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英雄譚の真実

これも夢で見たものです。

最近多くなりました。

ばとる?かもしれません

良かったらどうぞ

俺は英雄になったのか。


国の王女を黒騎士から助け、そして討伐した。


王女だと知ったのは随分後ではあったが、特に自分の気持ちが変わったわけではなかった。





深い山奥。


怯える幼い王女。


「お母様」と、小さく呟いてないている。





俺は黒騎士に恨みがあった。


何か、大切なものを奪われた恨みが。


だから俺は黒騎士を探してあらゆる場所を探した。


けれど簡単には見つからなかった。


もう少しで挫折するかもしれないところで、黒騎士を見つけた。しかし望まぬ出会い方をした。


不意打ち。


狙いはどうやら幼い王女にあるらしく、周りの付き人は次々にやられていった。


俺は最小限に収めるべく剣を振り下ろす。


場所は洞窟の中。しかし穴は浅く、休憩を取っていたところに突然現れた。


黒騎士は幼い王女を目掛けて剣を振り下ろす。俺はそれをすべて止めた。


ところどころ傷はできたが、そんなことにかまっていられる余裕はない。


後ろでは事切れた付き人何人かに抱えられて気絶している王女がいる。


しかし、黒騎士と剣を交えている今。





それすらもどうでもよくなり始めていた。





黒騎士と俺の力量の差はさほど無い様だと、直感でわかった。しかし、さほど無いとはいえ相手の方が上をいく。


力の差を知った。


洞窟の中での買う防戦は、しばらく前に伝達しておいた衛兵の登場によって幕を下ろした。


「なっ!?王女様!?ここで何があった!」


そんな声が轟くが、誰も答えるものはいなかった。





俺と王女と衛兵はそのまま城へと戻った。


あの襲撃で黒騎士が不意打ちで攻めてくる可能性が増えたとあって、俺も警戒態勢で道を進んだ。が、しかし、黒騎士が攻めてくることはなかった。














城についてから、俺は王様と妃様に会うことを勧められたが、丁重に断った。


そんなガラじゃない。


王の間とは別の、下っ端が使う様な部屋で一息つく。城の入り口がよく見える、休憩室の様なところだ。


そこで、今までのことを整理していると、何故か王女がやってきた。


「こんな場所で、何をなされているの?」


幼いくせに流暢な言葉を使う彼女は、しかし年相応の仕草で首をかしげる。


俺は答えなかった。


いや、答えたんだろうが、どう答えたのかまるで覚えていない。


とにかく、冷たい態度を取っていたのは、印象として残っていた。


答えを聞いた王女は、少し悲しそうな顔をしてから、何かを閃いた様な表情を浮かべていった。


「ならば、あなたもあちらにおいでになっては!?」


思わず王女の顔を見つめる。


ここでは確か疑問をぶつけた様な。


「あちらには美味しい食べ物がいっぱいありますし、何より楽しいんですのよ!」


そう嬉々としていった彼女に、俺はデコピンを食らわした。


思ったより強かったのか「ふぁっ!?」とかヘンテコな声を発してのけぞる。


ここでは確か話し方について忠告したんだったか。いや、たぶん文句だな。


「子供のくせにそんな言葉を使うな。鬱陶しいぞ」


という様な感じだったと思う。


しかし彼女はおでこを抑えてうずくまりはするものの、なかなか強情に続けた。


「い、いえ!これはお母様から頂いた数少ない教えなのです!なので、やめるわけにはいきません!」


王族は強情だから困る。


そのときそう思ったのは明確に覚えている。


だから無理に言わず、こう言ったのだ。


「俺はお前が普通に話す様を見たい。それに、王ってのはお忍びで街に出ることもあるんだろう?俺と話すときはその練習だと思ってその言葉遣いをやめろ」


そしてゴリ押す様に続ける。


「俺も一応国家市民の一人だぞ?王は市民の言うことを聞くべきだと、教わらなかったか?」


少々悪いことはしているかもしれないとは思った。


しかし彼女はそんな俺の顔をキョトンとした顔で見つめた後「わかりました」とぼそりと呟いた。


「あなたの前ではなるべく言葉遣いを緩和しましょう。お母様も『善良な市民の言葉、願いはできる限り叶えるもの』と教えてくれましたし」


その言葉を聞いて少しばかり安心した俺がいるのは、まぁあいつには内緒の話だ。


「王族は市民の願いを叶えるべし。しかし、悪の市民にそれは当てはまらず」


俺はいつか聞いた王族の掟の様なものを口に出した。


「けど、お前はお前の信念を持って生きればいい。王族の宿命からは逃れられないだろうが、お前がしっかり自分を守った上でこの国を背負ったのなら、きっといい国になるだろう」


その言葉を聞いて王女は顔を輝かせて元気にうなづいた。


ガラにもないことをしたが、まぁこれはノーカウントだ。





そんな和んだ場所に、異変が起きたのは本当に唐突だった。





一番最初に気付いたのはあちらこちらにいる兵隊より俺だった。


簡潔にいってしまえば、俺たちがいる城の入り口が、突然爆破四散したのだ。


その直前に騎士が現れたのに気付いた俺は、すぐさま王女を背中に隠し前に出ていた。


驚きに声を上げるメイドに、爆風で吹き飛ぶ兵士。


その一人がガラス張りになっている俺たちの部屋に飛んできて、盛大にガラスは割れた。


かけらが飛んできて頬をかすめる。


一筋の液体が頬を伝い下に落ちていくが、気にしている暇などない。


舞い上がる砂埃、煙幕の役目を持ったその場所に、俺は剣を抜き放って警戒する。


少しづつ晴れていく砂埃。


その中から、黒い影が現れる。


しかしその影は洞窟で見たものと少し違う様に見えた。


そして表すその姿は。


「、、、、っ!?」


俺は目を疑った。


黒騎士の姿は、俺の大切な者を奪ったときと、全く同じ姿をしていたのだ。


洞窟のときは変な仮面とマントだけだったというのに、今は強靭な鎧すらまとって戦う気満々だ。


そこで気付いた。


、、、こいつ、この城ごと落とす気か!


あの時と、同じ様に皆殺しに、、、


瞬間、俺の中から憎しみ以外のすべてが消え失せた。


兵士のこと、背後にいる少女のこと、城のこと、そして自分のことさえも。


黒騎士を鋭く睨みつけるその瞳に光はなく、邪悪な憎しみしか浮かんではいない。


その気配さえ様変わりしたことに、彼女だけが気付いて、少々怯えている様だった。


しかし、、、


そんなことなどどうでもいいっ!


俺は黒騎士に噛み付く狼の様に突進した。


黒騎士はそれを容易に受け止める。


殺す。殺す。殺すっ、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺してやるっ!!


脳内はただそれのみで、騎士はそれを知ってか知らずか受けている。





黒騎士との攻防戦は、しばらくの間続いた。


周りにはそれなりに強い兵士がひしめき合っていたが、2人の攻防についてこれていないようで、手は出してこなかった。


俺は憎しみに身を任せ、あらゆる場所を狙って剣を叩き込んだ。


五発中、二発はかすっているという現状ではまだ足りず、俺はさらに攻め込む。


そうして続いた後、黒騎士がなぜか隙を見せた。


そこか!!!!


俺はとっさに胸元に飛び込み、その胸を、、








一突きにした。








力を失っていく黒騎士。


くずおれる騎士を俺は剣を払いながら見下ろした。


、、、終わった、、、。


これで復習を果たせた。


しかし、達成感や幸福感なんて全く感じられなかった。


それより、、、





俺は黒騎士が倒れたその脇に、力なく膝をついた。


黒騎士の仮面は壊れていた。


当然、その素顔が明らかになる。


それは、














そこにあったのは、唯一親友であった者の死に顔だった。

















俺はずっと、黒鎧の呪いにかかった親友を探していた。


その道中で、呪いを解く方法を探しながら。


出会えば必ず戦闘になることを知っていた俺は、ギリギリのところで逃げ帰り、呪いを解く方法を探っていこうと決めていたが、見つかることはなかった。


そのまま俺は、黒騎士の姿に憎しみを覚え、その上助かる方法も見つからないまま、国を滅ぼそうとしていた。


"殺す"という方法以外に考えられなかった。





結果、全力で戦い、相手が隙を見せて殺した。


ただ一人残った、親友を。





膝をついたまま、親友の顔を見つめた。


かつては俺を異端者と見た奴らの中で唯一笑いかけてくれた人間。


俺は、、、


「、、、すまな、、、かった」


声が震え、ポタポタと何かをこぼしているのに、誰も触れなかった。








それから。


俺は国の英雄になった。


後から聞いた話だが、あの黒騎士は国の市民や兵士を襲っていたそうだ。


しかも神出鬼没な上、対処できていなかったところを、俺が倒したらしい。


王とその妃はとても喜び、ぜひ城に向かい入れたいと言っていたそうだが、俺はその時には城にいなかった。





俺は王女を王の間までエスコートした。


大きいレッドカーペットをとおり、これまた大きい扉を開けると、誰もが平服していた。


白い鎧をまとった兵士が道の脇で跪き、上人がその後ろで頭を垂れていた。


俺は王女の手を支えたまま、扉を少し入ったところまでエスコートし、その手を離した。


「、、、?」


こちらを見つめる王女に、目で行って来いと伝え、手を離す。





俺はそのまま振り返らずに城を後にした。








後悔がないかといえば嘘になる。


しかし、黒騎士、もとい親友を殺した時から俺は俺ではなくなったような気しかしない。


故に、これ以上そばにいるわけにはいかなかった。

















悪は討伐され、憎しみをを理由に復習を果たせた者は、望まずして英雄となった。


その噂が流れるのはやはり早く、かれはどこに行ってもその名を口にすれば「英雄」とたたえられ、その度に面倒ごとが舞い込んだ。


その面倒ごとがきっかけで弟子を持つことになり、これまた望まずしてあの王国の街に再び足を運ぶことになる、というのは





また、別の話になる。

こういうの有りますよね

探し求めていた敵が実は親友だったとか家族だったとか。

自分で見た夢なんですが、ひとつだけ予想外だったのが、それを主人公が知っていたことでしょうかね。

後図けで入れた設定なんですけどね。


ありがとうございました。

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