異端児
思うところは色々有るが、とりあえずアレックス隊長に、ステータスを見せる事にした。
「あの…ステータスなんですが…。」
やはりコミュ障は健在だ。
「ん?…これは…ステータスは大体一般だがこの知力の高さはなんだ?それに識字理解だと…?」
「あの…知力って?」
「あぁ知力は高ければ高い程魔法の調整や効率が良くなると言われている。けどな…知力は基本的には50程度が普通なんだ。知力は勉強ができると高い、というわけじゃないからな。元々の脳のスペックなんだ。天才と呼ばれる人の中には、200〜300の知力を持つ人もいるんだが…。」
どうやら普通ではないらしい。
しかし、隣で聞いていたハルは一人納得していた。
ハルの父は、昔ハルとミキに内緒でIQテストをさせたらしい。
その時、ミキはIQ200越えの結果を出した上、判定不可能というオマケまで付けた。
その事を思い出した。
今思い出すと、ミキはMMORPGでもすぐに、効率の良い狩り場を見つけていた。また日常生活でも1度見た事は覚えていたのだ。しかし授業では、話を聞いていないため暗記科目で落としている。
実に勿体無い。数学は満点だが。
話を戻そう。
「じゃあ、この???は…」
「すまんな、私も分からない。こんな事はなかったからな…」
「はぁ」
つまり自分は知力だけ無駄に高い変人というわけだ。なんか凹む。
「まぁ気を落とすなよ?ステータスはあがるんだからな?」
アレックス隊長が少し焦りながら慰めてくる。どうやら凹んでいるのを見て可哀想に思ったらしい。優しい人だ。
「大丈夫です…」
何とか返事をする。
「よし、じゃあこれからみんなには武器を選んで貰う。武器は帝国の宝物庫から用意させて貰った。どれも1級品だ。自分に合ったものを選ぶように」
そう言うと、メイドさんが武器を運んで来る。どうやら片手剣からメイス、杖までなんでもあるようだ。
みんな思い思いの武器を取っていく。
「防具もあるからな。職業に合わせて選んでくれ。」
防具もあるらしい。
少しボーッとしていると歓声が聞こえてきた。
どうやら織田君が武器と防具を装備したらしい。
「アレックスさん、どうですか?」
「あぁ、似合っているぞ。流石勇者だな!」
織田君はまさしく勇者!といった感じの純白の鎧と盾、剣を装備している。高そうだ。
「ミキ。俺らも選ぼう。」
「うん。」
少し出遅れたが武器を選ぶとしよう。武器によっては戦力になれるかもしれない。
武器に近づき、選ぼうとするとメイドさんが声を掛けてきた。嫌な予感がする。
「ミキ様。」
「はい。」
「ミキ様は、召喚された際に始めから武器を所持しておりました。それがこちらです。」
そう言いメイドさんは武器を渡してくる。
それは、僕の身長程もあるデスサイズだった。とても重い。全体的に黒色だが鈍い紅色を放っている。装飾はとても凝っており、作るのにどれ程の時間がかかるのか、見当もつかない。
とてもオタクの心を揺さぶる武器である。
しかし、これは武器としては自分に合わない。自分のステータスでは装備してもろくに扱えないだろう。残念だがメイドさんに返そう。
「これですが…別の物にしていただけませんか?」
「そうですか…かしこまりました。」
メイドさんにデスサイズを渡して他の武器を選ぶとする。
「ッッ〜〜!!!???。」
突然頭に痛みがはしる。鈍い痛みと、鋭い痛みが合わさっていて我慢出来ない。
「ウッ!!ガァッッ!!!!」
「大丈夫か!?ミキ!!」
痛みは増すばかりだ。何故かわからない。するとハルがさっきのメイドさんを呼ぶ。
「武器を持って来てくれ!早く!」
「はっ、はい!!」
メイドさんが近づいてくる。すると痛みは糸を解くようにスーッと消えていった。嘘みたいだ。
「ミキ、痛みは?」
「なくなったよ。ありがとう、ハル。」
「あぁ。」
痛みが引いた原因は、デスサイズらしい。デスサイズを見ていると、デスサイズの詳細が見えた。
ーー
固有名 血塗れの処刑鎌
詳細
呪装(これに選ばれた者はこの武器以外を使用することが出来ない。)
能力
???…
ーー
どうやら僕は異世界では異端児となったらしい。
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