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第6話 『グレア』登場

「うわあああああああああああああああああああああああああ!」

 俺は叫び声を上げながら飛び起きた。

 どうやら、地面に仰向けに転がっていたようだが、今はそんなことどうでもいい。

 問題は・・・

「マニー・・・お前、こんな地獄を見てきたのか・・・・・・。」

 今俺の頭の中に直接流れ込んできたのはマニーの記憶だろう、本人もそう言っていたし。

 俺は、映像や音声だけでなく、マニーの心の声、叫びも全てを聞いていた。

 今起きれて良かった、もう少し遅ければ心を折られていたかもしれない。

 あんな化け物と戦えるかと、泣き叫んでいたかもしれない。

 でも、幸か不幸か、今の俺は恐怖よりも怒りを強く感じていた。

「あの子供、グレアとかいったか・・・。俺の仲間を泣かせるなんて、いい度胸してるじゃねえか・・・・・・!」

 俺は、かつて無いほどの怒りを感じていた。

 あんな映像を見せられてこんな感情を抱くとは、自分でもおかしいと思う。

 時間がたてば、恐怖のほうがまさってしまうかも知れない。

 でも、だがしかし、今の俺は違う、少なくとも今の俺は、あのガキを思い切りぶん殴りたいと思っているのだ。



「へえ。アレを見せられてまだ戦う意志があるなんて。キミ、意外と凄いんだね?」

「なっ・・・!!!」

 慌てて立ち上がり辺りを見渡すと、左手のほう、10メートルほどの距離に、小さな影があった。

 夕日を背にして立っているので姿はよく見えないが、しかし・・・

「その声、お前がグレア、か・・・・・・?」

 小さな影は嬉しそうに首を縦に何度も振ると、

「そうそう!いやー、彼女に僕を殺せる人間を連れて来いって命じたときは正直無理だと思っていたんだけど。まさか、本当に僕と張り合うことが出来るほど強い運を持つ人間を連れてくるなんてね!」

 こうして見ていると、振る舞いは少し生意気な子供にしか見えない、けど、体の震えが俺に警告している、油断するなと。

 本能的に悟る、少しでも隙を見せれば、その瞬間俺の生命は終わると。

「お前の目的は何なんだ。折角世界征服したのに、自分を殺せる人間を連れてこさせるなんて、お前はいったい何がしたいんだ?」

「ん?僕の目的はただ一つ、退屈を紛らわすことだよ?悪魔っていうのはね、いつでも退屈してるんだ。常に新しくて楽しいことをしてないと駄目な種族なんだよ。だから、人間を騙して神様殺しゲームをさせたし、今度は僕が魔王役になって勇者を殺すゲームもする。その結果、僕が死ぬことになろうとも、何の後悔もないんだよ?まあ、前はは違う目的があったんだけどね。」

 俺の中で様々な感情が吹き荒れたが、一番は呆れだった。

 こいつにとっては全てが遊びなんだ、命を玩具同然に使い捨てる、それが例え自分の命であっても。

 これが、こいつが、悪魔・・・!



「ねえねえ、少し遊んでよ。」

 ニッコリ笑うその姿に、俺は恐怖を隠せなかった。

 こいつはヤバイ、嫌な予感しかしないぞ。

「キミの力試しだよ。もし弱いならここで仲間と一緒に殺しちゃうからね。頑張って。」

 ほらやっぱり。

 てか、さっきから気になってたが、何で他の二人は起きないんだ!?いくらなんでも長すぎないか!?

「仲間なら僕が眠らせてるよ。だから、今はキミが一人で頑張ってね。」

「・・・つまり、俺が負けたら二人は無抵抗で殺されるってことか。」

「死ぬより辛い目にあわせてあげるよ。僕キミと戦うのすっごく楽しみにしてたんだから、僕の期待を裏切るヤツを連れて来たのならそれ相応の罰を与えなきゃね。」

 ・・・・・・ブチンと、俺の中で何かが切れる音がした。

 こいつは今、俺の仲間に危害を加えると言ったのだ。

 笑いながら、今も何をしようか考えている。

 まるで、虫を殺す子供のような笑みで。

 ああ、本当に、ここまで怒ったのは何年ぶりだろうな・・・!

「安心しろよ・・・失望させるようなことはしない。今、ここで、お前を殺す・・・・・・!」

 グレアの顔が、ニタァと歪んだ。

「やる気になったね。じゃあ、始めようか!」



 ヤツが右手を前に出し、

「こい。僕の軍勢よ。」

 俺の目の前が、一面黒一色に染まった。

 あらわれたのは、全身黒、額に生えた二本の角、そして人間程度なら軽く引き裂けるであろう長い爪、鋭い牙・・・。

 二本、四本、お、三本足のもいる。

 とにかく、お前らが悪魔だろっていうくらいのヤツラが、えーと、とにかく数え切れないほどいた。

 本当に悪魔ってのは手加減って言葉を知らないらしい。

 こっちはこの世界での戦いも何も知らないってのに。

「キミが今まで使っていた技はそのまま使えるよ。そもそも、キミたちがやっていた 神罰 とやらは、この世界をもとにして創ったみたいだし。」

 心でも読まれたのか・・・?

「鋭いねキミ!それにとっても冷静だ!大抵の人間は心を読まれたら取り乱すのに。」

「ゲーマーを舐めるなよ!ゲームならそんな能力ありふれてるっての!」

 あ、ちょっと不機嫌になった。

 だが、ゲームの技がそのまま使えるなら話は早い。

 俺は目の前の軍勢を見据え、両手を前に出しながら叫ぶ!




「<<両手変化アーム・チェンジ>>!」

 この技は名前の通り俺の両腕を変化させる技だ。

 本当は<<全身変化ボディー・チェンジ>>を使いたいが、万が一巨大な体になった場合、敵と一緒にロコンやマニーも踏みつける可能性がある。

 普段はそんなの軽々と避けてくれるが、今は動けない状態なんだ、これでいくしかない。

 前にも話した通り、俺の無神という職業は、ほぼ全ての技にランダム属性が付いている。

 ここだ、ここでいいものに変化しなければ俺の運はそこまでのものだったっていうこと。

 召喚されたばかりだからか、それとも他の理由があるのかわからないが、まだ敵が動き出してない今しかチャンスはない!

 こいつらに囲まれたら何も出来ずに殺されるだろう。

 だから・・・

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

 いいの、出ろーーーーーーーーーーーーー!

今回は突然戦闘開始、の開始部分です。

ていうか、6話にもなるのに今まで戦闘もないって・・・進み具合が遅すぎますかね・・・すいません。

ネーミングセンスには突っ込まないでください、普通にへこみますから。


次回は、一応戦闘回です、短いかも知れませんが。

これからもよろしくお願いします。

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