↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忘却死生  作者: あんねーむ
第1章 忘却死生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/12

第11話 離別

 朝になった。今日は旅立ちの日。トアさんとはお別れの日だ。ついにこの時が来た。僕がドラト軍に誘拐されて、セルトが滅びて、父さんと母さんの居場所が分からなくなってから約3、4年。全てはこれからのため。色んなことをしてきた。トアさんとお別れするのは寂しいけど、行くしかない。荷物をまとめて朝食を食べに行く。

「お、リン君。おはよう。」

「おはようございます!トアさん!」

「リン君、ついに今日だね。」

「はい!頑張って父さんと母さんを見つけて...そして...」

「ん?どうしたんだい?」

「いえ!なんでもないです!」

 あの声の話をしてもトアさんはわからない。けど、僕はあの声の正体を、そして僕のこと自身も知らなくちゃいけない。失った生前の記憶。死者であるという感覚のみ残る身体。なのに死んでいない。もう一度生まれ、生きている。ゴールは僕の死んだ理由、そしてあの声の正体。始めよう。旅を。


 朝食を食べ終えて、僕は荷物を取りに部屋に戻る。トアさんに教えてもらって用意した旅の道具。必需品。そして、父さんと母さんにもらった魔杖。これからどんな関門が待ち受けているか分からない。いざとなったらすぐに対処できるようにしておこう。よし。準備は整った。

 部屋を出る。出口に向かう。トアさんがいた。

「リン君、準備はできたかい?」

「はい!ばっちりです!」

「よかった。それじゃあ最後に僕からプレゼントだ。」

 そう言って僕に一本の剣を手渡す。

「これは…?」

「剣だよ。リン君は魔術の方が得意だけど剣もあったら便利だ。君のお父さんが熱心に教えてたんじゃないかな?」

「な、なぜそれを?」

「仲間だからだよ。テオさんは。考えることは手に取るようにわかるさ。」

「そうですか…トアさん!」

「なんだい?」

「父さんのこと、見つけたらトアさんのところに連れて会いに行きます!」

「...ありがとう。だけどリン君の目的を達成してからでいいよ。生きてたら多分何処かで出会えるから。」

「それもそうですね!剣、ありがとうございます!では、行ってきます!」

「うん、行ってらっしゃい。また、いつか。」

「はい!また会いましょう!絶対に父さん達のこと、見つけてきますから!」

「うん、頑張ってね。」

 手を振る。前に進みながら後ろを見て手を振る。トアさんも小さく手を振っている。トアさんには…トアさんには見えてないと思う。そう思いたい。恥ずかしいし。涙が頬を伝う。目からボロボロこぼれ落ちる。止まらない。止められない。袖でいくら拭っても止まらない。楽しかった。まだ一緒に居たかった。そう思えばそう思うほどにまた涙が溢れ出る。それほどに。トアさんと過ごすことが。ありがとう、トアさん!助けてくれて!色んなことを教えてくれて!たくさんのものを与えてくれて!誘拐されて死にかけの身寄りのない僕と過ごしてくれて!絶対にまた、会いに行くから!トアさんが小さくなっていく。離れていく。あぁ、だんだん、だんだん見えなくなっていく。一人だ。ここからは一人だ。悲しい。寂しい。楽しく話す相手もいない。

「振り返るな。前を向いて歩け。自分の未来のために!」

 トアさんがそんなことを言ってる気がした。普段の姿とは合わないような口調で。うん。そうだ。引きずってなんかいられない。僕にはやらなくちゃいけないことがたくさんある。少したりとも余裕はない。急ごう。あの声の言う準備もしなければいけない。まっすぐ進めばドラトの首都だ。前を向いた。もう振り返らない。目の前には美しい青空と草原。道がずっと遠くまで続いている。涙はまだ流れ続けている。9歳。僕の旅は、ここから始まる。



「ーーくん、そろそろ出るよ。」

「待って!まだ、ーーちゃんとお別れしてない!」

「そんな時間はないの!もう行くよ!」

 掴まれて引っ張られる。

「あぁ!ちょっと!待って…待ってよ!まだ、まだ離れたくないよ!」

「こら。文句言わないの。行かなきゃいけないんだから。」

 何かの動く音。

「うぅ…どうして…まだ、まだやり残したことがたくさん…」

 離れていく。僕たちの家から。抗えない。子どもだから。僕は親に付き従うしかない。嫌だった。まだ一緒に居たかった人がいた。何となく僕の中に残ってる悲しい記憶。少しだけ思い出した気がした。

どうも!あんねーむです!第11話読んでいただきありがとうございます!よければ感想等を残していただけるとありがたいです。次話も見てね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。