第17話 一時の休息
「とりあえず、動きがあるまでは待機・・・と」
首都に戻ってきて、騎士団本部で話された内容。
現状は、前線に派遣された防衛部隊で対処可能とのこと。
その間に、偵察部隊を派遣して敵国の内情を調べるそうだ。
前線に部隊を展開しているのに、それを突破して敵国首都に到着できるかどうか・・・という疑問があったと。
だが、そこに話を出したのは「英雄」だった。
彼が現状わかっている分での地図を見て、首都に行くためのルートを決めたと。
それを聞いて、騎士団幹部達は若干不安そうだったそうだが・・・話を聞いて俺は逆に納得した。
あいつは転生者だ。
多分ゲーム内で覚えていた内容と地図を見て、帝国首都へ続く隠し通路・・・という名の獣道。
ぶっちゃけ、起動鎧で行くとすぐに見つかるだろうそんな道。
だが、人が歩いてるだけなら全く見つからないそんな道。
それだと時間がかかると思われたのだが、騎士団の一部が敵部隊に奇襲をかけて陽動を行ったそうだ。
その混乱に準じて、獣道近くまでは起動鎧で移動したそうだ。
調査期間は、ある程度短縮できるだろうけど・・・それでも1週間以上はかかるだろうと思われるそうだ。
結果がくるのが先か、敵の動きが先か。
まあ、今はただ待つだけってのもなんだし・・・訓練しながら合間の休みを取らせていただきましょう。
初日は、訓練と寮部屋の掃除で終わった。
2日目は・・・あそこに行こう。まだ報告をしていなかったしな。
そう思って向かうと、途中にある花屋で見知った人物がいた。
というか最近ずっと会ってる。
「・・・おや?ダイス、君も墓参りですか?」
ユフィが花束を買っていた。
「ああ。そろそろいいかなと思って・・・報告をしに行こうと思って」
「報告・・・ああ、あのことですね」
それに頷きながら、花屋で買い物してお墓に向かう。
「私は総合墓所に行きます。後で・・・そちらにも行きますね」
「そうだな。クラスメイトだったし・・・というか、俺も総合墓所に一緒にお参りするよ」
そう言って2人で墓参りをして、その後で彼・・・ブック・カラーの墓へ。
手を合わせて、彼に報告を。
「ブック・・・報告が遅れたが、あの日から数日後にシールが退学していったよ。今はどこにいるのか、俺もわからない」
あの葬儀の後、俺も忙しくなったので確認が遅れた。
シール・カラーは葬儀の後、3日後に退学届けを出して去っていた。
彼女の家は首都にはないのだが・・・さすがに本人から聞いていないのでどこに帰ったのかは知らないのだが。
できれば、どこかで立ち直って生きていてほしいものだ。
しばらく手を合わせた後、彼の墓にも挨拶をして後にした。
「・・・すこし時間ありますし、せっかくなので外で食事して帰りませんか?」
ユフィのお誘いに、即答して2人で昼食をとった。
その後、少し買い物を一緒にして帰宅するのであった。
・・・うん?これ、デートだった?
と思ったのは帰宅して休憩がてらベッドに横になった直後だった。
3日目。
昨日は訓練しなかったし、今日はしようと訓練場へ。
自身のポジションの訓練を行った後・・・別の訓練をしようと思った。
無駄とは思いつつ、攻撃手段になる何かがないかと思ってな。
そう思って剣を振っていたのだが・・・すっぽ抜けて壁に刺してしまった。
槍を振り回してると・・・機体の足取り失敗してこけた。
仕方ないから、射撃練習を。
そう思って射撃場に行くと先客がいた。
「今日は訓練きてたんだな」
そう言うと、その相手が振り向いてくる。
一緒の部隊所属、リースである。
「・・・めずらしい。銃使うの?」
「まあ、攻撃手段が何かあればいいかと思ってな」
「・・・けど、あの命中率だと難しくない?」
ごもっとも。
最も、今日はいつもと違って上手く行けそうな気がするんだよ。
そんな顔をしながら、訓練用の銃を持って位置につく。
さて・・・今日はどうかな。
「・・・結果はいつも通りだね」
はい。行けると思ったんです。
しかし結果は・・・10発撃って、3発が的に命中。
「的」には当たったよ。ターゲットラインの中には一発も入らなかったけど。
やっぱり射撃もダメかな。
「やはり、攻撃手段は何もなしで行くしかないかな・・・」
「そうでもない」
諦めかけたが、リースがこちらを見ながら言う。
「この距離なら無理だっただけ。乱戦になった場合なら、ユフィの機体の位置にだけ気を付けたら牽制には使えると思う」
なるほどね・・・牽制目的ならか。
「ありがと。一応保険くらいに思って持っておくことにしようかな」
「うん。あと・・・よければすこし、コツを教える」
願ってもないことだな。
その日は、ほとんどリースと訓練して終わった。
あまり話をしない子と思っていたけど、話を振ると普通に答えてくれる。
少し話をしてて楽しいと思える時間だった。
4日目。
あれからかなり日数が立っていたが、その間に色々とあってこのタイミングになった。
今日、俺は学生寮で大きな箱を運んでいる。
私物を整理して、箱に入れる作業でできた箱である。
と言っても、俺の私物ではない。
俺が付き人としていた彼、アート騎士のものである。
箱に入れて騎士団本部のほうから実家に送られるそうだ。
付き人としていたということで、俺にやってくれということだった。
「あの人、あまり私物持ち込まない人だったからな・・・箱1つで終わった」
と言ってもその一つが大きいのだが。
そんなことを思いながら運んでいると、見知った顔が向こうから歩いてきた。同じような箱を持って。
「あれ?ダイスがいる。・・・もしかして、遺品整理の手伝い?」
「ライムも?けど、卒業してたはず・・・だよな?」
そう。俺と違って学生じゃない彼女がなぜそれをする役になっていたのか。
「私の場合はね・・・補給基地で亡くなった騎士の中に、弟がいたんだよ」
なんてこった。
家族が騎士にいたのなら、頼むものか。
しかし・・・男子側だぞ?女性騎士に頼むか。
まあ、任務によっては同じように扱われるから気にしないのかな。
「それは・・・お悔みします」
「まあ・・・戦死者名簿には載ってないんだけどね」
そう言って、彼女は苦笑いをしている。
「それは・・・なぜと聞いても?」
「弟はね・・・出撃許可のない付き人だったのに、無断出撃して死んだんだ」
なんてこったい。
その話を聞いて、俺の中にはある人物たちのことが浮かんでいた。
シップ君・・・彼を持ち上げていた生徒たちのことである。
ユフィ経由で彼らのことは聞いていた。どう考えてもその中の1人としか思えないな。
「・・・今思えば、少し変わった子だったよ。多分、君と同じだったんだろうね」
「変わった子?・・・ああ、そういうことか」
弟さんは・・・転生者だったというわけか。
そうなると、シップ君を持ち上げて何をしようと思っていたのか。
今となっては知る由もないかな。
その後聞かれたので、彼と一緒にいた間の話をしてあげた。ライムは呆れながら聞いていたけど。
少し彼女とも距離が近づいたような気がする。
5日目。
今日はどうしようかと思っていたら、ユフィからお誘いがあった。
「個別に訓練時間をとるのもいいのですが、連携訓練もしておくほうがいいかと思いまして」
とのこと。
断る理由もないのでご一緒することに。
なお、しばらく訓練をしていたらリースとライムもやってきたので4人での連携訓練も行った。
後で、なんか男子生徒から「俺の居場所」を聞かれたという話があった。
6日目。
前日と同じく4人で訓練。昼食と夕食も一緒に。
書くことがこれくらいしかなかったな。
7日目。
なんか、リースに誘われて外出。
連れていかれたのは、最近街で話題になっているというカフェ。
なんでも限定メニューがあるそうで、そのためとのことだが・・・どんなのか聞いてから来るんだったと思った。
「・・・これ?」
「これ」
パフェだった。
しかも・・・カップル限定。
食べたかったのはわかるんだが・・・なんで俺?
という話を夜にした結果。
8日目と10日目にユフィとライムにも連れていかれた。
だから、なんで俺?
それから数日間は訓練だったりなんだったりと。
そして14日目。
予想よりかなり早く、偵察隊からの連絡がきた。
それは、帝国との最後の戦いの始まりを告げる連絡であった。
とりあえず、こういう回も入れたろ思っていれました。
年齢変わるわけではないのですし、章タイトル変更なしで行こうかと思いましたが
やはり3章開始時に明記していたしここで区切ります。
次回より、最終章の開始です。




