4話 完結
クリスマスには色々奇跡があるようです・・・・
次の日朝早く、スキー場のことを聞くために管理人さんの事務所にパパと一緒に
行ったんだ。
おじさんは丁度雪かきをしている最中で、ボクたちが行くと息を切らせながら近づいて
きた。
「すいませんねー。お忙しいところ・・・」
「いやいや・・・年には勝てませんわ。ちっとも作業がはかどらない」
「スキー場のことを聞きたかったんで・・・」
「それなら・・・これがパンフレットと地図じゃ。バスがあるからそれを利用するといい。
バス停は・・・ほれ、あそこに見えてる」
「ありがとうございます。 大変そうですね、毎日ですか?」
「この時期はなぁ・・・道路は市が除雪してくれるんじゃが、細かいところは自分で
やらんといかんから。 家に帰る頃にはヘトヘトじゃわ」
「家は近くなんですか?」
「家は・・・そこの建物じゃよ。 管理人専用じゃ。以前は家族で住んでたんだが
家内が10年前に癌で逝きよってから一人暮らしじゃよ。 息子が千葉におってな
早よう来いって言いいよるんじゃが・・・ここの世話をしてくれるもんが
中々見つからんのじゃ・・・田舎じゃでなぁ」
「そうなんですか・・・こんな所に住めるなんて羨ましいぐらいなのに・・・」
パパはそう言って管理人募集の紙をじっと見てた。
それからボクたちはお昼ご飯を食べて、3人でスキー場に行ったんだ。
スキーの板や着る物はレンタルして、日が暮れるまで遊んでた。
ボクもスキーを教えてもらったけど・・・ソリで遊んでる方が多かった。
ママは最初転んだりしてたけど、段々かっこよく滑れるようになってきて
パパと交代でリフトに乗ってたみたい。
帰ってきてからも、二人はスキーの話で盛り上がってたみたいだった。
ボクは疲れちゃってたからご飯を食べたらすぐに寝ちゃったけど、あさ暖炉のある部屋に
ワインの瓶と料理が置いてあったから、きっと遅くまで話してたんじゃないのかなぁ。
ボクがソファーでお絵かきしてるとママが入ってきた。
「おはよー。ママ、今日はねぼすけだね」
「ゴメンね。 お腹空いたでしょ? 今、用意するから待っててね・・・」
「うん。ママ、スキーしたから疲れたの?」
「あっ・・・うん・・・・そうみたい。もうすぐ出来るからパパを起こしてきてくれる?」
「わかったよ。 わー、美味しそう!」
パパは眠そうにしながら入ってきて、ママが入れたコーヒーを飲んでから話し出した。
「なぁ・・・昨日の件・・・考えてくれたかな?」
「うん・・・いい話だと思うけど・・・勇希の学校の事もあるし・・・・」
「その辺は管理人さんに聞いてみよう。もし由美子さえ良ければ俺はそうしたいんだ」
「わたしは・・・こんな風に暮らせるのなら・・・」
ママはちょっと泣いてるみたいな感じだった。
「ママどうしたの? 悲しいことあったの?」
「違うの・・・ちょっと嬉しかったから・・・」
「なあ、勇希。 昨日の晩ママとお話したんだけど・・・3人でここで暮らそうかって。
お友達のよっちゃんとか会えなくなるけど・・・勇希はどう思う?」
「ボクはみんなで住めるんなら、どこだって平気だよ。それにまだ雪だるまとか作って
ないし・・・もっとここで遊びたいもん」
「そうか・・・そうだよな・・・みんなで住む方がいいに決まってる・・・
よし、そうと決まれば管理人さんに色々聞いてくる」
パパは朝ご飯を食べたらすぐに、管理人のおじさんとお話をするため出かけていった。
そのあとスッゴク嬉しそうな顔をして帰ってきたパパは、ママと色々話てたみたい。
ボクの計画とは少し違ってるけど・・・
でも、なんだか同じ答えになったみたい。
えっ? ボクのアイディア?
それはね・・・
煙突のあるおうちにはサンタさんが来てくれるんだよ。知ってた?
ほら、ここには煙突があるでしょ?
だから、パパとママが仲よくなれるゲームをプレゼントしてもらおうと思ったんだ。
だって、幼稚園でも楽しいゲームをすれば喧嘩したお友達とだってすぐに仲直り
できるでしょ?
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「勇希! もうすぐ学校のバスが来るわよ。 ちゃんと用意できてるの?」
「ちょっと待ってね・・・ほら!この雪だるま持って行くの」
「ダメでしょ? そんなの持ってバスに乗っちゃぁ」
「はーい。 せっかくお友達に見せようと思って作ったのに・・・」
「学校・・・楽しい?」
「うん! お友達3人できたよ。 タカ君とぉ・・・ジュンコちゃんと・・・まなぶ君」
「そう・・・良かった・・・あっ・・・パパが雪かきから帰ってきたみたい・・・
お帰りなさい! お疲れさまー」
あっ・・・またキスしてる・・・
ここに住むようになってから、ママとパパは時々キスしてるみたい・・・
ちょっと恥ずかしいけど・・・パパ、ママ、仲よくなれてよかったね。