チェリー Sec―45
チェリー Sec―45
日が落ちて、暮れてしまった砂浜に人影はない!
穂香は呆然とその海を見つめる。
打ち寄せる波も、既に今は荒れて迸る白と灰色の波!
潮の香りが、穂香の鼻腔をくすぐり海にいる事を知らしめる。
穂香の顔はその潮風でべたついている。
手で触れて、手にざらつきが・・・・
細かい結晶が・・・・、月の光にキラッと反射する!
舐めて感じる!
自然に流れた涙よりも大分しょっぱい!
それは涙と一緒になって、太平洋の海の味!
そして、悟を・・・・悟にキスした時と同じ味、匂いだ!
壊れかけたベンチに腰をおろし、来てくれる?であろう人を、
待つとも無く待つ!
もうどれ位経過したのだろうか・・・・穂香には気にならない!
ポケットから取り出した、役に立たない携帯!
電源切れの携帯は、きっと穂香へのメッセージが、
いっぱいあるのだろう!
その気になれば、近くのコンビニで予備電源も調達できるけど・・・
それも・・・もうどうでも・・・・・・
季実子さん、大河・・・・・・・悟!?!
悟!
急いで車に駆け寄り、車を近くのコンビニへ・・・・
確か南に数キロ走れば・・・・・
悟が・・・・悟が・・・・こんなはずは無い!
早く! 急ごう!
どうしていままで・・・・・どれ位海岸にいたのだろう!
穂香少し前に時計の電池切れで修理に出した!
どうせ携帯にも、時計機能が有るからと・・・・
修理出来たと言う知らせを、置き去りにしていたので、
今の時刻がわからない!
車に戻りエンジンキーを回して今が午後7時48分だと知る。
エンジンキーを車に刺し込みエンジンをかける!
急ごう! 確か数キロ南下すればコンビニがあるはず。
車幅灯を点灯してゆっくりと国道を南下する。
あった、コンビニ!
コンビに入ると、そのまま予備バッテリーコーナーに向かう。
それを1つ手に取りレジへ・・・・
すると反射的に体が反応した。
そう、悟の好きな銘柄の缶コーヒーを見つけて2つ手に取る。
またしてもその握る腕が・・・・悟を思い出させる!
少し涙ぐむ!
空いた手で拭う・・・・誰にも気づかれないように!
レジは2つあり1つは空いていた!
そんなに繁盛していないコンビニなのだろうか、この時間で!
穂香は急いで会計を済ませて車に戻った!
車の中で電源切れの携帯に予備電源をつなぐ!
暫くして携帯が目覚める!
十数行に及ぶ着信履歴!
季実子、季実子、季実子、大河、季実子・・・・・・・・
これは・・・・想定された・・・・・・
ゴメンなさい! 季実子さん、大河!
今は・・・・別の人のが・・・・・
穂香は悟の番号を選択プッシュする!
1コール 2コール 3コール 4コール、出ない!
もう一度 コール コール・・・・・・ どうして!
出れないの・・・・悟
携帯の電源はオンのはずで・・・・・コールしている!
その携帯はバイブモードで、救急病院の衣類籠で震えていた!
それは近くて非常に遠い!
そう、悟に意識は無く緊急オペ中で、
生死をさまよっているのだから・・・・・
穂香は不安な気持ちがこみ上げて来た!
何かあった! 悟に何かあったに違いない!
もう一度コールしてみよう!
そこへ、着信が!
大河からだ!
ごめん! 今は賭けなければならない人が!
無常にも大河の着信を切った!
そして改めて悟にコール!
発信音が空しくこだまする!
潮風が、塩分を含んだそれが・・・・・携帯を噴きつける!
ずっとコールする! もう一度コールする!
大河は走行中に穂香にコールする! だめもとで!
「あっ! 季実子さん! 穂香さん繋がった!」
「えっ! どれ!」
「・・・・切れた!」
「切られました!」
「どう言う事よ!」
「穂香がわざと切ったの?」
「・・・・そうです!」
「どうして!?」
「季実子さん、一瞬だけど風が! 風の音が!」
「それじゃ・・・穂香は外! それも強い風の吹く場所!」
今度は季実子が穂香の携帯にコール!
「えっ! 話し中!?」
「何やってんの! 穂香!」
「仕事中に抜け出して・・・・」
「連絡ぐらい、しろって!」
「あの・・・・穂香さんは無事でしょうね!」
「・・・・そうでしょう! 話し中なら!?」
大河の運転する車は何と穂香の車と急接近!
「あっ! あっ! 穂香さんの車!」
「えっ! 何処!」
大河人差し指は、寂れたコンビニの駐車場を指していた!
CB&D・Cup Cap-45Fin IKAROS




