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第1話 転生したらまっていたのは希望ではなく絶望

俺の名は、ダイス・カラー。

アステリス王国の辺鄙な田舎にある農家の長男である。

といっても、家族は両親と俺だけなんだが。


俺は今、5歳になる。

それにしては口調がって思うだろ?

実は俺には、自分がどういった奴なのかわかっているのだ。

正確には、今日の畑仕事の手伝いの時に足滑らせて台車に頭ぶつけた拍子に思い出したんだけどな。


俺は、元の名前を染谷大輔という。

地球で生まれ、一社会人として上司や先輩にいいように使われながら日々働いていた享年32歳。

半ばパワハラに近いような感じに、1週間に何度も飲みに誘われた挙句に代金全額払わされる日々の中、

ようやく車の免許をとれて浮かれていた。

趣味に使う金を極限まで切り詰め、食費をほとんど半額弁当で過ごす毎日を乗り切り買った中古車。

いざ、初試乗!っと勇んでアクセル踏んだら予想以上に強く踏んでしまった。

俺の住んでた場所は道路に面した一軒家、そこから勢いよく飛び出した先は道路。

走ってきたトラックにそのまま横から追突されて・・・俺は死んでしまった。


そうした過去を、つい先ほど思い出したというわけだ。我ながらみっともなかった。

浮かれていたとはいえ、あんなに思い切りアクセル踏めなんて教習場では習わない。ブレーキなら習ったけど。


しかし、今俺は気分が最高潮に達している。


なぜなら、この世界がどんな世界かすでに分かったからである。

この世界は、俺が切り詰め生活の中で最高の癒しを与えてくれたゲーム「スタートルーパーズ」の世界だ。

世間では、「駄作」とか「戦闘パートいらないだろ」と言われたシミュレーションゲーム(18歳未満はやっちゃだめだぞ)である。

そんなゲームなんだが、なんしか登場するロボットが滅茶苦茶好みだった。

それに共感してくれる同志たちとよくネットで騒いでいたものだ。

そんな同志たちとは、昨今これでもかと展開されている「異世界転生物語系」の作品でも盛り上がっていた。


いつしか皆言うようになったのは「このゲームの世界に転生したら、俺が英雄だ!」であった。



そんな世界に俺は転生した。

有言実行、俺は英雄になる!

そして、最惜しとなったヒロインとイチャラブな未来を手に入れてやるぞ!


そのためには、まず学園に入学する必要がある。



「ぼくは、大きくなったら学園にいきたいです!」

このころの一人称は「ぼく」である。子供だからな。

そんな俺の希望は

「ああ。男の子は皆、必ず学園に行くことになるよ」

という回答だった。

そうだったのか!

「もっとも、入学できるかどうかはわからないけどな」

おや?雲行きが怪しい。

「どうしてですか?学園にいくことになるのに?」

その辺りの内容はゲーム内ではなかったんだけどな。


「入学式の時に、マナ量の測定があるんだよ。そこで一定の数値を出さないと『起動鎧』を動かすことがどんなに頑張ってもできない。そういった子は、付属学園に行くことになるんだよ」


マナとは、簡単に言ってしまえば人がみんな持っている「魔力」のことである。

起動鎧は、そのマナの力を使って動かすことになる。

マナは鍛えればその量を増大するんだけど、ある一定値以上じゃないと増加量が激減してしまうそうだ。

入学式で測定し1年間鍛える(試乗はしたりする)、そうして2年目から本格的に起動鎧の訓練となるのが学園の内容なんだと。

最初に測った時に低かった場合、1年で起動鎧を動かすための基準値にいかない可能性が大きいらしい。

なので、長年測定された記録から「ある一定値」に満たない場合は付属学園に行き、前世で言う「学校の授業」を受けることになる。

その時点で、起動鎧に乗る「騎士」の道は絶たれるわけである。


なお、幼少期から鍛えたらいいのではという実験がされたことがあるそうなんだが禁止事項になった。

理由は、増大するマナに体が耐えれなく死亡する子供が増えたからだそうだ。そりゃ禁止にもなるよ。

最も、この世界には貴族がいる。貴族の場合は専属の騎士や騎士団を抱えていたりする。なので絶えず監督者がつく状態を作れるので軽い鍛錬ならすることはあるそうだが。



なので、マナ値の測定は基本「学園の入学式」でしかすることがない。

お金持ちの貴族だったりすると、それ以前に測定できたりするそうだけどね。見栄っ張りが多い世界らしいよ。



最後に、男は強制だけど女は任意だ。貴族の子なんかは入学試験を受ける割合が多いらしい。




なので、俺はそれまでは体作りの一環として家の畑仕事を手伝う毎日となる。

結構重労働なので、そこそこ体を鍛えてくれる。

手伝いがない時は、自主訓練をしている。

騎士になるのなら、最低限の体力は必要になるとのことだからな。





あれから10年の歳月が流れた。



「父さん。今日の収穫終わったよ」

「ああ、ご苦労さん。さすが若いな、私がやるより断然早いよ」

「そりゃ、10年も手伝ってたら段取りもわかるよ。と、それじゃ俺は自主訓練しにいくな」

「おう。気を付けてな」

そう行って作業道具を父さんに渡して、自主訓練の一つランニングに出発するのである。

田舎なだけあって、いろいろな場所がある。

足元の不安定な場所や固められていない場所なんていっぱいだ。

そんなところを走っていくのが一つの訓練としている。

片づけを手伝わなかったのではない。「それくらいはやっといてやる」という父さんのありがたい言葉に甘えているのだ。

昔から学園に行くことを、行くのを楽しみにしていること。

そして、絶対「騎士」になってやるという意気込みを語っていたからな。

少しでも自主訓練をする時間を取らせてくれるのだ。ありがたいよ。


まあ、父さんも「まだ40代後半」だしな。

言い忘れてたが、この世界の平均寿命は長い。だいたい130歳くらいが平均だ。

それに合わせて、老化も少し遅い目。なのでまだ若いといってもいい感じなのだ。

なお、母も応援してくれている。毎日おいしいご飯をありがとう。


そんな日々も、もう少しで終わる。


俺ももうすぐ16歳。寿命長いくせに、この年齢で学園に入学するというのである。

これも測定していた結果わかったのが、この年齢で測った数値が「その後の伸びがどれくらいか」を測定しやすいそうだ。

入学式に測定し、現在の値と1年後のおおよその上昇値を割り出されることになる。

そうして、学園か付属かに別れることになる。



前世の同志たちよ、お前たちはどうしてるだろうか?

俺と同じくこの世界に転生しているのだろうか?

だが、英雄となるのは俺だ!


そんなことを考えながら、王都にある学園に通うため寮に送る荷物の準備をしていた時だった。


着る服や、生活に必要な愛用品。

この世界で記憶を思い出したときに、この世界に関することで思い出せる限り書きなぐったノート。

単語の羅列なので、それを見て再度思い出す必要があるなと準備の合間に眺めていた時だ。



そこに書かれていた、人名と思える名前を見た時。



俺は、頭が真っ白になった。


そうして、絶望することになり、崩れ落ちた。四つん這いである。


その開かれたページに書かれていた単語の中の一つ。

人名と思える名前を見た時に知ってしまったのだ。


「思い出した・・・この名前・・・ゲーム始めた時の『デフォルトの主人公の名前』だ」


今の自分とは違う名前。家名違う。

貴族家ではないが、主人公だけにちゃんとフルネームがつけられている。

俺の名前とは全く違うその名前。



学園にまだ英雄は誕生していない。

だが・・・今年「貴族家が威信をかけて作った起動鎧とともに入学する女生徒たち」という新聞の記事を見ている。


つまり入学式の場で、この名前の男子生徒がいた場合



俺は「英雄じゃないよ」ということになる。



こういう予想は当たるんだよな、俺。だからもうね・・・絶望だよ。



アクセルの踏みすぎは厳禁です。あぶないので。


あった記憶のほうが少ないのですが、RPGの中に「デフォルトで決まってるけど変更可能」ってのがあったのを覚えてました。そこからこの「気づき」が思いついた感じですね。

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