チェリー Sec―28
チェリー Sec―28
大河が戻った道から、あずさの指示でそれから5分ほど走って、
15階建ての国道沿いのマンションに近づいた。
「そこに、車止めて!」
駐車場の前で、車から降りたあずさは何やら操作盤で、
番号を打ち込んでガードレールを開けた。
何と言う偶然か! 運命のいたずらか!?
その大河が止めた駐車場の、No1503に川村のベンツが、
20分ほど前に結子を助手席に乗せて到着していた。
川村の車は認証された車で、いくつかの監視カメラが、
川村のベンツを認識して直ぐにグリーンランプが侵入を促す。
そのまま進入して、No1503の駐車スペースに止めて、
二人は降りた。
“ねぇ・・・あずささん!?”
“一人で住んでるの!?”
“そうよ! 父親がうるさくて、家出たの!”
“・・・・そう・・・なんだ!”
そんな会話が、川村と結子が通過した通路でなされた。
勿論備え付けの監視カメラで時系列を追えば、
とんでもない事を確認する事になる。
が、それはあり得ないだろう、事件でも起きて、
警察が捜査をする事にならない限り!
こんな警戒が厳重なマンションに入る時に、結子も凄いと思った。
そこに度々訪れており、結子一人でも入室できる様に、
既に登録されている。
あずさがしたのと同じように、川村はB1センターホール玄関に立ち、
顔を近づけて、川村もオートロックに、瞳認証でロックを解除した。
「おじゃまします!」
と、結子口癖のように入る時に声をかけて・・・・
「・・・・・・!」
あずさと、大河との会話が・・・・・
“40秒で閉まっちゃうから!”
“えっ!・・・・ほんと!?“
大河も驚いていたが、結子も始めて訪れた時に同じように、
驚きの連続だった。
そして賃貸か・・・それとも購入済みのマンションか!・・・と
エレベーターに向かう結子と川村、上高地で川村に触れれなかった分、
必要に結子はからみつく!
エレベーターの前で、川村もあずさと同じように、
携帯をエレベーター左の、センサーボックスにかざした。
時系列的には川村のほうが早いのだが・・・・・・
浮かび上がった、番号キーをプッシュする。
1・・5・・・・・XXと部屋の番号と後は4桁の数字!
そう、川村の部屋があずさの部屋の1階上になる。
こんな偶然・・・・・あり得るの! と言うくらいの偶然だ。
勿論川村もあずさもお互いに知る由も無い!
「ねぇ・・・・! 寂しかった!!」
「それは・・・寂しかったさ!」
と、川村の返事は少し大人の返事だ!
その場所で20分後、大河がもたついていた。
それをあずさはエレベーターに早く入る様に促す。
少しでも早く・・・・と言う気持ちが・・・見える!
それは、両カップルも同じに・・・・・
監視カメラは判断しただろう!
“さぁ・・・どうぞ!”
“・・・はい!”
大河が入ると、そのエレベーターは閉まりそして、
エレベーターはスーッと昇った、14階まで!
結子と川村はその狭い空間でやっと抱き合った!
それは・・・結子から唇を奪う形に・・・・・・
もう誰にも邪魔されない世界に2人は完全に侵入出来た。
およそ10秒でエレベーターが15Fを示した。
そこから降りて、エレベーターホールを、
あずさの後について行く大河!
完全にこの雰囲気にのまれてしまって、
これ以降全て・・・、あずさのペースになりそう・・・
「早く、中に入ろうか・・・!」
川村が結子を促して・・・・・
あずさの部屋の扉にも瞳認証と、
タッチセンサーの番号が現れて、番号入力と・・・・
どうやら、指紋認証も!
同じ様に川村も部屋の前の扉で瞳認証、タッチセンサーが、
そして指紋認証も同時に・・・・・
何故川村は、こんなセキュリテーの厳重な部屋にしたのか・・・・、
それは単純に交通の便が良いからで、結果としてそうなった。
大河はあずさの開けた部屋に入り、部屋の広さ・・・・
家具のいかにも高級感にもびっくり!
ローズカラーの絨毯もフカフカ、毛足も長い!
実は、絨毯も家具も14F 15Fの調度品はほぼ同じ!
空調設備も、家具も既にセットされてあったマンションだった。
室温はいつも一定に保たれており、ロビー・廊下を歩いても、
温度・湿度は、常に同じに保たれている。
それは、初めに部屋に入った人は数時間して、
エアコン類が無いので後に気づく事になり、大河も結子も同じ感想だ。
14Fでは、キュッと冷えたシャンパンがシャンパングラスに!
大河は、喉が渇いてとても美味いと感じていた!
酸味と喉越しが最高って・・・・炭酸、アルコール!
あずさの策にやすやすと嵌ったが・・・、それは大河知っててか!!
15Fでは、やはりギンギンに冷えたビールを美味そうに飲む2人!
CB&D・Cup Cap-28 Fin IKAROS