第7話 『グレア』の悩み
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本当につまらない。
僕が生まれてから長い時が過ぎたけど、今までこの感情が消えたことはない。
<<退屈>>、これは全ての悪魔が常に抱えている生命の危機、爆弾だ。
何もすることがないなら生きていてもしかたがないもん、昨日まで元気だったヤツが次の日には自殺してるなんて、悪魔の世界ではよくある話さ。
僕達には、寿命という概念が存在しない、と思う。
まあ、わからないんだけどね、だって、寿命で死ぬやつなんて今までいなかったし。
ある程度の年月を生きると、退屈すぎて自殺しちゃうからさ。
普通の生物よりも遥かに長い時を生きるんだから、仕方ないかもしれないんだけど、でも、僕達と同じなのに、僕達とは根本的に違う連中がいるんだよ。
それが、神様。
あいつらにも寿命が存在しない、そもそも、この世界の始まりから誰一人として変わっていないらしいんだ。
でも、それならヤツラは自殺もしていないってことで・・・なら、僕達とヤツラの違いって何だろう?
何でヤツラは、退屈という最凶の毒に負けないで、生きていられるんだろう・・・?
僕は、死ぬのが怖い。
明日にでも突然自分の命を絶ってしまうかもしれない、この退屈が怖い。
だから、確かめたかったんだ。
神様って種族は、僕達とは何が違うのかって。
僕は、確かめて見ることにした。
始まりは、大体二千年くらい昔かな、僕の力を受け入れられる素質を持った人間に、力を与えた。
力を与えたって言っても、僕がしたのは<<力の種>>を人間に植え付けただけ。
力の種は、宿主の資質によっていろんな力を発現させる。
その結果、どうなるかは僕にもわからないんだ。
そして、超人となった彼らに、僕はこう言ったんだ。
この世界の悪魔を、倒してくれって。
馬鹿な人間は、自分達に力をくれた僕を神様、その敵が悪魔だと勘違いした(まあ、僕が少し認識阻害の魔法をかけたんだけどね)。
それから、僕は人間を率いて、長い年月をかけて世界中を回り、神様達と会話をしようとした。
だって、悪魔である僕だけで行っても、口も利いてくれないに決まってるんだもん。
だから、人間を人質にして、あいつらと会話をしようと思ったんだ。
僕の質問に答えないなら、こいつら全員殺しちゃうよ?ってね。
結果から言えば、全くの期待はずれだった。
どの神に聞いても、私は退屈していないの一点張りなんだもん。
何で!?僕達悪魔よりも遥かに長い年月を生きているくせに、何で退屈しないんだよ!?
僕のこの問いに、答えてくれるやつはいなかったよ。
ムカついたから、人間に殺させてやったけど。
あいつら、人間には手を出さないって決めてるらしい、振り払ったり追い返そうとしたりするだけで、結局一人も殺さなかった。
人間には、長い時間をかけて僕こそが神様だって刷り込んであるから、神が何を言おうとも聞く耳持たなかったしね。
その結果自分が死ぬんじゃ、全く意味無いだろう。
結論、退屈を紛らわす方法は見つからなかった。
このままじゃ、僕はいつか自殺するんだろう。
そんなのは嫌だ、そんな意味の無い死に方なんて、真っ平御免だ!
だから、僕は考え方を変えることにした。
<<退屈しないほど、毎日ワクワクすればいい>>。
それが出来ないから今までの悪魔は死んでいったのに、このときの僕は焦りからか、どうかしていたんだろうね、やれるはずって思い込んでさ。
で、結局何も出来ないうちに年月は過ぎ、ウロボロスとの直接対決に陥った。
流石に、人間の力だけでは ウロボロス は倒せないだろう、だから、僕が手伝ってやるって、それだけのつもりだったんだけどね。
僕の力には、悪魔の中でも珍しく、そして、凶悪な副作用がある。
しばらく力を使っていなかったし、気にしたことも無かったから、うん、副作用のこと、すっかり忘れてたんだよね。
そのせいで、駒として使っていた人間を全員殺しちゃった時は、流石に焦ったよ(結局、一人生きていたんだけど)。
僕に答えをくれなかった神様連中の最後の一人を倒すってだけで、頭がいっぱいになっちゃって・・・かなり悪い笑みも浮かべていたみたいだし。
あそこにいた、えっと・・・マニーだっけ?彼女が怯えるのを見るのが面白くて、ついつい驚かしちゃた。
うん、どうやら僕は、弱いものを虐めるのが好きらしい、久しぶりに楽しいって思ったよ。
でも、男の子としては、神様達が思ったよりも弱すぎて、戦った気がしないんだよなー・・・。
不完全燃焼っていうか・・・もう少し骨のあるのと戦って見たい。
でも、僕の力的に、互角に戦えるやつって限られてるし・・・・・そうだ!この女に捜させよう!って思った(このときの僕は興奮でどうかしていたらしいね)。
うん、全く期待していなかったのに、この男、結構やるじゃん!
何か腕が変化したけど、これがアイツの特性なのかなー?
白い毛がモコモコと生えて、三本の鋭い爪が伸びてるけど、たしかアレは、カナンって神様の腕だっけ?
でも、それにしては短いな、あいつの腕は、十メートルを軽く越していたはずなんだけど・・・扱いやすいように、短くしているのかもしれない。
でも、アレがもし、カナンと同じ能力を有しているなら、アイツは本当に、僕と互角に戦える人間かもしれない。
僕は、やっと、本気で戦うことが出来るのかもしれない・・・・・。
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「ああああああああああああああ!」
ここでいいものを出さなければ、俺達に明日は来ない!
この数の敵を相手にするのは初めてだが、一匹の取り逃がしも許されない!
なぜなら、俺の後ろには眠らされて動けないロコンとマニーが居るからだ。
俺が失敗すれば、俺を信じてくれる、俺の大切な仲間が傷つき、命を落とすからだ!
俺の願いが通じたのか、俺の両手は白熊のように白い毛に覆われ、鋭い爪が三本伸びたものに変化していた。
「これは・・・!」
そしてその瞬間、俺は悟る。
これは、カナンの両手、全てを終わらせる、終焉の風を吹かせる神の腕なのだと。
無神の変化技は、変化した時点でその部位にどのような能力があり、何が弱点なのかを教えてくれる。
まるで長年連れ添った相棒のように、どう使えば最大の力が生み出せるのかを、俺は既に知っている。
もっとも、今の場合はどう使うかなど迷う必要もなかったが。
両手を前に突き出し、一言言えばいい。
「コキュートス。」
地獄において最下層に流れているとされる川、全てを凍りつかせる、死の川が悪魔軍団に襲い掛かった。
一瞬、本当に一瞬だった。
気が付いたときには、俺の目の前だけが白い、氷の世界になっていた。
凍りつく瞬間すら、俺には見えなかった。
「す、すげえ・・・。」
長年(三年だけだが)この力を使ってきたが、こんな凄い力が出たのは初めてかもしれない。
神の部位に変化して戦ったことはある、が・・・ここまでの威力は、もちろんボスでさえも出したことが無かった。
これが・・・これがVRMMOと、本当の異世界との違いなのか・・・・・・・?
「凄いよ!」
呆けていた頭を再起動し、声の主に向き直る。
そうだ、まだこいつがいるんだった。
全ての元凶・・・
「次はお前の番だぜ、グレア。」
ええと、すみませんね。今回の戦闘一瞬で終わっちゃいました・・・。いや、戦闘とすら言えなかったかも。
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