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乙女ゲームとは別の所で、ハッピーエンドに向かった後の話のようです。

最終回です。ツッコミどころが多かったらすみません…(こちらも後に修正予定です)

 私的にはハッピーエンドを迎えました。めでたし、めでたし。



 おい、まて。色々と回収して行けって? それでは、その後の話も織り交ぜて、もう少しだけ語らせて頂こうと思う。








 次の日の放課後。剣術場の一角で練習用の剣を手に。私とヴォルティス様は手合わせをしていた。


 「はっ!」


 ギィンッ!!


 彼の攻撃を受け止め、こちらからも攻撃を返す。


 「っふ!」


 キンッ、キンッ…! ギィンッ! カシャンッ、カラン!


 数回打ち合った後。ヴォルティス様の剣を私が勢いを付け下から弾き上げて、彼の手から剣は離れ、宙を舞った剣は少し離れた場所へと落ちた。


 「…参りました」

 「…ありがとうございました」


 ペコリと彼が頭を下げ、私も頭を下げた。


 「おい? 勝ったのは、お前なのに何故そんな不機嫌そうな顔をしているんだ?」


 ムスッとした顔の私を見て、彼は首を傾げた。


 「ヴォルティス様」


 ぐっと距離を縮めて、彼をジロリと睨みながら問い詰める。


 「今の、手を抜きましたわね?」

 「な、なんの事だ?」


 おい、視線が斜め上に行っているぞ。分かり易いな!


 「どうして手を抜いた? 五十字以内で簡潔に答えよ」

 「手抜き、をしたつもりはない。だが、俺様は…」


 少し頬を染めて、変わらず視線は斜め上で私と目を合わせないヴォルティス様。

 なんだよ、お前はどこぞの乙女か! その顔可愛いじゃないか! こう、ギュッと抱き締めて、頬ずりしたくなるから!(ヤバいな私。色ボケか…?)


 「勿体ぶらずに続きをどうぞ」

 「別に勿体ぶってはいない! あのな。俺様は、もうお前に剣を向けたくはない。例え練習用の刃を潰した物であっても、お前が簡単にやられる程弱くはなくても。リリーシャを傷付けたくない。そう、頭のどこかで思ってしまっていた…だから、本気を出せなかったのだと思う。すまない」


 ああ、もう! なんだよ、この野郎! 五十字越えてるけど、どうでもいいわ! ギャラリーも(ちなみに、セルジュとカレン嬢だ)居るけど! 抱き着いても良いかな? 良いよね!?


 「〜〜っ! ヴォルティス様っ!」


 私は、言葉にならない言葉を発した後。ヴォルティス様の背に手を回すようにして抱き着いた。うん。もう、見られていてもいい。


 セルジュは、剣術場ここに来るまでに、カレン嬢の誤解を解きたいから協力してくれって言っていたし(以前、カレン嬢を妬かせるのもイイなとか言ってた癖に、実際妬かせてみたら思っていたより、イイものでもなかったらしい。昨日会った時には無かった、左頬にある引っ掻き傷が男前を上げているね!)解りやすく誤解は解けるでしょ?


 「わっ!? リ、リリーシャ?!」


 驚きつつも、そっと私の背に手を添えるヴォルティス様に、へにゃりと眉を下げて笑みを向けている。うん。私は今ちょっと、照れています。


 「そんな風に言われてしまったら。私だって今後は、ヴォルティス様と剣の手合わせが出来なくなってしまいます。私だって、貴方を傷付けたくはない」


 とは言え、ムカついた時はデコピン位は許して貰おう。後はチョップとか。膝カックンとか。


 「…リリーシャ」


 頬を染めたままの彼が優し気に目を細め、愛おしそうに私の名を呼ぶ。

 それに対して、私も『はい』と微笑みながら返事を返した。


 そして、少しずつ二人の顔が近付いて行き、目を閉じて。唇が重なり合うだろう…その時。


 「うわー、甘い甘い。胸焼けしそう! ねぇ、カレン。これ見て誤解は解けたよね? ね? もう、僕らも早く帰ってイチャイチャしよー? と言う訳で。僕達は、このへんで失礼しまーす。あ。ハーシェル様、誤解を解くご協力ありがとうございました! でも、そちらも僕が出したヒントの意味が解りましたよね? それでは、第二王子殿下とお幸せにー!」


 うん、意味は解ったが。セルジュよ、凄い早口だな。


 「ちょっと、セルジュ!? 誤解は解けたけどっ、お二人の邪魔をしちゃダメだよ! そっと退出すれば良かったのに! えと、あのっ、お、お幸せに〜? ひゃっ、セルジュ!? どこ触ってるのよ?! イチャイチャは部屋に帰ってから! じゃなくてっ! えと、えーっと、失礼しますーっ!」


 特待生カップルは、いちゃつきながら剣術場を出て行った。どっちが甘いんだ。どっちが。砂を吐かせる気か。


 ジト目で出入り口を見ていると――…


 「…あの男。本当にリリーシャの事は何とも思っていなかったようだな」


 ヴォルティス様がボソッと呟いた。


 「え? 気にしていた? ここに来る前に説明したじゃないですか。セルジュには恋人が居るって」

 「だが、分からないじゃないか……リリーシャは、魅力的だからな」


 私と彼以外、誰もいなくなったので素の話し方で問いかけたら。

 思いもよらなかった返事が、額への口づけと共に返ってきた。昨日まで感情が追い付いていなくて、戸惑った挙句に私を避けていた人とは思えない!


 「わ! 不意打ちですか!」


 バッと額に手をやりながら、彼を見ると――…


 「先程は邪魔をされたからな。できれば、こちらにも口づけたい位だが、俺様達も部屋でやり直すとしよう」


 ――…と。私の唇を、ふにっと人差し指で押しながら。無邪気な顔をして笑っていた。


 誰!? この人をヘタレとか言ったの!? うん、私だな!!


 それから、部屋でどうなったかって? とりあえずR18の域は越えていないとだけ、言っておく。





――――――――――





 もうすぐ夏季休暇(まあ、夏休みだね!)というある日。


 食堂のオープンテラスで、私とヴォルティス様、セルジュとカレン嬢という組み合わせで、お茶をしていた。(カレンとは剣術場での時以来、会えば時々話をしたりしている。とても素直で明るく、可愛らしい女の子だ)


 「それで、どうなんです? 王子」

 「そうだな…」


 セルジュとヴォルティス様も、いつからからは知らないが友人になったらしく。セルジュのヴォルティス様への呼び方が少し変わっていた。


 「って、カレン。なんの話?」

 「え? リリーシャ様、聞いていませんでした?」

 「ええ。ちょっと、ぼんやりしていましたわ」

 「…ええっと、ですね。説明し難いのですが、セルジュが昔から私の事を、その…」


 カレンは恥ずかしそうな顔をし、言いかけたまま顔を両手で覆ってしまった。


 「可愛いねって言っていた事だよね! それで、王子にハーシェル様も可愛らしかったのでしょう? と尋ねていたんですよ」


 それを引き継いだのはセルジュ。確かにカレンは可愛いよね。


 「そうでしたか。それで、ヴォルティス様は何て?」


 初対面で『平凡』言われた事は、しっかり覚えてますよー。


 「あ、ああ。その…なんだ。平凡、と言ったな」


 あ。ヴォルティス様も覚えていたようですね。


 「えー! ハーシェル様は、ちょっと目付きがキツめかもしれませんけど可愛らしいじゃないですか! 僕のカレンには及びませんけど」

 「やだ、もう! セルジュったら!」


 ハイハイ。ご馳走さまです。


 「だか、まあ…その」

 「あっ、やっぱり可愛いとか思っていたんですか?」


 お? あれか? これは、よくあるお約束パターンの『ああ。本当は可愛いと思っていたんだ』とか、来るか? 来るのか?


 「ん? いや、出会った時は本当に、平凡だと思っていたぞ。今は可愛いと思うがな」


 でーすーよーねー。うん、知ってた! 私もコノヤローって思ってた! 最後の一言で、私の好感度は上がっちゃったけどね!


 でもまあ、そうだよねー。だって、この人。毎日、金髪碧眼の天使のような愛らしい顔立ちを鏡で見ていたんだもんねー。


 「ああ、じゃあ。今は、あばたもえくぼって言うやつですか?」


 うぉい、コラ。セルジュ! お前もイケメンだからと失礼なやつだな、ホントに! 私の顔は欠点じゃないわ! お前や、ヴォルティス様のレベルが高すぎるんだよ! 攻略対象様だからな! あ。カレンも、めっちゃ可愛いです。流石ヒロイン。


 「ん? アバタ? なんだそれは?」


 ああ、あばたもえくぼ。これ、日本の言葉だもんね。ヴォルティス様は知らなくて当然だ…ね…? って!? いやいや! サラッと流しそうになったけど。何でセルジュは、この言葉を知っているの?!

 も、もしかして…? いや。もしかしなくとも! 転生者はカレンじゃなくて、セルジュ! お前だったのかーー!! 


 「……マジでか」

 「え? リリーシャ様。今何かおっしゃいまし…あら? 何だかお顔の色が優れないみたいですが大丈夫ですか? 辛いようでしたら医務室へ行きましょう?」

 「いえ、大丈夫ですわ。心配してくれてありがとうございます、カレン」


 …――なんて、やり取りをしながら。(とりあえず、セルジュには後で転生者か確認してみようと思う)

 話題はコロコロと変わり、夏休みに皆で海へ行こうだの山が良いだのという話に移っていた。


 ヴォルティス様は、学園にいる間は多少免除されている公務があって忙しいし、私も一応侯爵家の令嬢なので、他家のお茶会やら、夜会への出席やら、王妃教育程ではないにしろ、王族としてのマナーなどを長期休みで学ばなければならない。(勿論、これだけの期間では済まず、卒業後も一年間は王族のマナー教育を受ける事になる)

 貴族の一員として家での役割りも果たさなければならない為、忙しかったりする。


 けれど、その長期休みの期間中。数日だけは前以て伝えておけば、公式行事等と重ならなければ休ませて貰える事になっていた為。その内の一日で、皆で遊びに行こうという事になった。


 しかし。行く先が海か山かで意見が別れた。そして、どちらにするか。私とヴォルティス様で、勝負をして決めようと言う事になった。


 ちなみに、ヴォルティス様とセルジュが海派。私と、カレンは山派だ。


 「今までは負け続きだったが。今回こそは俺様が勝つぞ!」

 「王子、頑張って下さいー!」


 セルジュはヴォルティス様の応援に回るらしい。まあ、当然か。きっと、カレンの水着姿が見たいんだろうなぁ。

 ヴォルティス様は私と遠泳勝負がしたいんだって。普段は姿が見える所にはいないから、あまり気にしないけど…護衛泣かせだな! 二人で泳いでいる筈が気付けば三、四人でザバザバ泳いでいました。なんて事になりそうで、想像したらちょっと笑えた。


 「あら? 私だって負けませんよ?」

 「リリーシャ様! 私は、リリーシャ様を応援します、頑張って下さいっ!」


 カレンは私の応援に回ってくれるらしい。私は山に登って、大自然の中で壮大な景色が見たい。そして、カレンは花や薬草の採取を散策がてらにしたいのだとか。

 ちなみに可愛い花を沢山見つけられたら、花冠を作ってくれるそうだ。うん、素直に嬉しい。


 「さあ、始めるぞ!」

 「ええ、始めましょう?」


 …――そんな訳で。今日も私は、婚約者と勝負をしています。


長々と(もう少し短くするつもりでしたので)お付き合い下さりありがとうございました! ブクマや評価、9/17の日間ランキング(異世界転生/転移)五位など、すごく嬉しく励みになりました。本当に、ありがとうございました…! もしかしたら、また番外編なども書くかもしれませんが、その時は宜しかったら、またお付き合い頂けたら嬉しいです。

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