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狐仙刹那物語  作者: 夕菜 朱鷺
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序幕〜人間撃退作戦〜

昔、ある偉い人がこう言ったらしい。「人間は考える葦」だと。たしかにその通りだ。私は狐であるが故に人間の言葉を理解することはできない。しかし、動物同士となら何となく会話らしきものは出来る。

ある古狸曰く昔この世界では「せんそう」なるものがあったそうな。それは大層酷いもので、森は焼き尽くされ、「ばくだん」なる兵器が毎日落とされていたそうな。それは、人間が弱いが故に起こっていたと言っていた。「人間が弱いが故に強くなろうとする。人間は弱いが故に争い、奪い、命を奪い奪われる生活を行う」と。

確かに考える葦である。人間の個々は弱いらしい。私も何人もの人が泣いてる姿をふと目にしたことがある。確かに納得だ。しかし、考えているのは何も人間だけではない。もちろん動物だって考えているのだ。動物も個々は弱い。人間よりも断然弱い。それ故に知恵を働かせて生き延びてきた。

そう、古狸は熱く語っていた。


▼▼▼

さて、皆の衆。私は今逃げている。そう、人間にバレたのだ。

「そっちに行ったぞ!」とか「絶対捕まえる」など人間が檻をもって叫んでる声が聞こえてくる。しかし、私には何を言ってるか分からない。とりあえず一つ言えるのは捕まったら死ぬかもしれないということだけである。

途中何度か捕まりかけたが、何とか住処である古墳に辿り着いた。

着いて早々出迎えてくれたのは、野良犬であった。

因みにだが、私達は基本名前では呼ばず、動物名で呼びあっている。何故ならば、大体は野良であるから故の事である。然しながら、たまに「益次郎」だの何だの呼んでるやつはいる。因みに私が「益次郎」と呼ばれている。

さて、そんな話は置いといて、野良犬が「今日もか」と言い、苦笑を浮かべていた。

「もちろんさ。今日も間一髪で逃げ切ったからな」

「しかしまあ、よくもぬけぬけと人間の住む場所に行けるよな」

「そりゃこの辺は食べるものがないからな」

「木の実なりなんなり食べれば済む話ではないか」

「木の実はだめだ。飽きた」

これが日常の会話である。

さて、この会話のとおり、人間にバレた理由は「食事」のせいである。つまりは、「屋台」という食べ物を置いてる所に忍び寄り、くすねてきたというわけだ。もちろん食べ物はゲット出来たし、人間からも逃げ切った。万々歳ではないか。

しかし、私のこのような生活を気に食わない奴がいる。それが古狸である。狸界の長とまで言われている古狸。こいつがまた厄介な奴で、「平穏に暮らしたい」だの「この森でしか生活するな」だの頭の硬いことを言ってくる。もちろん、言分は分かる。しかし、ずっとこの森に引きこもるのはどうかと思う。せっかく人間が発展させたこの街を存分に楽しまなければ損というものではないか!

しかしまあ、この古狸は何十年も前に人間から仲間を奪われて以来、「人間駆逐隊」などという到底果たし得ない目標を掲げ、隊員を募集している。お陰で暇さえあれば「忌々しい人間どもめ」と愚痴っていて、白髪ならぬ白毛が増えてきている。

さて、そんな古狸は私が捕まりそうになったあの日から5日後、人間の暦で言うと、8/25に「人間共が空中に作ったあの謎の紐を千切ろうではないか」などと言い出した。もちろん仲間の狸以外は全員馬鹿らしいと思い、自分たちの住処へと戻っていった。しかし、私は面白い事がおきそうでしばらく話を聞いていた。

古狸曰く「あの黒い紐は、人間の住む建物に繋がっている。あの紐を千切れば、人間は混乱するであろう」という事だ。

ふむ。なるほど面白い。そう考えた私は、古狸の元へ向かい、参加を申し出た。


▼▼▼

しかし、千切るにしても「どうやって千切るか」という方法がまだである。そこで私は、何時しか古狸に聞いた「ばくだん」の事が頭をよぎった。つまり、「紐を千切る」のではなく、「紐が1番集まっている建物を爆発させる」という方法を考えついたのだ。

さらに、「ばくだん」は、近日にある祭りで使用される、爆発する丸い物体を持っていけば何とかなるであろうと考えた。

これには古狸も賛成した。しかし、盲点だったのは、爆発させるためには火が必要であるという事だ。我々動物が嫌うのは、「人間」と「火」である。

物体の周りには沢山の「人間」がいて、盗める気がしない。仮に盗めたとしても、どうやって「火」を付けるのかが問題である。つまりは、問題が山積みなのだ。

祭りの開催まで残り2日。この山積みの問題をどう解決するかで、人間と我々動物の運命は変わってくる。

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