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また君に恋い初むる  作者: シュリ


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6/33

 ふっと目が覚め、冬乃はまばたきしようとした。だが、まぶたはぴくりとも動かなかった。手も足も、何もかもが糊付けされたように固まっている。


 背中に布団の感触はない。組んだ足がしびれる感覚がして、自分が今、床に正座をしているのだと気がついた。いったいこれはどういう状況かとぼんやり考えていると、頬に突如ものすごい衝撃が走り、体ごと後ろへ倒れ込んだ。


 がん、と凄まじい衝撃が後頭部を走る。壁に激突したらしい。


「てめえ! 話を聞いてるのか!」


 何が起こったのかわからない。


 目の前にあるのは足だ。太い脛と素足。……男のものだ。思わず悲鳴を上げかけたが、なぜか喉はまったく機能せず、息も吐けなかった。


 狭い畳敷きの部屋に、見知らぬ男と自分。視界の隅にはひっくり返った箱膳。その周囲に茶碗や小皿が転がり、米や漬け物がむざんにも散らばっていた。


 ――申し訳ありません、■■様


 自分の口が言葉を発したが、よく聞こえなかった。


「違う違う違う違う!」


 男の足がふっと視界から消えた。と思った瞬間、腹にドスッと鈍い痛みが走った。


「愚かで間抜けで生きる価値もない私を養っていただきありがとう存じますだろうが!」


 丸めた背に、幾度も痛みが降ってくる。


 わからない。この男がだれなのか、自分がどうして折檻されているのか。何もわからないのに、今にも恐怖で涙が出そうなのに、この身体に宿る心が「涙を流してはいけない」と必死に諫めている気がして、ただ唇を噛みしめた。


 錆びた鉄のような味が舌先にしみる。


 冬乃は必死に体を起こし、三つ指をついて床へ這いつくばった。

 そうしなければ、いつまでも終わらない。そんな気がして。


「惨めな女のくせに!」


 ドスッ、と脇腹を蹴り上げられ、冬乃は畳の上へ転がった。


「おまえのような奴を養ってやってんだ! ありがたく思えよ!」


 なぜだろう。蹴られた背や脇腹よりも頭が痛い。今にも壊れそうなほどズキンズキンと激しく脈打っている。


 冬乃はひたすら目を閉じ、痛む頭を抱えて気の遠くなるような地獄を耐え続けていた。……




 それから再び、目が覚める。


 ぶは、と大きく息を吸い、まるで長いあいだ呼吸を忘れていたかのように全力で息つぎを繰り返した。


 ――今のは、何?


 耳をふさぎたくなるような罵声。男の太い足。脳みそが焼けつくような激しい痛み……


 それらを思い出すだけで、ど、ど、ど、と心臓が激しく打ち鳴らされる。冬乃は両手で胸をおさえ、しばしのあいだ、ただ無心で息をしていた。


「……おねえ、しゃま?」


 向かいの布団から、ぽやぽやと寝ぼけ声が聞こえる。海子が目をこすりながらこちらを見ていた。


「うなしゃれて……ましたけぇども……」

「大丈夫よ、ちょっと変な夢をみてしまって」


 向かいからすう、すうと寝息が聞こえる。もう寝てしまったらしい。冬乃はしばし唖然とし、その後ちいさくクスッと笑った。


 笑いながら、はたと気がつく。頭の後ろからサァッと血の気が引いていった。


「う、海子さん、今何時⁉」


 ――すう、すう。


「まさか、もう、夜になって……」


 たちまち脳裏に今日の出来事がまざまざと甦る。白沢文代の訪問、縁談話、かつて街で邂逅した謎の男の出現……その後の記憶がまるでない。


 最後に覚えているのは、不躾に近づいてきた男の顔。自分は恐怖で気を失ってしまったのだ。そして気づけば夜になり……


 ということは、その後の後始末は。ナミ江の食事は。風呂の用意は。

 何もかも放棄して寝かされていたということだろうか?


 両手で顔を覆う。消えてしまいたいほどの自己嫌悪に泣きたくなった。

 

 また気絶して、仕事を放棄したなんて。なんという役立たず……

 



 その翌日、冬乃は朝いちばんにナミ江へ謝罪したが、


「あれは事故よ、仕方ないわ」


 と特に怒られることもなく流されてしまった。


 一方海子はというと、対照的にぷりぷり怒っていた。


「まったく、あの人のおかげで、あの後ひとりで洋間を掃除させられましたわ。意味のわからないことを言ってお姉さまを怖がらせるわ、二度も失神させるわ、これだから殿方は……! 二度と邸に来ないでいただきたいわ」


 きっとあの後、お茶をまき散らしたことをナミ江に怒られたのだろう。少し余計な逆恨みが入っている気がするが、海子はすべてを客人のせいにしていた。


 どちらにせよ、だれも冬乃を責めないし、呆れたり見放した様子もない。それがかえって冬乃の心を責め立てた。


 少なくとも、自身が心身壮健であればこんなことにはならなかった。これはまぎれもなく冬乃の失態だ。


 それに、あの客人――カワシマ(なにがし)と名乗った男の様子から察するに、やはり過去のどこかで縁のあった人物であると思われる。それに、聞き間違いでなければ「結婚の約束をした」と言っていなかったか?


 このあたりの記憶は残念ながら曖昧で、はっきりとは思い出せない。かといってあの場にいたナミ江や海子に聞くのもためらわれる。


 結局、冬乃はここ数日、自身の失態を思い返しては恥じつつ、例の男の発言の詳細を思い起こそうとしては悶々とする日々が続いていた。


 そんなある日の午後だった。


「冬乃さん、ちょっと」



 廊下の拭き掃除をしていると、ナミ江にちょいちょいと手招かれた。


「はい、なんでございましょう」

「あと一時間ほどしたら茶室に来てくれる? 海子さんも呼んで」

「はい」


 用件は言われなかった。冬乃は廊下の端にかけられた時計を見上げ、内心首をかしげる。


 いったいなんだろう。

 まさか……


 冬乃の脳裏を「解雇」の二文字が瞬時に横切っていった。


 ありえないことではない。男に近づかれるだけで恐怖で失神するような女中など普通は要らないからだ。いくらナミ江が優しく慈悲深いといっても、やはり日常生活に支障をきたすような使用人は家に置きたくないだろう。


 冬乃は最悪の想像を頭の隅に置きながら、不安の面持ちで拭き掃除を続けた。


 それから一時間後、冬乃は海子とともに茶室へ向かった。広々とした座敷には、ナミ江がすでに座している。


「二人とも、そこに座って」


 と向かい側を差ししめす。座布団が二枚置かれていたので、真っ先に海子が手前側へ座った。冬乃も続いて奥側に座る。縁側の障子が右手にあり、庭から差す白い光を畳へ投げかけていた。


「ねえ、冬乃さん」


 ナミ江が微笑をたたえて口火を切る。


「私ね、先日のこと、別に怒っていないのよ」


 先日のこととは当然、あの失神事件のことだろう。冬乃は胃の縮まるような思いで「恐れ入ります」とつぶやいた。


「だからそう硬くならないでったら。怒ってないの。私はあなたの病を承知で雇ったんだもの。だから今更そんな理由で解雇なんかしないわよ」


 まるで心の中の不安をすべて見透かされているようで、冬乃は恥ずかしくなった。


 ナミ江はそんな冬乃を見据えつつ、「でもね――」と続ける。


「そろそろ、その病を本格的に治していくべきなんじゃないかとも思うの。……四年前、帝都精神病院へ行ったときのこと、覚えてる?」


 冬乃は持ちうる限りの記憶を思い起こす。正式に雇われる前、ナミ江に連れられ、一度だけ帝都にある精神病院を訊ねたことがあった。


「そこでお医者様に言われたこと、覚えてるかしら。男性恐怖症を治すために必要な三つのこと……」


「はい」と冬乃は即座に答える。忘れもしない。あの日、自分を見てくれたのは優しい女医だった。冬乃の状態を気遣いながら慎重に診てくれて、心が救われた気もちになったのだ。


「確か……治すには時間の解決と、恐怖対象に慣れること、何より私の前向きな気持ちが必要であるとお医者様はおっしゃいました」


「よく覚えてるじゃない」ナミ江は満足げにうなずいた。「時間の解決については、まあこのままここで過ごせばいいと思うのだけど、問題は慣れと気持ちね。どう? 治したいって気持ちはある?」


 それはもちろんだ。

 治ったら、堂々と街を歩ける。ひとりで買い出しやおつかいに行ける。当たり前のことを当たり前にできるようになるのだ。


「もちろんでございます。わたしは……今すぐ治せるものなら治したいと思っております。もしも特効薬があるならば、どんなに高くても不味くても痛くても、今すぐ飲み干したいくらいです」


「そうよね。本当にそうでしょうとも」


 ナミ江はうんうんと大袈裟にうなずいた。


「特効薬なんてものはないけれど、難儀な〈恐怖対象への慣れ〉について、訓練する方法ならあるわよ」

「え……?」

「その訓練に是非とも協力したいと申し出てくださった方がいらしてね。その方に少しずつでも慣れていけば、やがてどんな殿方にも臆せず接することができるんじゃないかと思うの」

「あ、あの、つまり、その方は殿方で……」

「もちろんよ。そうでなくちゃ訓練にならないわ」


 ナミ江はにっこりと目を細め、縁側に向かって「もうよろしいですよ、いらしてくださーい」と声を張り上げた。


 冬乃も海子もつられて縁側のほうを見る。締め切られた障子のまとう淡い光の向こうに、ぬっと黒い影が姿を現した。


 ばたん、と冬乃が後ろへ手をついた。海子も大きな目をさらにまん丸に見開く。


「冬乃さん、大丈夫?」

「あ、は、はい、申し訳ありません……」


 慌てて居住まいをただす。だが障子の向こうにいるであろう男の存在が恐ろしく、身がすくんでしまう。


「この方にはね、これから週末にだけ、うちで一緒に食事をしてもらおうと思うの」


 ナミ江は顔色の真っ青な冬乃にうふふと笑いかける。


「もちろんタダでというわけにはいかないから、週末には男手の要るような下働きをしていただくわ。あなたたちも女中として手伝ってちょうだいね? 勝手がわからないでしょうから」


「お、奥様、お言葉ですがっ」海子が片手を上げた。「いきなり同じ屋敷内で殿方とすごすなんて、まだ早いのではありませんか? もっと段階を踏まなければ、お姉さまはまた気を失われるかもしれません」


「また気を失う」――という言葉に冬乃は顔をうつむける。だがナミ江は「うーん」と人差し指をツンとあごへ当てた。


「段階といってもねえ。治すにはどうしても慣れが必要なんだもの。それに週末だけなのよ? 毎日というわけではないし」


「いくら週末だけとはいえ、お姉さまのお仕事にだって支障が出ますわ」

「あ、あの……」


 冬乃がおずおずと口を開くと、ナミ江も海子もだまってこちらを向いた。


「わ、わたしは……はやくこの病を治したいです。その、もし本当にそちらの方がご協力くださるなら、これほど感謝すべきことはありません」


 すると障子の向こうの影が一瞬、ぴくりと肩を揺らしたように見えた。


「さすが冬乃さん。よく心得てるわ」


 ナミ江は機嫌よくうなずいた。


「それじゃ、さっそくご紹介といきましょうか。どうぞ、障子をお開けください」


 ナミ江が呼びかけると、人影がすぅっと息を吸い、ゆっくりと吐く気配がした。彼は障子に手をかけ、そっと隙間を開けていく。


 現れた人物に、冬乃も海子も息を呑んだ。


「川島勝市と申します」


 彼は威厳あるたたずまいで、そこに鎮座していた。寄せた眉のあいだに刻まれた皺、鋭い刃物のような目の形、ぎゅっと真一文字に引き結ばれた唇……そのすべてが威圧的で、不機嫌そうにも見える。


 間違いなく、先日やってきた男だ。冬乃が目の前で気絶してしまった男だ。なぜ……なぜ彼がここにいるのだろう。


「冬乃さん、体がもう逃げてるわよ」


 ナミ江の言葉にはっとする。無意識のうちに正座したまま海子のほうへ体を傾けていた。


 彼が、自分の病を治すための助っ人だというのか? なんのためにわざわざそんなことを?


 混乱と緊張と恐怖で頭が追いつかない冬乃の代わりに、海子が「あ、あのっ」と声を張り上げた。


「失礼ですが、なぜこの方がお姉さまの病を治すためにご協力くださるのですか?」


「それは――ええと、言ってよろしいのかしら?」


 ナミ江がたずねると、勝市は「はい」と短く返した。


「あのねえ。実はねえ。川島様は冬乃さんに縁談を望んでらっしゃるの」

「ええっ」

「えええええっ⁉」


 二人同時に頓狂な声をあげる。


「ど、どどど、どういうことですかっ? なぜこの方がお姉さまを? ハッ……」海子ははたと思い至った。「そういえば、先日この方がいらしたとき、お姉さまをご存知のようなおっしゃり方を……」


「まあまあ、それはもういいのよ。それより冬乃さん、大丈夫? 聞こえていて?」

「……あっ、は、はい……」


 冬乃はおっかなびっくり、絡繰り人形のようにぎこちなく首を振った。


 聞こえているには聞こえている。が、話についていけない。


 この、見るからに仕立てのよいスーツを着た、いかにも上流階級といった風貌の男が、自分に縁談? 何かの冗談ではないだろうか。


 それとも、彼が自分を知っている風だったことが、何か関係しているのだろうか……


「冬乃さん。この縁談どうする? お受けする?」

「えっ? ええと、それは……」

「というのを、ちゃんと考えて川島様に返事してちょ

うだい。あなたの意思を尊重してくださるそうだから。――ただし」


 ナミ江はぴっと人差し指を立てて見せた。


「私たちと海子さんがいないところで、二人きりになって、ちゃんと顔を見て、あなたの口から述べるのよ。受けるも受けないも、どちらせによ、ね」


 それは、あまりにも酷な条件だった。


 ただでさえ今、この場から逃げ出したいくらい怖いのに、ナミ江や海子のいないところで彼と話すなんてできるわけがない。


 だが、冬乃の意思を尊重する、という彼の意向は正直、意外だった。普通は女に拒否権などない。拒否すべきときは、親や面倒を見ている雇い主がするものだ。


「とにかく、あなたは病の治療に専念なさい。その中で川島様の人となりを見させていただくのがいいと思うわ」


 そう言いつつ、ナミ江は勝市にちらりと意味深な視線を注ぐ。

 勝市は相変わらず仏頂面のまま、すっと視線を冬乃へ向けた。

 たちまち背中にどっと汗が噴き出し、冬乃は素早く顔を背ける。


 やはり、怖い。男と顔を合わせるなんてできそうにない。


「人となりを見るって……」海子が小さく口を挟む。「週末しか来られない方をどうやって見るのですか。しかもお姉さまは殿方が怖ろしいんですから、そんな積極的にお話もできませんわ」


「ふっふっふ……もちろん、私だってそんなことは予想済みよ。それでね、私と川島様で考えた結果、文通がよいのではないかと結論づけたの」


 ナミ江は座したまま後ろへ手をやり、ごそごそと何やら冊子を取り出してみせた。


「ただ手紙をやりとりするんじゃ面白――ええと、ほら、不便かと思って、この雑記帳に書いて交換するというのはどうかと思いついたの。これなら自分が以前に書いた文章が読めるし、心の変化に気づきやすいんじゃないかしら」


 雑記帳で、文通?


 それは前代未聞の思いつきだった。冬乃はこわごわと勝市の仏頂面を盗み見る。


 ――でも、この殿方と?


 文通といえば、友人同士や遠く離れた親しき家族と送りあうのが身近な例だ。だがよく知らない相手、それも恐ろしい異性に何を書けばいいのだろうか。


「一応、帝都精神病院にも確認をとったら、慣れのためには有効な一つの手段ともいえる、と見解をいただけたわ。あとは冬乃さん次第ね」


 ナミ江と海子と勝市――みんなの視線がいっせいに注がれ、冬乃の首筋をぬるい汗がつたっていった。


 みんなが自分を、自分の病を案じてくれている。


 主人であるナミ江、同僚であり妹のような存在の海子、そして、(少なくとも冬乃にとっては)見ず知らずの勝市までもが、こうして頭を付き合わせてくれているのだ。


 ここまでされて、首を縦にふらないほうがおかしい。


 それに、勝市から本気で縁談を望まれていて、返事を待たせているのなら、できるだけ早く治して答えなければならない。


 そして何より――この機会に病を治してしまわなければ、ここで働く資格さえも失う気がした。もう二度も気絶して迷惑をかけている。はやく治して、女中として当たり前のことを当たり前にできるようにならなければ。


 冬乃が取るべき選択など初めから決まっていた。


「その、お手数をおかけいたしますが、なにとぞよろしくお願い申し上げます」


 畳に三つ指をつき、震えそうになる声を懸命に叱咤しながら、冬乃はそう言い切った。


 勝市はただ一言、「こちらこそ」と素っ気なく返しただけだった。


 本当に、なぜ彼が縁談を望んでいるのかわからない。


「さあ、ではこの雑記帳を……どちらに渡しましょうか?」


 冊子を両手に持って、左右の顔を見回すナミ江はなんだか楽しそうだ。


「では彼女から」


 勝市が冬乃を指ししめす。


「じゃあ冬乃さんからね」


 ナミ江から冊子を手渡され、冬乃は〈雑記帳〉と印字された表紙を見下ろした。


「あの……文通ということですが、いったい何を書けば……」

「あら、そうかしこまらないで。何を書いてもいいのよ」


 なんでもいい、と言われるのが正直いちばん困るのである。


「本当になんでもいいのよ。その日の天気でも、女中の務めのことでも、その日見た夢のことでも……ね、川島様?」

「はい」

「冬乃さん、いつも海子さんと楽しそうに話してるじゃない。そういう他愛のないことでいいのよ」


 他愛のないこと――醤油が切れたので代わりに塩とみりんと出汁でどうにか献立を取り繕ったことや、ナミ江の着物を繕おうとして全部端切れになったというろくでもない夢を見たこと――海子としているのは、そんなささいな会話ばかりだ。そんなことを、この殿方に書いていいものだろうか。


 勝市はナミ江の言葉を訂正するでもなく、ただ黙ってそこに座っている。肯定している……ということでいいのだろうか。


 海子はおろおろとナミ江を見、勝市を見、冬乃を見て、口を開きかけては閉じるのを繰り返している。その様子を横目に見ながら、冬乃は気の遠くなる思いだった。


 果たして、彼と一対一で話すことができる日はくるのだろうか。結婚するか否かを考える段階にまで至れるのだろうか。今でさえ、横顔を盗み見るのがやっとで、背中や額に嫌な汗が止まらないのに。

 

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