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エピソード1.8 モンスターの侵入

〈エピソード1.8 モンスターの侵入〉


「それが事実だとしたら、全ての説明が付きますね」


 留美は厳しい目つきで、全てを吐露した康太の顔を見た。


「ああ」


 康太は留美から視線を逸らすとコーヒーの入っているカップに口を付ける。


「あなたはこれからどうするつもりなんですか?」


 留美の声には剣の切っ先のような鋭さがあった。


「僕にはどうにもできないよ」


「でも、あなたたちの作ったもので、たくさんの人が死んだんですよ。責任は感じないんですか?」


「感じているとも。だが、僕は一介のエンジニアだ。この事態を収める力なんてない」


 康太の開き直るような言葉に留美は拳を振り上げたくなった。


「あなたは!」


 留美が激昂しようとしたその時、研究室に学生と思われる青年が顔を出す。


「杉浦さん、一部のモンスターがバリケードを突破しました。しかも、そのモンスターは桂木留美を出せと要求しています」


 青年は泡を食ったような顔で言った。


「何だと?」


 康太もソファーから立ち上がった。


「私、行きます。ここで何もせずに逃げたら、一生、後悔すると思いますし」


 留美は決然とした声で言った。


「すまない。僕も何かできることがないか探ってみるよ」


 康太は力なく項垂れながら笑った。


「はい」


 そう返事をすると、留美はラズエルと共に研究室を飛び出す。ラズエルはモンスターの居場所を感知できるのか、迷いなく留美の先を走り始めた。


 そして、二人は大学の敷地内にある中庭へとやって来る。


「貴様が桂木留美だな。あのお方の命令だ。殺されたくなかったら、俺と一緒に来い」


 ライオンのような姿をしたモンスターが留美ににじり寄って来る。留美の背後では学生たちがあれはマンティコアだと叫んでいた。


「断ります」


 留美は少しの恐れも見せずにキッパリと言った。


「痛い目に遇いたいようだな」


 モンスターは大きな牙を覗かせる。


「痛い目に遇うのはお前の方だ。お前のような下等なモンスターが、天使のおいらに勝てるとでも思っているのか?」


 ラズエルが自信を持って言うと、足を前に踏み出す。


「お、お前が、音に聞くラズエルか。お前に殺された仲間のカタキは取らせてもらうぞ」


 モンスターは怖気づいたように言ったが、すぐに闘志を振るい起したのか、ラズエルへと襲いかかった。


 ラズエルはモンスターにスパークする光の球を放つ。


 その一撃はモンスターの胸に吸い込まれて、空間が撓んだように見えるほどの大爆発を引き起こした。


 たちまちモンスターの体がバラバラに弾け飛ぶ。


 一部始終を見ていた学生たちは、唖然としたような顔をした。


「こ、これで終わったと思うなよ。ついに、あのお方がこの世界にやって来たのだ。ハルマゲドンの始まりは近いぞ」


 頭だけになったモンスターは悔しげに言うと、そのまま息絶えて動かなくなった。


「留美、同僚のサマエルからテレパシーの連絡があった。仮想世界で生活していた桂木修一がこの世界に戻って来たそうだぞ」


 ラズエルは口の端を大きく吊り上げながら言った。


「ホント?」


 留美は心が弾けるような嬉しさを感じた。


「ああ。だから、これから会いに行くぞ。修一は自分の自宅アパートに向かうみたいだからな」


 ラズエルがそう言うと、留美は学生たちの静止の声も聞かずに大学を飛び出す。そして、一目散に修一のアパートがあった場所へと向かった。


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