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閑話2 違った出来事に戸惑うセイル

「・・・おかしい。こんな展開になるなんて知らないぞ?俺は」

彼・・・セイル・ルートヴィッヒは自室のベッドに横になって悩んでいた。



彼は、5人のヒロインたちと一緒に「実地訓練」を終えて寮に戻ってきた。

アーリアだけは、王族ということもあって実地訓練には参加しなかった。

それはわかる。

だが、なぜ自分もその訓練に参加することになったのか・・・。

本来自分が訓練に参加することになるのは「5人のヒロインの誰か」とのルートに入った時である。

そして、襲撃を受けてヒロインと一緒に初出撃をするという展開になる。

だが、ハーレムルートでは主人公の能力が高いのでその必要性がないと判断されることに。

結果として、第二王女とデートすることになる。そして、街中に先に出ていた他のヒロインたちと順番に出会い一時共にすることで、王女とヒロインたちとの「立ち位置による遠慮」を緩めることになるのだ。


だが、実際は実地訓練に参加することに。

それはわかる。

自分の能力が、ハーレムルートの主人公より「遥かに弱い」ということくらいは。

何しろ、他のヒロインたちと模擬戦を順番にするのだが余裕勝ちするからだ。

しかし、自分が戦った場合・・・誰にも勝てない。

それでも機体性能のおかげでいい勝負くらいには持っていける。

結果として、ヒロインたちの好感度は下がってはいない・・・とは思う。

しかしわからないのは「襲撃がなかった」ことである。

ヒロイン個別ルートだと確実に起こっていたイベントが起きなかったのである。

明らかに不自然だ。


「それに・・・不自然なのはそれだけじゃない」

彼は、帰ってきて知ることになった。

補給基地襲撃があり少なくない被害がでたことを。基地の1つを放棄することになったことを。

このイベントは「第二王女ルート」にはある。

結果、心を痛めた彼女に寄り添い励ますことで少し距離が縮まるのだ。

なお、このルートの場合は「実地訓練には参加するが襲撃が起きずに終わる」となる。


「俺は全員のヒロインと出会い、一緒の寮で暮らすことになった。その後この日までの流れはハーレムルートの通りだった。

なのに・・・なんでこのイベントが起きたんだ」

セイルはそのことばかり考えていた。




しばらくして、扉がノックされる。

今は誰とも会わずに考えをまとめたかったが、このまま考えていてもまとまりそうもなかった。

彼は立ち上がり、扉を開ける。

そこには、アーリアとルリスが立っていた。


「2人とも、どうかしたのか?」

至って平静をよそおいつつ、彼女たちに聞く。

先に話し出したのはルリスだった。

「ああ。・・・覚えているかな?以前話した入学式に向かう途中の話を」

「ああ、覚えているよ。・・・俺みたいに声を掛けてきた生徒の中に少し気になった相手がいたことを」

正直セイルには、その部分が不安材料となっていた。

その生徒が見つかり、彼女が交流をしたりすると取られるのではないかと。

しかし、彼女の次の言葉にその考えは霧散した。

「実は・・・彼の所属しているクラスがわかったんだ。それが、襲撃された補給基地での実地訓練をしていてな」

「っ!?」

ハーレムルートの結末は迎えたい。だからヒロインたちのだれも他の奴に取られたくはない。

けれど、それを防ぐためとはいえ・・・死んでしまえと思ったことは一度たりともない。

予想ではその男も「転生者」だ。それもあのゲームをやりこんだ、言わば「同志の1人」といっても過言ではない。

それがわかり、正面から彼女たちの1人に接近するようであれば・・・実力でそれを跳ねのけてやるくらいに思っていた。

「・・・まさか、巻き込まれたのか?そいつは」

心の中では「頼む・・・死んだなんて聞きたくないぞ・・・」と願いながら。

「ああ。基地への攻撃に巻き込まれてな。・・・幸いと言ってもいいものでもないが。重症だが命に関わることはなく回復に向かっているそうだ」

「・・・そうか。それはよかった」

一気に肺にため込んでいた空気を吐き出す。


だが、話はそれだけでは終わらなかった。

更なる衝撃をセイルは受けることになった。


「それでな・・・彼が重症になったのには理由があって。ある女生徒を守ったそうなんだ」

「それは・・・英雄だな。同じ男としては尊敬するよ」

セイルは素直にそう思った。もし自分が同じ場所にいたら・・・どうだっただろう。

「ええ。本当に・・・彼には感謝をしております」

そういったのはアーリアだった。

「どういうことだ?その女生徒になにかあるのか?」

セイルの質問に、アーリアは頷く。

「これは、この寮のみんなには伝えていることです。しかし・・・寮外では他言無用にお願いいたします」

そして告げられる話。


「私には、腹違いの妹がおります。父、国王の血を受け継いでいるので第三王女と言ってもいいでしょう。本人はそう名乗ることを嫌っておりますが。・・・その守られた女生徒こそが、妹、ユフィリアだったのです」



(ユフィリアだって・・・!それは、開発秘話にしか登場していない人物では・・・!?)


その後彼女たちが話をしていたが、詳しくは覚えていなかった。

衝撃が大きすぎて、内容を詳しく覚えれなかったのである。



そして・・・自身のこれからのことを考えて頭が回っていなかったこともあり、この時彼は気づいていなかった。

彼の中ではまだ、この世界が「ゲームの世界」という認識のままであった。




そのツケを払うことになるのは、これから1年後のことであった・・・



本来の流れで行くと、同じ寮に暮らすことになったのは「王女と貴族家の3人の女生徒」だけである。

英雄となった彼は、男子寮に最初は入ることになる。だが、周りからの視線を考慮されて「王女たちの暮らす寮」に移動することになる。

なお、貴族家の協力でいる2人のヒロインは普通に「女子寮」で暮らすことに。

分けているけど、実際は同じ建物の中ではあるが。


なお「2人のヒロインが他ヒロインと同じ寮にこなかった」場合は3パターン考えていた。


1,他の貴族家の「男子生徒(転生者)」が入寮。

  ゲーム内ヒロインと同じ寮に住めてラッキーだったけど、英雄が後で合流して絶望する。

  それでも「第二王女と親密な関係になる」未来となった場合は、他ヒロイン(自身の推し)に猛アタックかけることに。


2,他の貴族家の「男子生徒(転生者)」が入寮。

  ヒロインと一緒に暮らせてラッキー思ってたら、英雄が入寮して絶望。

  追い打ちのごとく、最初の襲撃事件でまさかの戦死。


3,そもそも空き部屋になるだけだった


1は精神的に追い詰めそうと思った。2はさすがに外道展開すぎた。結果、3が選ばれた。

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