チェリー Sec―26
チェリー Sec―26
開業の準備はとても楽しかった。
当面は川村と2人きりで準備を続けた。
医院を開業するのに多くの手続きが必要で、
それに相当時間と労力が必要とされた。
医師以外でも、処理申請が済む事務仕事は、
結子が主に対応した。
医療器具類や医薬品も、詳細な事意外は結子がチェックして、
それを最終的に川村がチェックして発注した。
それで結子は驚いたことがたくさんあった!
こんなに医学が目覚しく進歩しても、基本的な事は変わらない。
それで結子は、少しずつ自信が戻って来た!
それに・・・、結子が思うに、最近の医療の大きな違いと言えば、
医術は医師の独特の技術はそんなに必要ない。
うん!? 多くの人が え!って、思う人もいる・・・・・
そう、多くの結論的な答えは、機器が出してくれる!
正確な答を・・・まるで人体のそこが立体的に画像として現われ、
それはコンピューターを駆使したエコーであったり、
MRI(核磁気共鳴画像法)コンピューター断層撮影であったり、
そう・・・・画像が正確に病巣を指摘してくれる!
患者にも理解しやすく、説明もしやすい!
うん、そしてデータをパソコンにデータをインプットしてあげれば、
候補病名も出てくる。その確率も・・・だ!
でもそれを使いこなせる腕があってこそだが・・・
そして、基本的な医療技術を習得してこそ、
その機器が最高の医師の補助・援助者となり優れた医術を発揮出来る。
結子は、搬入された医療器具をオートクレーブで滅菌したり、
診察室にセットしたりして、その当時の感を呼び戻していた。
そんな時、あの人がスーッと後にいて・・・・・・
「どうせなら!・・・・看護衣も着て!」
「あっ! そこに居たのですか!!」
「見とれてたよ!」
「いじわるね! 声をかけて・・・欲しかったわ!」
「ううん! 声をかけたら直ぐに止めて・・・・・」
「今のシーン見れなかった・・・・から!」
「そんな! 茶化さないでください!」
「それじゃ! 茶化す変わりに・・・・!こうして」
そう言いながらあの人に後から抱きしめられた。
大河の声が・・・・結子は少し別の世界に・・・・
“携帯が水に浸かって・・・壊れてしまいました!”
って、そこまでは自分で管理しなさい・・・・な!
結子は大河に少し脅すような声で、
“穂香から、私の携帯に連絡があったわよ!”
それで、現実に引き戻されたらしく、大河の慌てる顔が・・・
“あっ・・・ あっ、あのう・・・それで・・穂香さんは!”
結子は季実子の気持ちを汲んで、すこしきつく!
“大河! ねぇ貴方・・・・、どうするの?この先!”
“はぁ・・・どうするって言われても!”
調子に乗りすぎでしょ! 明日からが大変でしょ!
大河のパニクッている様子が、手に取るようにわかる!
結子は少し自分にS気があるのを実感している!
でも・・・あの人には・・・・ちょっと命令調で言われた時に、
ドキッとしたものを感じる!
結子は大河に向かって・・・・
“ほら・・・これで、連絡したら! 穂香に!”
うん、ちょっとドキ と・・・・あるかも!
そして、大河の慌てる様を冷めた目で見ている結子がいる。
“・・・・・でも?”
その言葉を言わせて・・・・
“しょうがないでしょ! はいこれ、使っていいわよ!”
そして、穂香の反応を見る結子が・・・・
“はい! スイマセン! お借りします!”
で・・・救いの手!? を!・・・・軽く!
“あっ、手短にね! 他から連絡あるから・・・・・”
これで、穂香との会話を早く終えれる・・・はず!
開業前の2人きりの診察室は、かなりスリルがある!
来週から事務員もやって来て、全体的なシュミレーションを行う!
内装もほぼ完成に近づき、受付・待合室・事務室・・・・・・・・
診察室にカーテンが設置された。
最新エコーが・・・・婦人科独特の医療器具も並べられている。
川村が、目の前に用意された医療機器の最終チェックを、
行いたいからと全てをステンレスの器具、機器を診察室に並べた。
そして、直ぐには使用しない分娩室兼オペ室にも器具・機器を並べた。
無影灯にスイッチを入れる川村、とてもキリッとして・・・・
やっぱり医者だと言う事を痛切に感じる。
すると何故か、季実子の事を考えてしまう。
あの人は今のままでいいのだろうか!?
彼女も十数年前までは、この様な施設で働いていた、
立派な医師なのだから・・・・
どうして彼女が、今のような状況になったかは正確には知らない。
突然医院を閉鎖するから、・・・・申し訳ないが!
と言って、過分な退職金!たぶんそう言うべきものを、
茶封筒に入れて何気なく手渡されて、あの産婦人科医院を後にした。
それから、季実子の母親、そう結子の雇い主 敏江 を見たのは、
TVのニュースだった。
そう、瀬戸内海の海で・・・水死体で発見された!
その驚きは、結子の胸騒ぎが現実のものとなった!
何度か連絡を取るも・・・・・返事が返って来なかったから・・・・
あの先生は悪くなかった! 絶対に・・・・!
CB&D・Cup Cap-26 Fin IKAROS