第4話 進みません
「まず、何が起きているのかを話してくれるか?」
俺はようやく泣き終えたマニーへ出来るだけ優しく尋ねた。
先ほどのマニーの言葉を信じるなら、ここはゲームの中じゃなく、別の世界、ってことなんだよな?
まあ、俺はその辺り全く疑ってない、だって、マニーが俺たちにこんな嘘をつくハズがないからな。
俺は、一度信用した相手のことは最後まで信用するって決めているし、それで裏切られるようなことになっても、それは俺の責任だ。
俺は、俺の直感と運を信用しているし、だから、俺が信じた人間を俺は裏切らない。
そいつが困っているなら全力で力を貸す、それが俺のポリシーだ。
マニーがこんなに泣くほど苦悩して、その結果俺たちをこの世界に連れてきたのなら、俺はその涙を止めてみせる。
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「何が起きていて、俺たちに何をして欲しいのか。そして、マニー、お前のことを教えてくれ。」
「そうよマニー。実は、あたしたちあなたが何かを隠していて、それが原因で苦しんでいること、知ってたの。でも、あなたが話してくれるまで待とうって、2人で話していたのよ。」
「えっ・・・。」
私と神代は知っていた。
マニーが何かに怯え、それを私たちに知られないようにしているのを。
多分、心配させないようにとか、巻き込まないようにしてるんだと思ってたし、こういう問題は私たちが強引に聞きだそうとしても余計にマニーを怯えさせるだけだと思ったわ。
だから、いつもどうりに過ごして、それで、マニーが私たちに打ち明けてもいいと思えるほど信頼してくれたら、いつか話してくれると思って。
何でかしらね、いきなり異世界に来ましたなんて言われたのに、混乱や絶望よりも、喜びのほうが圧倒的に大きいのよ、私変になったのかしら?
でも、こうしてマニーが話してくれたんだもの、しょうがないわよね。
どうせ神代はマニーを助けるって既に決めているんだろうし、一番大好きな友達と愛している男がやるんなら、私もやるしかないわよね。
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「わ、私にそこまでの価値なんてありません・・・。そこまで想ってくれた2人を、命の危険がある世界に連れてきたんです。私たちの都合で、あなたたちを戦わせようと・・・。」
「それだよ。俺たちは何と戦えばいい?どうすればお前の涙を止めることが出来るんだ?」
「あのね、多分私たち、もう今更帰る気はないのよ。そりゃ、いろんな人に迷惑や心配をかけるわ。でもね、泣き虫なあなたを置いて、助けもせずに帰るなんて出来ないの。」
「そういうことだ。自分たちでも、馬鹿だとは思うぜ?普通こういう場面では、みっともなく取り乱したり騒いだりするもんだ。だけど・・・。」
「お前の涙を止めるまでは帰らない。」
「あなたの涙を止めるまでは帰れないわ。」
あ、ロコンと被った。
「く、くくく・・・。」
「ふふふ・・・。」
何か可笑しくなって2人で笑っていると、マニーもつられたのか瞳に涙を溜めながら笑い出した。
やっぱり、この3人でいる時は笑ってないと。
「話してくれ。お前が何に悩んで、この世界は何と戦っているのかを。お前の悲しみを、どうやったら拭い去ることが出来るのかを。」
長い沈黙の後、マニーは意を決したように顔を上げて話し出した。
「お願いします。あなたの幸運で、この世界を救って欲しいんです。」
う、何かすみません。
話は進まないし内容も少しクドイですよね。
ただ、次はマニーが2人を連れてきた理由とこの世界の問題について書こうと思うので、お許しくださいー。