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エピソード4.5 呆気ない死

〈エピソード4.5 呆気ない死〉


 修一を蔑んでいるサラリーマンの男、芹沢和人は洒落っ気のあるバーにいた。


 このバーは高校で同じクラスだった友人が新しく開店した店だ。


 その開店祝いに、クラスメイトの何人かが店に顔を出していたのだ。


「芹沢、杉浦には声をかけたのか? あいつ、聞いた話じゃ、かなり羽振りの良い生活をしているみたいだが」


 クラスメイトの一人だった男がカクテルのグラスを片手に和人にそう尋ねてきた。


「声はかけたんだが、重要な仕事が立て込んでて、どうしても来られないって言ってたよ」


「そうか。じゃあ、桂木には声をかけたのか?」


「あんな奴に声なんてかけるわけがないだろ。もう四十歳にもなるのに、未だに無職でニートの生活をしてるって言うんだぜ」


 和人は嫌悪感も露に、吐き捨てるように言った。


「そいつは悲惨だ。まあ、あいつは高校時代から人付き合いは悪かったし、ゲームばっかりやってるオタクだったからな」


「ああ。両親の家だって貧乏してるって言うのに、それでも働かないなんて、あいつは根っからのクズ男だよ」


「そりゃそうだ。ま、あんなクズ男がどうなろうと俺たちには関係ないし、こんなめでたい席に来られても迷惑だ」


「違いない」


 そう言って、ほくそ笑むと、和人はすぐに酔いが回るようなカクテルを喉に流し込んだ。


 その瞬間、店の中の空気がガラリと変わる。


 和人も腕に鳥肌が立つのを感じたし、嗅いだことがないような異臭も漂ってきた。


「な、何だ?」


 店の奥からそんな声が聞こえてきた。


「ちょっと待てよ。こいつは何なんだ? 俺は酔っているのか?」


 ウィスキーの入ったグラスを床に落とした男は目を白黒させる。


 突如として空間にできた割れ目のようなものから、人間ではあり得ない怪物が這い出してきたのだ。


 余りにも突然の出来事だったので、そこにいた誰もが動くことができなかった。


「ギャー!」


 悪魔のような怪物の爪が振り下ろされると、店の中にいた男の一人が首を切断された。


 と、同時に大量の血が撒き散らされる。


「ば、ば、化け物だ!」


 怪物の凶行を目にした男が逃げ出そうとした。が、怪物はそんな男の体を背中から三枚に下ろす。


 男のグロテスクな内臓が派手に散らばった。


「ひ、ひぃー、助けてくれー」


 助けを乞う男の顔が真っ二つに引き裂かれる。頭蓋骨の破片と脳漿が勢い良く飛び散った。


「助けて! 助けて! 助けて! 誰でも良いから助けてくれーーーー!」


 そう絶叫した和人だったが、その次の瞬間、和人の頭部は呆気なく宙を舞っていた。


 和人は薄れゆく意識の中で、どうして修一のようなクズ男が生き延びて、真面目に働いている自分がこんなにも無残に死ななければならないのか、と問う。


 が、店の中で邪悪な笑みを浮かべる怪物が、そんな問いかけに答えてくれるはずもない。


 そのまま事切れた和人の頭部は怪物に踏みつけられて、グシャグシャに潰れた。


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