第三話
階段を必死に登ってやっとの思いで教室へ辿り着く。エレベーターもエスカレーターも無いから自分の足だけが頼りだ。まあ、毎日ジョギング(学校から家まで)しているから階段を使うこと自体は余裕なんだが、めんどくさい。だが、つべこべ言わずぬぼーっと登っていたらいつの間にか教室の前だった。あら不思議、いつの間に瞬間移動したのかしらん?もしかしたらお姉様ラブのテレポーターが運んで下さったかもしれん。なんてくだらないことばっか考えてる今日この頃です。
引き戸を右に引いて、教室に入る。「嗚呼(あゝ)、学校に来ちゃったな」なんて思っている時点で----何度も言うけど----いつも通りだ。こんなにいつも通りいつも通り言ってたら、いつも起きないこと、例えばテロリストに襲われるとかのフラグが立つ気がして怖い。いや、もう既に立ってる可能性が高い。それにしてもテロリストって、どこのチープなラノベだよ。多分、中二の妄想にしても浅はかな方だぞ。幼稚すぎるなあと思いながら自分の席に腰を降ろす、と同時に隣の女子に挨拶する。
「おはよう、天石さん。」
「あ、おはよう二葉くん。」
隣の女子だけに天石さんは同じ班である。何を隠そうこの天石さんこそがうちの班の副班長を勤めてらっしゃる御方だ。うちの班で一番真面目!他の班の男子からも人気爆発な、清楚?系美少女。可愛いというより美しいらしい彼女は、この班の象徴と言ってもいいかもしれない。ていうか、この班の人はモテる(俺以外)。
それで、二葉くんは誰だって?そんなの簡単に説明出来ちゃいますわよ。二十字以内とかで余裕のよっちゃんタコのはっちゃんだ。
『オタクキチガ○で、活字中毒。』
うん、モテない訳、百八の内の一つが垣間見えましたね。因みに他の百七もちゃんとある。
でも、このぱっと見ネガティブな活字中毒という性質はポジティブな性質に変えることができる。
『文学青年』
ほらドヤ。ちょっとかっこ良く見えるだろう。文学少女と並べたらイケメン過ぎてヤバイ。なんならお互い恋に落ちちゃうかもしれない。
すいませんちょっと調子乗りすぎました。
でもさ、これ言っちゃ終わりだけど、キャラとか性格とかの前に顔だよね。ということで顔が終わってると自分で思う方々、諦めよう。僕と一緒に。
もうちょっと真面目に自己紹介しようと思います。
俺の名前は二葉一葉。はい、読みにくい、ウザい、死○、etc。もう知ってました。まあ、こんな二葉亭四迷に樋口一葉を連想させる様な名前を貰ったからこそ、活字中毒になったんだが。因みに好きな作家は、青崎有吾です!
オタクだけどラノベよりミステリーの方が好きなんです。いや、ラノベも好きです。普通にオタクです。
「こんにちは、Hello、안녕하세요?、你好、大丈夫?意識あるかい、いっちー。」
「意識はある。意識は。でも早く家に帰りたいっていう意識しかない。お前みたいなイケメン君と違って学校の風当たりは辛いんだよい。」
「イケメン君って。俺には藍浦愁っていう素晴らしき名前があるのですが。」
「あーハイハイ。そうですねー。愁様カッコいいカッコいい。 イケメソイケメソ。」
このちょびっと、いやガチナルシストはこれまた同じ班の藍浦愁君でござる。このナルシストの性格が災いしてくれればいいのに、してくれなく普通にモッテモテ。普通よりモッテモテ。なんで、この班ってモテる人が集まったんだろうね。居場所がない。
男子の諸君、想像してみたまへ。この状況は男子一人で女子ばっかのプリクラゾーンに入って行く様なもんだぞ。ハッキリ言わなくても変態だよ。居場所ないだろ。
まあ、俺のこたあどうでもいい。女子のみなさん朗報です!イケメンの登場ですよ。彼は、副会長であり、テニス部部長、おーっとここまででも十分イケメンだなあ。だが男子諸君、まだ甘い。続きがあります、テニス部部長に雑誌モデル(滅びろ)、後は、天才だあ!!
ここまで揃うって、ここまで揃うって、輝き過ぎている。誰だよ、「天は二物を与えず」とか言ったやつ。その通りだなおい!二物どころか四物も五物も与えてるよい!
「藍裏君、あのボーッとブツブツ呟いているキチ○イは死なないのかしら?」
「うーん。放っておいても生き残るタイプだからね。中々、いっちーは滅びないかな。」
えーっと、こっち見ながら会話するの止めて下さいますかしら?
「おい海淵さんよう、死なないってどういう事だ。それと、愁。滅びるってワザとだよね。フォローじゃなくて追い打ちだよね。」
この、超絶毒舌女の名前は海淵だ。こいつは、顔だけでモテてますの真骨頂。性格とか最悪なのにね。まあでもこの世の中にはそれがいいなんていう奴らも居るんでね。
「海淵、お前の毒舌は如何にかならんのかい?」
「一先ず君には、ずっとこれだね。安心していいよ。物理的には攻撃しないから。」
精神的には攻撃するんですねえ。ええ。さいですか。
そんな何処にでもありがちな会話をしていたら、チャイムが鳴った。それと同時に女子が二人来た。この二人が最後の俺の班の女子二人だ。
一人は例のガチ腐女子d「ガッシャーン」えっ?!
急に大きな音が鳴った。後ろのドアが閉まったのだ。次に前のドアも閉まる。それもまた、誰も触らず急に、だ。やはりおかしい。後ろのドアの時は見間違えだと思った。女子二人が触ったかと思った。だが前のドアの時は誰も触っていない。この事実は何より信頼できる自分の目が証明している。
コナンドイル先生が書いた名探偵ホームズシリーズに、こんな言葉がある。
"When you have eliminated the impossible, whatever remains, however improbable, must be the truth."
和訳すると、
『不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる。』
だ。
この場合に置き換えてみよう。
この学校は、日本一ハイテクな学校だ。全ての教室に最低一台は16Kテレビが置いてある。そのレベルでお金を出し惜しんでいない。
次に、人の手によってドアは閉められたわけではない。
これらのことから導き出される真実はつまり、
『ビリリリリリリリリリ!!!!』
え?!何?急に警報?何で?そんな、半分パニック状態になっていると警報が止んだ。皆ホッとしているみたいだ。それはそうだろう。だって、こんなハイテクなんだ。何も起こるわけがない。
『ピーンポーンパーンポーン』
ほら、きっとさっきの警報の訂正だ。また何時もの退屈だけど平和な日常が始まる。
『テロリストが侵入しました。皆さん避難してください。』
スピーカーから流れる無機質な声。きっと録音だったのだろう。辺りはシーンとしている。当たり前だ、そんな冗談みたいなことあり得るはずもない。
『しかし、急にそんなこと言われても理解出来ないでしょうから、あと三十秒経ったら各クラス椅子を一台ずつ爆発します。』
先程の放送の続きだ。またもや無機質な声。三十秒、と言ったか。短い様で長い。白板の上の時計を見る、二十秒経った様だ。後、十秒。
十、九、八、七、六、
周りがザワザワしだす。当たり前だ。
三、ニ、一、
あれ?何も起きない。
『うわあああああああ。本当に椅子が爆発した!!!!!さっきの放送は正真正銘本物だ!!ヤバいヤバいヤバい。死ぬううううううう!!』
隣のクラスからそんな声が聞こえる。声、というより最早悲鳴に近い。だが、俺たちのクラスでは何も起きていない筈なんだが。
「おい、愁。どういう事だ。俺たちの所だけ誤爆か?逃げた方がいいのか?」
「何が起きているのかが把握出来ない。本当に何が起きているんだ?それよりいっちー。皆はどこへ向かって逃げているんだ?」
「校庭じゃないのかよ!」
つい、声が荒々しくなる。こんな時に何を言い出すんだ。避難訓練でも何でも緊急の時にどこへ行くべきかは決まっているだろう。
「窓の外をみても校庭や、門の付近には誰もいないんだが。」
それより俺たちは逃げなくていいのか?そんなことをふと思った。しかし、逃げるべきだと思ったのは俺だけじゃない様で生徒会長の志築が前のドアに近づきながら叫んだ。
「皆、いいから早く逃げろ。閉じ込められるぞ!!!!」
そして、ドアに手を掛ける。だが、志築に手応えはなくドアはビクともしないようだ。二、三回試してみるがどうしても上手くいかない。後ろのドアも同じくだ。
『あー、あー、只今マイクのテスト中』
またもやスピーカーが震える。だが前と違うことが一点。放送室で誰かが喋っている。無機質な録音された声じゃなく、歴とした人の声だ。
『えーっ、今、皆さん方はありとあらゆる出口の鍵が閉ざされていて驚いている所でしょう。ですが落ち着いて下さい。ちゃんと脱出する経路は用意されています。』
一旦ここで話を区切る。「成る程、出口が閉ざされていたのか」と自分でも嫌な程冷静に状況を判断することが出来た。それぐらい何時もと変わらぬ放送具合だったのだ。全く緊迫感もなく、ましてやテロが起きているなんて考えすら浮かばないぐらい落ち着いた声で放送していた。
『ここまで状況は分かったかな?
では、脱出する方法を話そうか。まず、今、二年A組だけが教室内に閉じ込められている。そこで、脱出の方法を説明しよう。後、十分でA組のドアの鍵が開く。その十分以内にA組のドアを前後どちらも鍵を外から閉めればいい。どうだ、簡単だろう。そのことを確認できたら、玄関の鍵を開こう。後は勝手に逃げても構わない。どこへ行こうが君たちの勝手だ。
だが忘れないで欲しい、そうしたら君たちはA組を見捨て、裏切ることになる。しかし、A組の鍵を閉めなければ玄関の鍵すら開かない。この校舎には先程のような火薬が幾つあるだろうな。
まだ後十分ある。
皆で痛みを背負うか、それとも少数派を切り捨てるか、まあ好きにしたまえ。
さあて、カウントダウン開始だ。』
稚拙な文ですいません。