人は怖い
僕の家族は四人家族。
父、母、姉、僕。
仲はいい。いつもテレビを見ながら話してる。
姉は既に成人していて、バイトでお金を稼ぐ。
バイトの時間はかなり長く、僕が寝た後に
帰ってくるのがほとんどだ。
僕は中学生。姉とかなり年が離れている。
なぜこんなに年が離れているのか、
気にしたことはない。
中学生は楽しい。友達は少ないが、親友が
いるし、遊ぶことも多い。
そして、恋をしている。同じクラスの子。
学校の授業は嫌いだが、その子が同じクラス
にいるのが幸せで、毎日学校へ行く。
友達に相談をしたが、告白は難しい。
しかし、ついに決心がついた。明日、
放課後、告白する。その決心。
今は、家で家族とのんびりしている。
休日で、両親は休み。
姉はバイトがあるようで、いない。
明日告白となるのだから、ドキドキが止まらない。
真っ暗な夜。寝る時間だ。
両親は1階。僕は2階で寝る。
真っ暗が嫌いな僕は
寝室の小さな電球をつける。
胸が騒ぐ。寝れない。明日は告白だから。
あの子と僕は、話すことは多くない。
だが、会話する時はするし、
なるべく、会話のキャッチボールを
するように努力している。
彼女が笑顔を見せてくれると、
それはノルマ達成といったような感じがする。
笑わせて、笑ってくれると
彼女からしたら他愛もないことかもしれないが、
僕からしたらとんでもなく嬉しいこと。
1つ1つの笑顔を覚えている。
下からドアの開く音がする。
姉が帰ってきたようだ。
そういえば、姉が帰ってくるまで起きていた
ことはない。
だが、姉が寝る場所は2階の僕とは別の部屋
であることは知っている。
そして、2階に上がってくる音がした。
姉が寝るようだ。眠かったのか、
上がるのがかなり早い。
ドタドタドタッ
っと大きな音だった。
少しして、別の音がした。
何かを、刺す音。
1階から。
刺す音。それが、普通、起こることは無い。
寝る時間に。
さらに、
声が聞こえた。
「キャーーーーー!!」
悲鳴。甲高い。一階の母だ。
怖い
さらに、刺す音。
ザシュッ!ズドッ!
「アッ...…タスッ...…ケ.....」
かすかな声が、下から。
鳥肌が止まらない。
来た。家に、殺人鬼が。
絶対そうだ。
飛び起きてしまった。
母が殺された!
母が!殺された!
だが悲しむ暇がない。
…くる。二階に。
父は、逃げたのだろうか。
下から、足音がする。
…早く!隠れなければ!
姉にも知らせなければ!
早く!
「あっ…」
無理だ。無理。
見つかる。
殺される。
姉は、どうしよう。
気づいていない。絶対。
ああ、あぁ…
寝室の、どこに隠れるか、その判断を
してしまっている。
もう、自分しか守れない。
あの子への告白が。まだ。
僕が寝ていたのはベッド。
その下には、隙間がある。
ベタだが、そんなことは気にすることができない!
そして、
隠れた。
耳をすます。
ギシッギシッ…
歩く音。
自分の鼓動の音を気にする。
とんでもなく早い。怖い。
この音が、殺人鬼に聞こえてしまう。
深呼吸する。
落ち着かないといけない。
ギシッ…ギシッ…
ああ、足音は姉の部屋にいった。
姉までもが、殺される。
だめだ…もう…どうすることも…
ザクッ!ズサッ…
「うわぁぁあぁあ!!!ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
声がした!!刺される音も同時に!
暗闇に響く。
その声は、低かった。
お父さん…?
逃げたんだろ?なんでだ?
もしかして、さっき大急ぎで2階に
上がって来たのは
姉じゃなくて父だったのか?
じゃあ、姉は?
というか、なんでお父さんは、
お母さんを見捨てて2階に来てるんだ?
一緒に来ないで、1人できたのか?
助けてなかったのか?
そんな、もう、終わりだ。
今、父が死んだ。
姉は、1階で隠れているのか?
そんなこと気にしていられない!
次は…僕だ。
こっちに足音が近づく。
嫌だ。
嫌だ。
来ないでくれ。
そう思う。
だが、来た。
ドアが、開いた。
嫌だ…。
バレないでくれ!バレないでくれ!
お願いだから…
死にたくない!!怖い!!
刺されるのは嫌だ!絶対に痛い!
何よりも、痛い!
だから…
「ねえ、裕太…?」
声は、姉だ。
殺人鬼じゃなくて、姉。
どうやらさっき殺人鬼は出ていったようだ。
姉はそれに気づき、僕を探しに来た。
と、思う。
「お姉ちゃん?生きてた!?良かった!」
ベッドの下からで出る。
「怖かった!本当に怖かっ…」
姉の手にはナイフ。
振りかぶって、こっちにくる。
「え?え?あっ…あぁぁぁぁぁぁあああ!!!!」
ザクっ!ズバッ!ザシュッ!!ザシュッ!!
激痛と、恐怖と、絶望と、それと……
「もう、こんな家族にはうんざり。」
END
なんでなのか、分かりませんね。