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忘却死生  作者: あんねーむ
第1章 忘却死生

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第8話 捕縛

目が覚めた。どうやら馬車の中のようだ。よかった、まだ生きていた、と思いながら目を開ける。あれ、手も足も動かない。よく見ると、縄で結ばれている。そうだ、僕は…敵に捕まったんだ。ちくしょう。なにも、できなかった。父さんと母さんが無事かどうかももはや祈ることしかできない。僕がちゃんと逃げれていれば。捕まらなければ。僕は魔術を使ってみんなで逃げることだってできたはずなのに。無力だ。

「おい、ガキ。起きたか。」

目の前にいるおそらく敵国の兵士であろう男が話しかける。

「…はい。」

「そうか、じゃあ…」

男が僕の胸ぐらを掴む。

「テメェの両親、どこに行った?」

「え…?」

「本当はテメェの両親を捕まえに…いや、消しにきたんだよ。なのにこんなちっせぇガキしか捕まえられずに…だが、テメェを餌にアイツらを釣る。」

「どうして僕の両親を…?」

「あ゛?知らねぇのか?テメェの両親はお前らの国での最大戦力であり元冒険者パーティ、『夢想』のメンバーなんだぞ?」

聞いたことはあった。「夢想」。僕の生まれた国の英雄的冒険者パーティ。約10年前に解散したが、それでもまだ熱狂的なファンがいるらしい。まさか父さんたちだったとは…

「で、早く吐きやがれ両親の居場所。子供を痛めつける趣味はねぇんだ。手荒な真似はしたくねぇぞ?」

「言いません。」

「は?」

「絶対に言いません。」

「は?何言ってんだテメェ。今お前が何に取り囲まれてるか分かってんのか?」

「はい。さっきの話を聞いて理解しました。」

おそらく、敵国の、最高戦力に近しい組織なのだろう。最初に家を襲った爆発もかなりの威力があった。相当な魔術師がいる。

「じゃあさっさと…」

「いえ、言いません。」

「テメェ…おいお前ら!」

男が仲間たちを呼ぶ。乗っていた馬車が止まる。僕を取り囲む。大体20人くらいだろうか。かなり多い。

「殺すなよ。痛めつけて嬲ってアイツらの場所を吐かせるんだ。殺れ!」

一斉に僕に向かって襲いかかってくる。手足は拘束されてるけど…

「ウィンド!」「ファイアボール!」

ウィンドで敵を吹き飛ばしつつ、ファイアボールで縄を焼き切る。手の方は切れた。あとは足!

「ファイアボ…」

腹に向かって拳が飛んでくる。避けられない!

「げほっ、げほっ!」

くそ!魔術を発動できない!そのまま僕は殴り続けられる。

「おらぁ!さっさと吐けやぁ!」

「調子に乗りやがってこのクソガキがっ!大人にかかればテメェみたいなガキなんて雑魚なんだよ!」

罵倒と脅迫の言葉を浴びされる。だが、こんなので屈するわけには…!

「おい、お前ら!ソイツを舐めんな!いくらガキだろうがアイツらの子供だぞ!」

最初の男が警告する。でも、遅い。口の周りに空間を作り、腹にダメージを入れられないように守った。

「ウィンド…バースト…!」

周りを巻き込みながら馬車が粉々に砕け散る。木片があたりに散乱し、土をも抉り飛ばす。竜巻のように僕の魔術は周りを破壊した。地面に向けて撃ったせいで自分の体は遥か上空に、男たちはあらぬ方向に吹っ飛ばされていった。


落ちる。落ちる。落ちる。落ちる!このままでは落下で死んでしまう!昔みたいに上手くちょうどいいタイミングで魔術を撃つしかない。ただ…今日撃ったのは1級魔術2発。3級1発に4級1発。1級2発の負荷が高すぎる。消費する魔力の量が多い魔術は使えない!だったら…

「ウォーターボール!」

僕は水での着地を試みた。イメージしろ。威力じゃなくて大きく、柔らかく、受け止めるように!



どうやら助かったみたい。なんとか死なずに着地できたが、流れ込んできた。捻れる。切れる。潰れる。裂ける。折れる。砕ける。何と形容すべきかわからない、限りなく多くの事象が、ありとあらゆる痛みが。痛みと体力切れと魔力切れに耐えかねて、僕は倒れた。



「おい!大丈夫か!大丈夫か!あぁ、くそ!心臓は動いてやがるが、息が浅い!今から医者のとこまで運んでやるからな!それまで生きてろよ!」

誰かの声がする。けど、この声は知らない人の声。あの夢の中で出てくる人の声じゃない。けど、あの男たちとは違って、父さんや母さんみたいに、優しい声だった。気を、失った。


どうも!あんねーむです!第8話読んでいただきありがとうございます!よければ感想等を残していただけるとありがたいです。次話も見てね!

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