表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/108

エピソード4.4 接触

〈エピソード4.4 接触〉


 留美はコンビニやレストランは閉店していたので、空腹を解消するために仕方なく自宅に帰って来る。


 幸いにも家の中に敵の姿はなかった。


 が、用心深く家の中を見回していると留守電にメッセージが届いていることに気付く。


 留美は電話機に表示されている《杉浦康太》という名前を見て、思わず背筋が凍り付きそうになった。

 それから、震えが止まらない指先で電話機のボタンを押す。


「このメッセージを聞いていますか、桂木留美さん。ご存じだとは思いますが、僕は桂木修一の友達だった杉浦康太です」


 優しげな大人の声が留美の耳朶を打った。


「留美さんが僕と連絡を取ろうとしていたことは知っています。ですが、電話での会話は傍受される危険性があるので、直接、会って話がしたいです」


 警察や自衛隊なら、確実に傍受はしているだろう。それだけに、携帯電話なども迂闊には使用できない。


「もし、できるようなら、三崎大学へ来てください」


 三崎大学の場所なら知っているし、迷うことはない。


「バリケードを築いている大学の敷地内には、モンスターたちも入っては来ないので安心して話せます」


 本当の脅威はモンスターより、警察や自衛隊だ。彼らが大学の敷地内に居たら、また無用な流血が起きる。


「修一のことで打ち明けたいことはたくさんありますし、どうか僕を信じてください」


 そこで、メッセージは途切れた。


 留美はしばし放心状態に陥ると、暢気にも魚肉ソーセージに噛り付いていたラズエルの方を見た。


「どうしよう、ラズエル」


 留美は逡巡しているような顔でラズエルに問いかける。


「罠の可能性もなくはないけど、シュウイチの居場所を掴むには、またとない機会だ。行くしか手はないだろうな」


 ラズエルは押しの強い声で言った。


「だよね。なら、何かあった時は頼んだよ、ラズエル」


 ラズエルがいれば大丈夫だという安心感はある。


 ただ、その安心感に寄りかかった行動を取れば、思わぬピンチに陥るかもしれない。


 ラズエルが負けるようなら、自分に待っているのは容赦のない死だから。


「任せて置けって」


 ラズエルは自分の胸を叩くと、頼もしくなるような声で言葉を続ける。


「これで、修一の居場所が掴めれば自体は大きく動く。そうなれば、おいらの神からの評価もうなぎ登りさ」


 ラズエルはそう言ったが、留美は天使たちを束ねているという神に、今一つ信頼を置けずにいた。


 神がもっと積極的に介入してくれれば、モンスターに殺されるような人たちも出なかったはずだし。


 神は人の命を二の次にして、一体、何をやろうとしているのだろうか。


「……じゃあ、行ってきます、お母さん」


 留美は誰もいない家の中でそう言うと、ラズエルと一緒に三崎大学に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ