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チェリー Sec―17

チェリー Sec―17


その男の添乗員が結子の傍にやって来て、

「お宅の社長には驚かされます!」

 結子もあれ?と言う気持ちはあるが、男の添乗員にあえて、

「どうやら、水に浸かった女性のお礼の気持ちがあるから・・・・・」


 「それじゃ、帰りに食事でも奢る・・・・ですか?」

「それは当事者じゃないから・・・何とも!」

 多少の疑問は残るが、その男の添乗員は 

 「まぁ、これ以降は全てあのお客さん、お預けしますから!」


そう言って、二人の申し込みデータをコピーしたのを結子は渡された。

季実子にどんな思惑があるのか結子には想像できない!

 まぁバスの中ではそんなに気にする必要も無いと思われる。

結子はあずさと真央におとなしく座っているように、

バスに乗り込む時に話した。


席は最前列で体調を壊した人等の予備席だ。

結果として添乗員大河の近くになる。

大河にもあえて紹介などするなと話してある。

が、近くの席の人は気づくだろう、その時はその時だ!


 それにしても、今度の上高地ツアーは最高にいい天気だった。

まるで雨に降られなかった。

山の天気はとても変わりやすいはずなのに・・・・・

 そして、無事全員バスに戻って来た。

ほぼ定刻に・・・・・これは大変重要で最も添乗員のほっとする事!


 大河が添乗員として、安心と・・・緊張が入り混じる!

「それでは、皆様無事にこのバスに定刻に戻って頂いた事に感謝いたします!」

 「・・・・いいぞ! 新米!」

ちょっとした野次に嬉しそうに答えて、

「帰りの予定ですが、運転手が調べた結果、中央道は渋滞しているとの事です!」

 「・・・・・ほう!」


「で、このバスは長野自動車道、を通り、上信越自動車道・・・・・

長野インター 小諸インター 佐久インター 藤岡ジャンクションで

 関越自動車道に入り 外環で都心に入るコースを選択致します。」


「ですので、帰りとは違ったルートで!」

「車外からの風景を存分にお楽しみ下さい!」

 「ほう、それじゃ、日本の中部地方を円を描くように一周だな!」

「はい、そうなります!」

 「ワァ・・私、軽井沢に寄りたい!」


すると、別の乗客が

「置いていっていいのか?」

「そうよね!」

 その言葉に、大河も結子もそしてあずさ、真央も頷く形になった。


 佐久インターを過ぎた頃、少し前から雨雲が出てきた。

やっぱり山の天気は変わりやすい。

 そんな事を言った傍から、バスを叩き付けるような雨音が凄い、

あたり一面が一瞬で真っ暗になり、雷鳴も響き渡った。


 車内で叫ぶ声も数箇所で・・・・雷鳴と稲光に驚いてだろう!

もちろん、あずさも大きな声で叫んでいた。

 大河が一瞬それを遮るように口に人差し指で示した。

そんな時も真央は平然としている。


 雷雨も止み前方の視界もよくなり、雲が遠くなった。

すると、左側の後列で・・・・

「わぁー・・・虹!  虹よ!」

 それは日が沈む1時間程前の西の空に虹がかかっていた。


 大河がマイクを握り、

「バスの左手に虹が!」

「きっと皆様の今後に明るい、良い事があるのでしょう!?」

 「・・・それ! あんた、 大河の事でしょう!?」

どうやらあの事情を知っている人が・・・・・・・

「えっ! えっ それは!?」


 「知ってるわよ! 貴方の武勇伝!」

「そんな・・・武勇伝なんて!」

「そうでしょ!」

「周りにいっぱい人がいても、助けに行ったの、貴方だけでしょ!」

 「・・・・それほどの事は無いですよ!」


 傍に、このバスにその女性が同乗している事までは、

知らないようだ。

しかし当事者はくすぐったくてしょうがないはず!

 それは、結子にしっかり口止めされていた。


結子はその話が出た時にほっとため息をついた。

これ以上の事態に話が進むとおそらく大河には、

収集が付かなくなると思って・・・・・


 そして、トイレ休憩で15分ほど止まる事を乗客に告げた。

流石に日も暮れ乗客の疲れも出たらしく、寝入っている人もいる。

 多少の迷いもあったが、大河マイクで繰り返した。

次の停車まで2時間はあるとバスの運転手に言われたので!


 この様な長距離のバス旅行は、運転士とサブ運転手が乗務する。

以前長距離のバス旅行で、運転手の過労で事故が・・・・・

それからの措置だったはず! 

 

大河、トイレ休憩で戻ると、淹れたてのコーヒーを2つ手に持って、

あずさが大河に近づいて来た。

 「結子さん、流石だね!」

「・・・うん・・・確かに!」

 「私も・・・・つい声が出そうになっちゃった!」

 「“はい! それは・・・・私です! 大河君に助けてもらいました!“って、ね!」

「うん!」

 「バレたら! 面倒だもんね!」

「そう、どうしようかと・・・・・」

 「・・・で! あの事も知っていたり!?」

「・・・・・・・・」

 どうやら、忘れていた事を思い出した様子の大河、

顔が赤い!


 CB&D・Cup  Cap-17 Fin    IKAROS



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