チェリー Sec―42
チェリー Sec―42
「大河! 何処に行ってたの?」
大河は先程の紅葉ツアー98人分の仮契約書を、
季実子に提出して来た所だ。
「はぁ・・・・・今、季実子さんに仮契約書類を提出して来ました。」
「えっ・・・仮契約書!?」
穂香は驚いた。
まさか・・・・・仕事だなんて、てっきり何処かに遊びに行って・・・・
それがまさか仕事で・・それも仮契約書を提出なんて・・・・
「はい! 98名分秋の紅葉ツアーです!」
「それ・・・何処で!?」
「・・・・ZA商事様です!」
「ん・・・・ZA商事? それどうして?」
「えぇ・・・前回の初添乗の時のお客様です?」
「どうして!? そんなぁ・・・・・」
「ですから・・・・いつの間にか・・・ですよ!」
「いつの間にかって・・・大河・・・そんな?」
そこへ季実子が・・・・
「そうよ! 大河は頑張ったのよ!」
「はい、頑張りました!」
なぜか季実子は、大河の肩をもつ!
そう・・・、おそらく、大河の契約の経緯を知っているのだろう。
それでも大河の肩を持つのは、季実子自身も大きな根拠は、
無いのだが・・・
「穂香! 貴方も営業頑張りなさい!」
「・・・えぇ・・・でも!?」
「でもも、へったくれも無いの!」
「はぁ・・・い!」
どうしても納得の行かない穂香!
そして、どうして大河にそんな上客等居ないはずなのに!
季実子の言い方と、この場の状況を判断して、
営業に出ることにした。
「どうして・・・・大河が・・・・?」
穂香は社用車で、あての有りそうな場所に向かった。
その場所は農協だ!
ハンドルを握りながらも合点がいかない。
うん・・・・初添乗で・・・・・・
もしかすると・・・・
しかし、穂香は水浸し事件の詳細は知らない!
まして、その夜 あずさ という女性と深い関係になっている事等、
知り得ない。
農協が見えて来た。
「こんにちは!山本ツーリストです!」
「あれ・・・・若い・・・格好良いお兄さんは?」
明らかにこの農協でも、大河が来ることを期待している。
「はい・・・・、彼は別のお客様の場所に行ってます!」
「そう!」
明らかに穂香は、ここでの存在感はめちゃくちゃ薄い!
ここも、大河が来なければ、契約がスムーズに行かない事を実感した。
「明日にでも大河と来ます!」
「そうね! それがいいと思うわ!」
「その時は、今回の紅葉ツアー是非参加お願いします!」
「そうね! 何なら・・・大河君だけでも・・・」
「・・・・・・・」
その言葉で、穂香は急に涙が出そうに・・・・
それを必死で堪え、頭を下げて目に光る物を、
必死で感づかれないようにその場を後にした。
穂香は少し先の駐車スペースの車に戻り、
この仕事で、始めて泣いた!
こんな雪辱感人生でもない経験だ。
穂香は、そのまま事務所にはどうしても戻る気になれず、
太平洋が・・・海が・・・・見たくて車を東に向けた!
30分ほど走ると、太平洋が見えて来た。
そこは、人が殆ど来ない海、海岸だ!
半年前ぐらいに元彼 悟と来た海だ!
あの時は、大河に夢中になり立てで、悟の思いを邪険にした。
さり気無く!
今は穂香・・・・・・“好きな人が出来たの!”
すると悟は・・・・
“いいよ! 俺は待つよ!“
“俺・・・・穂香を幸せにする自身無いし!”
“穂香の好きにしな!”
そんな言葉を残して、悟は穂香から身を引いた!
急に穂香、悟の声が聞きたくなった!
身勝手な自分を・・・・そんな自分をけなしながら・・・・
悟の携帯をコールした!
「・・・・・穂香?」
「うん・・・悟!」
「どうした!」
「うん・・・・」
携帯から、海風と波の音が聞こえる!
「・・・・・・あそこに?」
「・・・・・・・うん!」
「・・・・・・行こうか?」
「・・・・うん?・・大丈夫!」
「・・・・・・・俺・・・行けるよ!」
「・・・・・・・・!」
「泣いてんのか!」
「違うって・・・・・」
「行って・・・・いいかい!?」
「だいじょう・・・・ぶ!」
「俺・・・・暇なんだ!」
「そう・・・・・・」
悟は、修理工場で働いている!
雇い主に、何度も頭を下げて、やっとフリーな2時間を貰った!
「今夜! 残業だぞ!」
「はい! 何時でもします!」
悟は穂香の元へバイクを飛ばした!
少し雨が降りだした!
CB&D・Cup Cap-42 Fin IKAROS




