エピソード2.5 警察官たちの凶行
〈エピソード2.5 警察官たちの凶行〉
何台もの消防車が到着して、消防隊が燃え盛る修一のアパートの消火をし始めた。
野次馬のような人間もたくさん集まっている。
留美はシュウイチの部屋が焼け落ちるのを見届けると、家に帰ろうとする。
が、その途中で警察官の制服を着た男たちが行く手を遮るように現れた。
「桂木留美だな。桂木修一のことで聞きたいことがある。署までご同行を願おうか」
男は警察手帳を見せながら留美に近づいて来る。
留美は本物の警察官かどうか疑いながら、キッとした目をする。
「嫌です。私を警察署に連れて行きたければ、令状のような物を見せてください」
留美は拒絶の意を示した。
すると、警察官たちは殺気すら感じさせるような顔をして、留美に迫って来た。
「そんなものはない。ならば、お前が手にしているそのノートパソコンをこちらに渡せ」
化けの皮が剥がれたような顔をした警察官の男が手を伸ばしてきた。
それを受け、留美はノートパソコンを抱えながら後ろに下がる。このノートパソコンだけは何があっても守ると決意しながら。
「それもできません」
アパートに火を付けたのも、こいつらかもしれない。
警察が犯人なら何だってできる。
「そういうことなら、お前を強引に捕まえてやる。ちっぽけな抵抗をしたことを後悔するが良い」
そう言いって、警察官の男は鬼のような顔をする。それから、他の警察官の男たちと共に留美ににじり寄ってくる。
留美は周囲を見回したが、警察官たちのおかしさに気付いているような人間はいない。
なので、誰の助けも得られそうになかった。
「あなたたちは一体、何なんですか? どう考えても普通じゃありません!」
もし、この男たちが本物の警察官だったら、自分は国そのものを敵に回していることにもなりかねない。
その絶望感は生半可なものではなかった。
「その質問には答えられんな。ただ、我々は大いなる目的のために動いている、とだけは言って置こう」
警察官の目からは狂気のようなものが垣間見えた。
「狂っています」
留美は気丈な声で言った。
「生意気なことばかり言いおって。警察署に連れて行ったら、たっぷりと締め上げてやる。覚悟しろ!」
警察官の男たちは、留美に覆い被さろうとしてきた。
なので、留美はクルリと身を翻すと一目散に逃走を図る。
助けを呼びたくても、それは叶わない。
警察官が敵に回ることが、こんなにも恐ろしいことだとは思わなかった。
まるで、犯罪者にでもなったような気分だし、留美は神に祈りたくなりながら、全速力で走った。




