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チェリー Sec―57

チェリー Sec―57


 「すいません! お邪魔します!」

「わぁ・・・・大河だ!」

 大河は農協の事務所に入った途端に、

若い事務員の熱い視線を浴びることに・・・・・・

 「今日はちゃんと大河さん、一人で来てくれたんですね!」

「はい、一人で来ました!」

 「そう・・・良かった! 大河さんの顔見れて!」


 どうやら、この若い事務員相当大河が好きらしい。

そして、この事務員が今度のツアーの幹事である事は承知していた。

「有難うございます!」

 「本当に今日は大河さん一人なのね!」

「えっ・・・ええ、はい!」


 実は大河、前回穂香が来て、そんな話をしていった事は知らない。

と言う事は、ここでも穂香多少のショックを受けたのか・・・・

「それで、今回の紅葉ツアーですが・・・?」

「私が頑張って、24名です!」

「えっ・・・・?」


 そう、ここの農協の従業員は全部で11名・・・・なのに?

 「はい、だから私が頑張って、従業員の家族も参加してもらうの!」

「それは・・・本当に有難うございます!」

 「任せて! 大河君のためなら全力投球よ!」

  

その女性事務員は、大河がとても気に入っている。

と言うより、何とか付き合いたいと必死なのだ。 

 「ねぇ、大河さん今度食事でもどうですか?」

 この誘いはどうやら、紅葉ツアーを必死で集めたご褒美のつもりらしい。


 その女性事務員と、大河は応接室で向い合って座っている。

「そうですね! 近いうちに・・・・」

 大河はこれも営業と、快く承諾した。

 「ねぇ、そんな社交辞令じゃなくて、今夜どうですか?」

「えっ・・・今夜ですか?」


 どうやらこの様子だと、今夜は無理だと言うと、

予約のキャンセルも・・・・

 大河は数秒間考えた後、

「わかりました! それじゃ今夜!」

 「わぁ・・・・やった!」

「それじゃ今夜居駅前の酒屋で、7時に!」

「駅前の居酒屋で・・・7時!」


 大河は成り行きでOKすることに!

女性事務員の名前は確か、上村佳苗24歳!

 上村佳苗は頬を赤らめて大河をじっと見つめていた。

そして、意味深で・・・・・


「予約名簿はそこでお渡しします!」

「はい、ありがとうございます! では今夜7時!」

 もう成るようにしかならないと、大河 覚悟を決めたようだ。


それに今夜穂香は、元彼のベッドで付きっきりだから、

呼ばれる事は無いと・・・・

 まぁ契約は取れたので、季実子にも何も言われないだろう。

大河は農協を後にして、車に戻り季実子に連絡を入れた。


「農協さん、24名取れました!」

 「そう・・・・それはよく頑張ったわね!」

「はい・・・それで・・・・・・!」

 大河はそれ以上先の事をどう言おうか、

その先の言葉を選んでいる。


 そんな大河の気持ちを察して、季実子が先に!

ある程度の接待費は、季実子からも許されている。

 実際、2泊や3泊のツアーならそれも有りと・・・

 「大河・・・・・、それで接待をせがまれたのね?」

やはり、社長だけある。

大河の言いたい事をしっかり理解してくれている。


「はい・・・・そうなんです!」

 「しょうがないわね! 穂香の分まで頑張って!」

「はい、了解です!」

 「で・・・・何時なのそれ?」

「今夜です!」

 「えっ・・・・今夜!?」


 季実子は少し言葉が止まった!

実はその接待には季実子も顔を出そうと・・・・

 だが、今夜は予定が入っている。

おそらくその接待相手は、あの課長だろうから・・・・・

 「で、農協さんは今回の幹事は誰?」


「はい、・・・・・ええと上村さんです!」

 「えっ? 上村・・・・・・」

季実子にはその人物に心当たりが無かった。

それに、あの農協の全従業員は確か11・・・12名のはず!

 それが、先ほどの話だと24名・・・・その疑問を


「上村・・・・上村佳苗さんです!」

 「えっ! 女性なの?」

「はい、確か23・・24歳の・・・・・」

 どうやら、この契約は大河の・・・大河目当ての・・・・

それで・・・・予約人数も24名 納得か?


 そして、もう一つ疑問が解けた気がした。

穂香では、契約がスムーズに行かない理由が・・・・

 多少の不安を抱えて、季実子は躊躇した!

これは、・・・・・変な方向に行かなければいいが・・・

 しかし、今夜の予定は季実子どうしても外せない!


「大河、場夜は何処で何時からなの?」

「はい、駅前の居酒屋**です。7時に!」

 「わかった、わ! 穂香のいない分しっかりね!」

 「何とか時間が空いたら、行けるようにするから・・・」


「了解です!」

「ですが・・・・・あの僕給料前なので・・・・」

 「しょうがないわね! 会社のカードで下ろしなさい!」

「はい! で・・・・・幾らほど下ろせば?」

 だが、季実子そのいくらを聞かずに携帯が切れた。

どうやら、他の電話が鳴っていた・・・・・・


CB&D・Cup  Cap-57 Fin    IKAROS


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