その言葉は、言うなという目で愛子の目を目で制す!
「よしてよ! そんな大した事なんか・・・・」
「そんなに謙遜しなくてもいいのに!」
結子は違った意味で愛子を咎めたつもりだった。
それは、まだ何も知らない川村との連携プレイに・・・だ!
その話に穂香は聞き入るが、結子が手伝ってくれた事は解った。
術衣、看護衣、マスクの上からも解った。
それに近藤愛子は、結子と穂香のこれまでの経緯を、
知らないからそれが言える。
それともう一つ、結子は川村との関係は、
今の所知られたくないのだ。
幸い穂香は川村医師の事は知らない!
そして、結子と川村との関係も・・・・・
そして、結子、川村医師、穂香、大河、あずさ、季実子が
それに・・・・悟も 意外と近くに存在している事は、
今の所誰も知らないはずだ!
ICUルームでは現在の所落ち着いている!
CB&D・Cup Cap-62 Fin IKAROS




