チェリー Sec―34
チェリー Sec―34
帝王切開手術を受けた産婦が死亡!
手術を執刀した産婦人科の医師山本敏江が、
業務上過失致死と医師法違反の容疑で、
200X年X月XX日に逮捕、翌月起訴!
200X年X月X日、**地方裁判所は、
被告人の医師を無罪とする判決を言い渡し、
検察側が控訴を断念・・・・・それが確定した!
山本医師は休職中であったが、それにより復職許可が下りた。
一度は職場に顔を出すが、その後暫く旅に出ると、
バッグ一つを持ち旅に出た。
そのまま連絡がつかず、捜索願を警察に提出するも消息不明のまま。
半年後、瀬戸内海の海岸に一人の女性が・・・・・
溺死と思われる死体が発見された!
その死体は一部白骨化して判別に2週間程要した。
TVのニュースでそれは報じられた。
2度目のニュースで、その女性は山本敏江医師と判明した!
結子はその知らせをTVで知った!
敏江が旅に出るときにある程度の予感はした。
しかし結子はそれを止められなかった!
憔悴しきった敏江の体を見て、体を保養する事が絶対条件だった。
だから・・・・旅に出る事を止める事も躊躇われた。
敏江の旅行に、結子も同行したかったが院内の騒動と、
残された患者の為に、それは許されなかった。
敏江医師とは旅立つ前に、ほんの少し結子は話が出来た。
「先生!・・・・・先生! 大丈夫ですよね! 先生!!」
「・・・・・・・・えぇ!」
かすかに敏江医師は目に光るものが・・・・・・
「駄目ですよ! 絶対に!」
「・・・・・・・有難う! 大・丈・夫! だから・・・」
結子は目頭が熱く、既に大粒の涙をためて・・・・・
そして・・・・この先生は、絶対に信念を曲げない人だと言う事を・・・・・
知っていた!!
「先生は悪く無いです! 絶対に!」
「有難う! 結子さん!」
「先生! 裁判が証明してくれた! 先生は正しいって!」
「・・・・・えぇ・・・・そうね!」
「先生・・・大丈夫ですよね!」
「絶対に戻って来て下さい!」
「ありがとう・・・・・・・・・・」
その後の言葉は聞き取れなかったが・・・・・・きつと!
「さ・・・・・・・よう・・・・・なら!」
と言っていた!
去って行く敏江の後姿で、結子は・・・・・
先生は戻って来ない事を悟った!
季実子は別の病院で、産婦人科医として立派に働いており、
産婦人科医の多忙は半端なものでは無く、そんな状況を知りつつも、
母敏江を止める事もたった1時間の電話さえもままならなかった。
そんな現状に季実子は多くの疑問を感じながら仕事を続けていた。
一人の産婦が山本産婦人科医院に緊急搬送された。
その日医師は敏江一人だった。
夜中コンビニで店員が、明らかに産気づいた妊婦を見つけ、
救急隊に連絡した。
それは、・・・・その妊婦をいつもの様に救急隊は搬送してきた。
全くの飛び込み妊婦で、完全に出産段階で有無を言えない状況だった。
運ばれて来た患者を追い返すとか、連絡を受けた段階で拒否る、
産婦人科病院が圧倒的に多かった。
それは、地方都市では日常茶飯事に近く、大都市も例外でない!
今も・・・・・・!
それは、妊婦側にも原因が・・・・
いいや、行政・・・・・も間違いなく加害者だ!
世の中の不況が続き、失業する人が増え、定職に就けなかったりで、
若い夫婦が妊娠しても、産婦人科へ受診出来ず定期健診も怠る!
その為に妊婦の経過がわからないまま、突然出産に・・・・
そんな現状が多々あり過ぎる。
妊婦は前置胎盤であった事が検査で判明した。
そして、それは出産時の危険性を説明して、より設備の整った、
病院施設を勧めるも、患者の状況から敏江医師は、
判断を患者に確認しつつ、それは強要出来ないと・・・・・
それに場合によっては、子宮摘出する事も、
考慮に入れておく事を患者に説明した。
すると妊婦は、もう一人子供が欲しいので、
子宮摘出は強く拒んだ!
そんな緊迫した状況と、制限のかかった分娩の中、
敏江医師の結論は、この施設での分娩が最善適切と判断した。
何故なら、他に施設に搬送する余裕が無かったのと、
他の施設が受け入れ出来ない状況であった!
そして他の医師に応援依頼の連絡をとるも、
時間的に間に合わない事も確認した。
結果として敏江は、産婦人科医師一人と助産婦、看護師で、
帝王切開の手術を開始した。
麻酔は脊椎麻酔で無事女児を出産した。
その後に、子宮収縮剤をダイレクトに筋肉注射して、
胎盤を剥離するべく臍帯を牽引した。
が、胎盤剥離がなかなか上手く行かない!
その場に緊張が走る!
子宮をマッサージ、牽引を繰り返すも剥離が出来ない状態!
敏江はクーパーを手に持ち胎盤剥離を試みた。
その間の出血は想定内で、剥離を行った。
多少の出血はあるも止血でカバー出来る範囲内であった!
が・・・・事態は急変する!
CB&D・Cup Cap-34 Fin IKAROS