表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/69

チェリー Sec―61

チェリー Sec―61


 あずさは今、大河が好きで・・・・好きでたまらない。

何かが違う、今までの男たちと!

 寄ってくる男どもはあずさよりも・・・・・あずさと・・・

あずさに近づいて、あわよくば玉の輿に乗ろうとする、

浅はかな男ばかり。


 マジであずさは、上流階級のプリンセス!

どうもあずさの母方は、昭和初期に財閥として、

名の知れた家の出でそれなりの教育を施された。


あずさは幼い時に、父親を不慮の事故で失い、

今の父親は義理の父だ。

 それが理由か、あずさと父親とはどうもしっくりしていない。

すなわち、お互いに遠慮して言いたい事を言える関係にない。


そんなあずさを見守る人物がいる。

その人物は、母親が雇っている探偵みたいな人物だ。

 何かあずさの身に、重大な事があればすっと現れ、

あずさの身を守る。


実はあの時もそうだ!

水浸しになった時も、もっと事が重大になれば、救済に出た。

 結果は、その少し手前で大河の出番となった。

そんな一部始終を、あずさの母親はその人物から、

報告を受けている。


 その情報網はあずさ、逆に利用している。

さりげなく情報はその人物に流し、さり気無く依頼している。

 その人物から、今回の経緯も事前に知らされていた。


「ゴメンね! あずさ!」

 「平気よ! 貴方は仕事での・・・・事!」

その言葉の不自然さには大河気づいていない。

それより何より、あずさが抜群のタイミングで、

来てくれた事が何より嬉しい!


 「今夜の宿は?」

洒落てあずさは、大河に質問した。

「・・・・出来れば!?」

 「あずさの、所?」

「はい!」

 「それじゃ、早く帰りましょう。」

「うん! 嬉しい!」


 未だに事故から1度も覚醒しない悟の意識、

頭部のほぼ全部を、今も低温維持の機器で覆われている。

その様子を祈りながら、今も穂香は悟の手を握り締める。

食事も殆ど摂らないで献身的に悟の看護にあたる。


体温は低めだが、確かにそれは悟の手、

心臓が拍出するその血液で・・・・

自ら送り出す血液である。


呼吸は自らの・・・そう自発呼吸はまだ出来ていない。

しかし、穂香は必死で右手に念を送り、昨夜の反応をもう一度と、

右手、右腕が微かに反応する事に、悟の生命力!

生きたいと言う気持ちを、しっかり感じている。


 穂香は決意した!

悟は・・・・、自分がきっと守っていく、

今まで通りの生活が出来るまで、出来るようにさせると、

固く心に誓う!

 

こんな風になって、悟の優しさも温かさもつくづくと感じる。

悟は、穂香に逢いに来るのにバイクで必死に・・・・

 そして、幼い子供を守るために自らが犠牲になったと・・・・


 そう、その幼女の両親が駆けつけてくれて、

その話を聞かされた。

 私たちの娘の為にも元気になって欲しいと!

穂香を必死で励ましてくれた。


 その話に穂香は、待合室で人目もはばからず、

大声で泣き叫んだ!

 勿論涙したのは穂香だけでは無かった。


 その幼女の母親が、

「貴方、頑張ってあの人を助けて下さい!」

 そのセリフは医師に言うべきだが、あえて穂香に言った。

その言葉に穂香は気丈に答えた。

 「はい、絶対に!」

「私の命をかけてでも・・・・」


「私たちも、全ての神にお祈りします!」

 「有難う!」

「また来ます!」

 「はい!」

 穂香の肩をきつく抱きしめて、その幼女の母親は、

待合室を跡にした。


“絶対に!“ そう、絶対に!

先程の言葉を思い出しながら、悟の手を・・・・

穂香の華奢な手で再び握り続けた。


「穂香さん!」

「貴方、頑張るなら・・・自分も元気で無いと!」

 「・・・・・・・はぁ?」

「食事して来なさい!」

 その言葉は結子だった。


「食べて、自らが元気で・・・・・」

「そうしないと、看護の資格は無いわ!」

 その結子の言葉には重みがあった。

 「はい!・・・でも?」

「大丈夫よ! それまで私が・・・・」


 「それじゃ・・・スイマセン、お願いします!」

 「10分で戻ります!」

「そんな少しじゃ、穂香さん休めないわ!」

 「・・・・・・それじゃ!」

「大丈夫よ、何かあったら必ず知らせるわ!」


 「そうよ、現状は落ち着いてる!」

そう言ってくれたのは、ここの責任看護師の近藤愛子だ。


 そして、その様子を季実子はある部屋のモニターで見ていた。



CB&D・Cup  Cap-61 Fin    IKAROS


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ