僕の秘密
前回読んで下さった方々、ありがとうございます。
一週間に少なくとも一回は書こうと思います。
当方大学生であるため時間があまり取れませんが執筆は頑張りたいと思います。
夢は一時間もすれば忘れてしまう。しかし、稀に記憶に残る夢、何度も繰り返す夢がある。それは正夢なのかもしれない。
今朝から頭が痛い。夢のせいだろうか。
今日は18歳の誕生日だが稽古の日だ。好きでやっているわけではない。指名なのだ。
22世紀の日本は歯止めのきかない人口減少、深刻な労働者不足、年金問題などで移民の大量受け入れを行ない、その結果治安の悪さが日本全国で騒がれるようになってしまった。密輸グループ、テロリスト、不穏な者たちが日本を出入りし、犯罪やテロを頻発させた。それと同時に人権団体がさらに過激になってしまった。
警察がテロリストや密売人を射殺する度に批判が巻き起こり、デモが発生した。そこで日本は警察とは別の凶悪犯罪者を始末するグレーゾーン機関を秘密裏に構成する必要があった。僕の父はそこで国からお声がかかったのだ。自衛隊経験者で武術の海外留学をした父はこの諜報戦闘機関SICの長官に抜擢された。そしてこの後継者となってしまったのが僕なのだ。僕は武術の才能もなく、どちらかといえば装備開発班になるような人間なのに、なぜ選ばれてしまったのか。20人程度いるSICメンバーのみんながなぜ僕を後継者にすることに反対しないのか、その他沢山の謎を抱えた組織を僕は任されている。
中学生の時はいわゆる反抗期でさぼったりもしたが、今は自分の運命を受け入れつつある。
地球はなぜ転生するのか、どのように転生するのかをひたすらに考えながら歩いているとゲートに到着した。
車通りの多い国道171号線を右手に曲がり河川敷に行く途中の少し大きなお家、この家の地下に国家機密になっている軍備基地が存在すると誰が思うだろうか。少しニュアンスが違う気がするが灯台下暗しとはこういうことか。
指紋認証と合い言葉で扉は開く。
(雰囲気が違う。重い。)
全身にひどい圧力と恐怖を感じた。最近のデジャヴの多さや、夢の不吉さなどが思考にヒントを与える。
今朝の夢がフラッシュバックする。
「これは…霊…力…波?」
僕はそもそも霊力波という言葉を知らないし、夢特有のありえない設定の中にある何かだと思っていた。
しかしそれは違った。僕は以前に霊力波を感じたことが間違いなくある。心の奥底にある力のようなものが疼いている。そう感じた。
最初は恐怖でおののいていた心も、すくんでいた足も、気が付けば中庭の広場へと自分の体を押し進めていた。
「父……さん…?」
広場に立っていたのは紛れもなく僕の父親だった。そしてこの霊力波の出所も紛れもなく僕の父親だった。
「父さん!!なんなんだこれは!t一体どうなっているんだよ!」
「これを感じるということはそういうことだ竜雅。ただの人間に霊力波を感じることはできない。俺は何もしていない。ただお前の中の霊力波が俺の霊力波を感じ取っている、それだけのことだ」
「俺の中の霊力波?」
デジャヴが起こる。デジャヴというよりは記憶が蘇るというほうが正しいかもしれない。
事実を思い出しただけ、そんな冷静さが今の僕の中にはある。
「おまえも18。これを教えることも俺の役目だ。聞け、竜雅。」
父さんは語り始めた。冷静に、淡々と。僕は人間ではない…。
ここまで貴重なお時間を割いて頂きありがとうございました。