表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラウンクレイド  作者: 茶竹抹茶竹
【零和 拾壱章・焔を掲げろ】
170/220

[零11-3・黄金]

0Σ11-3


 フレズベルク強襲。それは同時にゾンビの襲来を意味することになったのは、あのダイサン区画の悲劇からである。

 警報が鳴り響き、ビル各セクションの防護扉が稼働する、筈であったがしかしかつてのダイサン区画と同様に不具合を起こしているようだった。

 混乱する建物内を移動する事は諦め、私はビル壁面を辿い目的地への最短ルートを目指す。ダイニ区画のハウンドとレベッカ達が協力して事態に当たっている中、私は別動隊としての使命があった。

 目的のビルへと到着し、サブマシンガンで躊躇なく窓ガラスを割り中へと飛び込む。AMADEUSの撒き散らす光の粒子をぶちまけながら、ワイヤーを軋ませる。


 室内に転がるように着地すると同時に素早く立ち上がりサブマシンガンを構えて中を確認する。


「無事ですか!」

「祷!?」


 突如窓を突き破り飛び込んできた私にゼイリ氏は動揺していた。彼のすぐ後ろにはムラカサさんがいて、私を見て愕然とした表情を作る。室内にはゼイリ氏とムラカサさんしかおらず私は銃を握ったままに向けたままゼイリ氏に近付く。

 フレズベルクが機械製品である以上、その攻撃が何者かが糸を引いている可能性がある以上、この事実を知った人間に口封じを狙ってくる可能性があるのではないか。そんな疑念から私は別行動をとった。フレズベルクの解析を依頼したゼイリ氏にも危害が及ぶのでは、そんな危惧だった。


「一体なんだってんだ」

「フレズベルクが区画上空に現れました。ダイサン区画と同じことが起きるのならゾンビを投下してくる可能性が高いです。ウンジョウさん達が状況に当たっていますが、初期感染の封じ込めに失敗すれば区画内でパンデミックが起きます。私が先導して安全地帯まで離脱します」


 ムラカサさんが私の話を聞いて問い返してくる。


「祷がゼイリのオジサンを安全な場所まで案内してくれるって事?」

「はい、ウンジョウさん達はダイニ区画のハウンドと協力して事態に当たっていますが、私は別行動です」

「分かった、私も協力するわ」

「いえ、ムラカサさんはウンジョウさん達と合流してください」

「……分かったわ」


 ムラカサさんが装備していたAMADEUSのチェックを終えるとビルの外へ飛び出していく。ビルから漏れ出る灯りはあるものの、外は暗闇と同義だった。彼女の背中を見送って、私はゼイリ氏に脱出を促す。

 彼は空間投影型の液晶の前に立って幾つも表示されていたデータを慌てて確認し始める。


「ちょ、ちょっと待ってくれ! フレズベルクの解析データだけは持っていく必要がある」

「何か進みましたか」

「ネットワークが繋がらない以上、殆ど手作業だったからな、まだ分からんこと……」


 その手と言葉が突然止まって。私は部屋の入り口に銃口を向けたまま顔だけをそちらに向けた。

 画面が切り替わって何かの文字が、リーベラとの通信がオンラインであることを示すものが表示されていた。


「復旧した!?」


 何故、このタイミングで。そんな疑問よりも。ゼイリ氏が慌ててフレズベルクの解析データをリーベラに送信した。パーツの製造国、企業、その他何でも良いという期待だった。

 私はそれよりも現在の世界情勢を知るのが先ではないかと思ったがゼイリ氏の興味はそこではないようで。

 液晶に文字が表示される。私達が期待していた答えとは全く違う形で。


『ダイイチ区画で製造された記録有り』

「は?」


 その一文だけでリーベラからの通信は途絶えた。またサーバーはダウンしているようで、こちらからのリクエストには一切反応しない。

 いや、それよりも。


「フレズベルクがダイイチ区画で製造された……?」


 私とゼイリ氏は言葉を失くし、互いに顔を見合わせる。リーベラが提示したのはフレズベルクの内部パーツの製造元データであり、それがダイイチ区画で製造されたデータがあるとするならば。

 私は其処で考えるのを辞めた。今は時間がない。


「とにかく脱出します」

「わ、分かった」


 彼が慌てて動いて。部屋の隅に幾つも積んであった工具であるとか機械部品の山が崩れる。

引っ掻けて部屋の隅に積んであったものが崩れて派手な音を立てた。ゼイリ氏の部屋は一種の工房の様になっていて、そこら中に金属の製品が転がっている。銃器なんかも普通に陳列されていた。

 そうしてゼイリ氏が崩して床に散乱させてしまった幾つもの機械製品の中に。無造作に転がったその中に。

 鈍く光る黄金の煌めきがあって。


「なんで……」


 それは私の身の丈程ある杖。柄の先には平坦な合い形が付いており、ウォード錠に似た形状をしている杖。杖頭には四つ葉を模った様な巨大なモチーフが添えられており、持ち手の辺りにはハンドガンのグリップとトリガーの様な機構が搭載されていた。

 細部は違うものの、それは間違いなく。


「ここにあるんだ、エヴェレットの鍵が」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ