プロローグ
何て言うか・・・こう、あれだよ・・・頑張れ主人公、負けるな主人公って作品です。
by蒼雷
―青年は、本を読んでいた。本に埋もれ、日の明かりが入らない。薄暗い部屋で、ただひたすらに本を読んでいた。
青年は存在しない世界を思い描くのが好きだった。可愛い動物の物語。ハッピーエンドを迎える姫と王子。時には異世界で冒険し、最終的には、幸せになる主人公。ずっと好きな人を思い続け、恋が実り順風満帆な生活を送るヒロインの物語。愛や正義の為に勇敢に戦うヒーロのお話。そんな物語が彼は好きでたまらなかった。『優しい者』が虐げられ、『頑張る人』は報われず、『悪者』が蜜を舐め。生まれつきの才能で未来が決定する。彼はそんな『現実』から目を逸らす。否、見ようとすらしなかったのかもしれない。
もう、10年は人の顔どころか自分の顔すら見ていなかった。だが、青年にとって、『そんな事』は大した事ではない。ただ、時々水を飲み、食事をし、本を読む。それが日常であり、彼が決めた彼の生き方である。故に青年はそれ以上は望まないし望もうともしなかった。本を読むことで、その世界に浸る事で現実を見なくて済む。それだけでよかったのだ。
そして今日もいつもと変わらず本よ読もうとした刹那、青年は白い光に包まれた。前述した通り彼の部屋にはほとんど、光が入らず、強いて言うなれば。オレンジ色の電気がある程度だ。
そして、声が聞こえた。
「初めまして、おにーさん♪お目覚めはどうかな?」
と、おっとりとした人の声が聞こえ。目を開くとそこに人が映った。気のせいかと思い瞬きをし、その場所を見直して見るが気のせいではなく、そこには、袖に黒いリボンが付いた緑色のワンピースを纏い、首元に赤いリボンを結び、青葉のピンを薄い緑色の髪につけた、少女が机に肘を置き、手で顎を支えながら、へら
りと笑いながら座っていた。
「・・・は?」
青年が思わず声を漏らすのも無理はない。青年が座っているのは、先ほどまで、座っていた高級そうな赤い椅子ではなく、木製の質素な椅子に変わり。目の前の机は、本が何冊も積まれた白い机ではなく。何も乗っていない茶色の机。周りにあったはずの数えきれない量の本も一冊残らずどこかへ消えていた。
ここはどこだろうか?と思考し、分析した所によると。恐らく何も置かれていない小屋のような場所という答えに至った。
「おにーさん、どうしたの?僕を熱く見つめちゃって・・・あ、もしかして僕に
惚れちゃった?いやぁ僕も罪な女だねぇ。」
「ねぇよ!?断じてそんな事はない!!」
青年は思わず声を上げるが、長く喋っていなかったせいか声が上ずってしまう。そして、心の中で「目の前に知らない人がいれば普通こうなるだろう!!」とツッコミを入れてやった。そして、10年振り(もしかしたら前後するかもしれない)に聞く特に男らしくもなく、女性っぽくもない。中性的な自分の声をこんな声だったのかと思い出す。
「あはは。おにーさん否定早いよ、僕傷ついちゃう。」
と、笑いながらぺろりと某ケーキ屋のキャラクターのように舌を出しながらに少女は言った。
「と、とにかく、ここはどこ!?それに君は誰!?えっとそれから・・・!!」
マシンガンの如く、質問を投げつける青年に少女は微笑しながら答えた。
「質問が多いよお兄さん・・・えっとねここは、『 幻世』っていう夢の星だよ。」
少女は表情を変えずそう言った。だが、青年は首を傾げたいくつもの本を読み、辞書や絵本、小説を読み全て記憶してきた青年だが、全く聞き覚えが無かった。
なので、青年は恐らくこの時、困惑表情をしていただろう。しかし、少女は構わず、続ける。
「僕の名前は『ピーターパン』だよ。突然で悪いんだけどおにーさん。いや、『 鈴鳴 優』君、君にはこれからこの幻世で暮らしてもらうね。」
これが、鈴鳴 優の物語の始まりである。―
こんにちは、いつもお世話になっております。蒼雷です!!
今回は、アルトさんから一緒に小説作ろうとのお誘いを受け、新作を開始して参りました!!
簡単に現わすとだいたいの内容、(まぁここでは骨といいましょうか。)をアルトさんが決め私がそれ色づけていく(肉をつける)と、いう感じですね!!・・・うん。
それでは、またお会いしましょう!!ノシノシ