無神
神の存在を信じる者が言った。
「この世に神はいる。神は寛大な心で地球上の生けとし生けるもの全てを見守り、時には救いの手を差しのべてくださるのだ。」
それを聞いた神の存在を信じない者が言った。
「う~ん、どうだかね。よく分からないけど、俺は信じてないからなあ。」
「何を言う。そのような罰当たりな発想も神は寛大な心でお許しになっているのだ。神に感謝しなさい。」
「だから俺はその神の存在を信じていないんだよ。存在しない者に何を感謝しろと言うんだ。」
この議論は長く繰り返されてきた事だが、今回ばかりは信じていない者が正しかった。何故なら、神は幾度となく争いを起こす地球などとうに見捨て、他の星の神になっていたのだから…。
しかし自分の手を離れた知らぬところでも人の心の拠り所となり続ける辺り、さすがは神である。