エピソード1.4 真実
〈エピソード1.4 真実〉
世界各地の遺跡から、とある言葉が発見された。
その言葉は発見場所の国や地域は違うのに、文字の形や意味などは共通していた。
更に、その言葉はとんでもない力も秘めていた。
後にその言葉は《元始の言葉》と呼ばれるようになる。
元始の言葉はかつてこの世界で栄えていた《魔法文明》の時代に使われていた言葉だった。
その言葉を扱えば《魔法》を使うことができたのだ。
魔法文明は《ノアの大洪水》で世界が滅びる前にあったとされている。
発見された遺跡も、魔法文明があった時代のものだった。
密かにその言葉を受け継いでいた者たちは、俗にいう《魔法使い》と言われていた。
魔法使いは、この世界の《歴史》の裏側で絶えず暗躍していた。
そんな中、ただ唱えるだけでも大きな力を発揮する魔法の言葉を、自分とライラスは《コンピューター》で組み立てることにした。
その結果、コンピューターの《演算機能》で行使される魔法は、今までよりも遥かに強力なものになった。
しかも、コンピューターで使用できる魔法には、特別な才覚は必要なく誰でも手軽に使うことができた。
時代は移り変わり、《仮想世界》を作ろうとするプロジェクトも世界各地で立ち上がっていた。
自分とライラスは魔法が使える元始の言葉を《プログラムの言語》として、使用することにしたのだ。
そうして造られた仮想世界は、現実の世界を凌駕するほどの、《リアル》さを持つようになった。
聖書にも【初めに言葉がおり、言葉は神と共におり 言葉は神であった】という成句がある。
現実の世界に等しい世界を構築できる元始の言葉はまさに《神の言葉》だった。
そんな元始の言葉で造り上げられた世界に入り込むための《実験台》として使われたのが《桂木修一》だった。
高熱で脳に大きなダメージを負った修一だが、その世界では問題なく生き続けた。
が、造られた世界は、まだ未完成なので限られた期間までしか、動かすことができない。
なので、修一はその限られた期間での生活を何度も繰り返していた。
そうして得られる大量の《データ》は、より優れた世界を造るノウハウとして利用されている。
全ては順調だと思われていた《プロジェクト》にも失敗があった。
元始の言葉で《天使》をも造ってしまったのだ。
その天使はノアの大洪水が起きる前に地上にいたとされる《太古の天使》だった。
その名は《サタン》。
サタンは元始の言葉で造られた世界の外に出る機会をずっと窺っていた。
造られた世界の中で学習し、実験を行っていった。
そして、ついにこの現実の世界を《変容》させる方法を編み出したのだ。
その方法とは《コンピューター・ウイルス》を流すようなものだった。
現実の世界と言われているこの世界も、実は言葉で造られている。
その言葉を少しずつ書き変えて、元始の言葉で造られた世界との《境界線》を変容させ、取り払おうとしたのだ。
現実の世界を形作る言葉が、少しずつ元始の言葉に置き換えられていった。
まさに《浸食》。
この世界を創る文字が書き換わる《経路》を作っていたのは、修一の体に取り付けられている《バーチャル・マシン》だった。
そして、この世界の言葉を元始の言葉に書き変えるウィルスは、あらゆるものに《感染》するようになった。
結果、《次元の裂け目》を作るだけで、モンスターたちは現実の世界に現れることができるようになった。
元始の言葉で造られた世界を動かしている《スーパー・コンピューター》はバーチャル・マシンと同じように、桂木修一の体に取り付けられている。
が、修一の体がある場所にはサタンが《結界》を張っているせいで誰も入れず、バーチャル・マシンを外部操作で停止させることもできなくなっていた。
そんな中、元始の言葉が持つ大きな力を我が物にしようと《日本政府》も動き出した。
元始の言葉で造られた世界の侵食を防ごうと、この世界を創った《創造神》も動き出し、《国連》の部隊の背後に付いた。
日本政府や国連の部隊が狙っているのは、修一の体に取り付けられているスーパー・コンピューターだった。
それを手に入れれば、元始の言葉を扱う技術やノウハウを全て手に入れることができる。
日本政府はその力を貪欲に求め、創造神が背後に付いている国連はその力を闇に葬ろうとしていたのだった。




