第12話 記憶遡行 再
さて、南へ行くと言ったはいいが、その前にやるべきことがある。
「マニー、俺たちはどうやって戦えばいい?」
そう。俺とロコンはこの世界のことを何も知らない。知らなすぎる。
グレアとの戦いだって、半ば勘で戦ったようなもので、今ではその感覚さえ薄らいでいる。
「神罰と、この世界は、どの程度同じなんだ?」
「あ、それ私も気になる。」
例えば、俺の神罰での職業である無神は、クトゥルフ神話における無貌の神、ニャルラトホテプをキャラ性能の元にして作ったとユーザーの間では言われていた。まあ、それが結局どの程度真実なのかは置いておいて、俺の使う技や、ステータスなんてものはどうなっているのだろう?
技が使えることは前回の戦いで確認はした。だが、性能は?俺があの時使った技は、間違いなく過去最高のものだった。あれは、偶々あの神の力が凄かっただけなのか、それとも、この世界では仕様そのものが違うのか?
ステータスだってそうだ。神罰では、俺のレベルは全サーバーでもトップクラスの398だった。まあ、HPなんてあのゲームじゃ殆ど意味はなかったし(ボスの攻撃が一度クリーンヒットしたら死ぬから)、攻撃力や防御力は変化技で変わるからどうでもいいにしても、スタミナ(長時間行動したあとの回復力)や幸運度はどうなっているんだろう?
他のは兎も角、この二つは重要だ。旅をするならスタミナは必須だし、俺の職業的に幸運度は無いと困る。
これが、ゲームのキャラではなく現実世界のステータスなら、スタミナの関係で随分と苦しい旅になるだろう。
「はい。それもお話しなければなりませんね。・・・・・・それでは、申し訳ありませんが、また私の<<記憶の断片>>を見てもらってもいいですか?」
「それはいいけど・・・大丈夫なの?その・・・・・・無理しなくていいんだよ・・・?」
「はい。大丈夫です。これから話すことは少し難しいので、見てもらったほうが早いですし・・・。」
「わかった。じゃあ、頼む。」
「はい。」
マニーがまた俺たちの額に頭を触れさせる。
俺たちは、マニーの記憶へと潜って行った・・・。
今回も短い・・・。
おまけに、次回も説明回で、一体いつになったら冒険に行くんだって思う方も居るでしょう。
すいません、もう少しお待ちください。