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エピソード4.4 大学での雑談

〈エピソード4.4 大学での雑談〉


 三崎市の郊外にある三崎大学は歴史と伝統のある大学だ。


 が、最近は金にものを言わせた大きな大学が幅を利かせるようになっていて、そう言った大学に新入生を奪われがちだった。


 三崎大学付属学園でもエスカレーター式に大学に進学できるのにもかかわらず、それをやらないで、もっと良い大学を選ぶ生徒が増えてきている。


 そういった時代の流れのようなものを三崎大学の出身である杉浦康太は寂しく思っていた。


「よ、康太じゃないか。大学に顔を出すなんて珍しいな。夏休みだから遊びにでも来たのか?」


 大学の研究室に顔を出した康太は友人だった白衣を着た八代真平と顔を合わせた。


「今日は大学でライラス教授のゼミレポがあっただろ。だから、その準備に駆り出されていたんだよ」


 康太は頭を掻きながら言った。


「そうだったか。確か、お前はライラス教授と同じ会社で働いているんだったよな。しかも、システム・エンジニアをやってるんだっけ?」


「そうだよ。なかなかやり甲斐のある仕事だぞ」


「にしても、考古学を専攻していたお前がシステム・エンジニアとはね。畑違いの職に就いたもんだな」


 考古学の研究室に入った真平は、日本各地の遺跡で発掘された出土品の解析と復元をしていた。


 一方も、康太も大学時代は真平と同じように考古学に熱を上げていた。


 なので、真平も康太は自分と似たような職種に就くものと思っていたに違いない。


「よく言われるよ。でも、ウチの会社はゲーム・メーカーだから、考古学の知識も随分と役に立っているぞ」


「ゲームの世界観を作ったりするのにか?」


「ああ。最近のゲームは細部にまでこだわらなきゃならないからな。必然的に古い時代の知識も必要になってくるのさ」


 クライスター社はゲームを隠れ蓑にして、とんでもない研究をしている。


 その被害者とでも言うべき人間が桂木修一なのだが、そんなことはここでは話せない。


「なるほどね。そういえば、俺たちが高校生だった頃の同級生がガス爆発で死んだって話を聞いたんだが本当か?」


 真平は真面目な顔を形作って尋ねてきた。


「本当だよ。同窓会の幹事をやっていた芹沢の奴も死んだ。あいつが死ぬなんてまだ信じられないよ」


 もし、芹沢和人の誘いを受けて、バーの開店祝いに出席していたら自分も命はなかっただろう。


 それを思うと、康太も心が震える。


「でも、そんなニュースはテレビじゃ報道されてないぞ。同級生だった俺のところにも葬式の知らせは届いてないし」


 徹底した情報統制が行われているのだから無理もない。


「葬式は身内だけで、ひっそりとやったんだろ。だから、そんなに不審がるようなことじゃないさ」


 真実の一端を知る康太は、そうはぐらかしをするように言った。


 頭部を潰されていた和人の死体を見なかったのは、何も知らない真平にとっては僥倖と言えるだろう。


 知らぬが仏とはこのことだ。


「かもな。ま、せっかく研究室に足を運んでくれたんだ。ビールでも飲みながら、昔話に花を咲かせようぜ」


 そう言うと、真平は研究室にある冷蔵庫からキンキンに冷えたビールを取り出して笑った。

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